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キラキラヒカル5


第4話 今野チエ

(その3)

このあとチエは再び職を転々としながら、いろいろな仕事をこなし、いろいろな世界を見て、成長していったのであった。

そしてチエは唯一父から10歳の誕生日にもらった刺繍入りのハンカチと祖母に買ってもらったジェラード・ピケを大切に持っていた。

ハンカチは柄はえんじと金の曲線が波の模様で入っており、隅にはしっかりとイニシャル『C.K.』が縫いこんであった。どこへ行くにもこのハンカチは宝物だった。




チエが22歳になった頃、けっこう1人で生活も出来るようになっていた。

そして、その冬のある風が強い夜だった。

仕事帰りのチエは西中野にある中野病院の北側のテナントにラーメン屋を見つけた。
店ではBGMにミスチルがかかっていた。


豊「いらっしゃい。」

元気のいい声が豊だった。

豊はなかなか好青年だった。ここでアルバイトをしていた。

チエ「ここって最近できたんですか?」
豊「はい、3年ほど前に。」
チエ「それで・・・前はなかったから。」

納得したチエ。

豊「この辺りよく知っているんですね。」
チエ「はい。」

チエは横の壁に貼られたメニューを眺めて、

チエ「じゃ、とんこつお願いします。」
豊「はい。少々お待ちください。」

チエはラーメンを作る豊をずっと見ていた。

豊はジャニーズ風の小柄な好青年だったので、この店は開業以来多くの女性客が来ていた。

チエ「お客さんは多いんですか?」
豊「ええ、お蔭様で。今日はもう遅いので・・・さっきまでここのカウンターが満席だったんですよ。」
チエ「へえー・・・」

不思議そうなチエだったが、もしかしてラーメンがおいしいのかなと考えていた。

豊「はいお待ち。」

豊はカウンターにラーメンを置いた。

チエは一度深呼吸をしてから思いっきり割り箸を割って、ラーメンを食べ始めた。

しばらく沈黙の時が流れた。

ラーメンのすする音が時々聞こえるほどであった。

やがて豊は店を片付ける準備を始めた。


この日から、チエは時々このラーメン屋に来るようになった。
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プロフィール

ニックネーム
大野竹輪
(おおの ちくりん)
性別
活動地域
関西
自己紹介
毎日想像している世界を全て文字に変換して、それを編集しながら、日々悩みながら、生きています。
趣味
おおむね、ライターです。
(笑)
特技
人は「マルチ」と呼びますが、自分ではわかっていません。
職業
ライター

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