【声を嗄らす程に】
第四話〔最後に約束〕
「由衣!由衣、ちょっと!!ヘルプ!!」
突然力強く叩かれた自室の扉に、一瞬肩を跳ねさせる。しかし直後に聞こえてきたテノールに、扉の向こうの人物の予想をつけ、椅子から腰を浮かせ扉を開きに歩を進めた。
ガチャリとドアノブを回すと、扉を開いた先に居たのは、予想通りの人物だった。
「どうしたの、大和?」
先程の件について問いかけると、大和は勢いよく由衣の肩を掴んだ。
「助けて由衣!!宿題が終わらないどころか、わかんねぇ!!!」
「宿題……?」
由衣の言葉に激しく首を上下させ、大和は縋る様な瞳を由衣にぶつけた。
その瞳に内心苦笑しながら、由衣は瞳を細め、大和を部屋に招き入れた。
部屋の中央に置かれている小テーブルに、二人は向き合う形で腰を落ち着ける。
同時に大和は手にしていたノートやら何やらを机の上に広げた。
「取り敢えずー、数学から!」
「うん…。でも私、役に立てるか…。」
不安そうに眉を下げる由衣に、大和は笑みを見せた。
「だーいじょうぶだって!だって俺この間のテストの順位、下から数えた方が明らかに速いし。」
「え…、それは…大丈夫なの…?」
「ん?ダメじゃん?」
そう言って何事も無いように笑った大和に、つられて眉を下げながら由衣も笑った。
それから数時間、由衣は自身の勉強をしながら、時々の大和の質問に答え、二人同時に目的のものを終わらせた。
パタンとノートを閉じると、大和は大きく伸びをして後ろへと倒れ込んだ。
「あー!やっと終わった!!!これで晴れて自由の身!」
その様子にクスクスと笑いながら、由衣は筆記用具やらを片していた。
すると、床に背中を預けていた大和が半身を起こして、由衣に問いかけた。
「ねぇ、由衣って学年で何位くらいなの?テストの点数。」
「え…、前回は確か…、16位だったかな…。」
「じゅうろく!?」
由衣の言葉を聞いて、大和は自身が発した声と同時に、テーブルを思い切り両手で叩き、身を乗り出した。
大和のその勢いに多少後ずさりながら、由衣は頷き肯定した。
「16って…!何人中!?」
「えっ…。正確な人数は分らないけど…320くらいだったと…」
「っ…………。なんか、ごめん…。」
「へ!?な、何で?」
「俺、本当馬鹿で…教えんの大変だったよな…本当にごめん…。」
大和の突然の言葉に、由衣は慌ててそれを否定する。
「そ、そんな事ないよ!大和、理解するの凄く速いし!」
「いいよ…慰めとか…。」
「ほ、本当だよ!!」
言葉が続くに連れて、由衣の表情も徐々に真剣なものになり、終いには、顔を真っ赤にして必死に訴えてきた。
その表情を間近で見た大和は、クスリと笑ったのを皮切りに、大きな声で笑い出した。
「はははははは!!!お前必死すぎ!」
「えっ、あ……。」
大和の笑い声に我に返り、由衣は先程とは別の意味で顔を赤くした。
「本当、可愛いなお前。」
「えっ、からかわないでよ…!」
「ごめんごめんっ。じゃ、お詫びに今度どっか連れてってやるよ。」
誤摩化すように話題を替えると、大和は床に両手をついて体重を預けた。
由衣は一瞬キョトンとしたが、直ぐに笑って言った。
「じゃぁ、水族館行きたいっ。」
由衣の穏やかな笑みに、大和もまた、同じように笑った。
その日の夜、大和は友人の藤田にメールを送っていた。
『やばい…。俺シスコンになるかもしれない…。』
あとがき。
私が水族館行きたい
突然力強く叩かれた自室の扉に、一瞬肩を跳ねさせる。しかし直後に聞こえてきたテノールに、扉の向こうの人物の予想をつけ、椅子から腰を浮かせ扉を開きに歩を進めた。
ガチャリとドアノブを回すと、扉を開いた先に居たのは、予想通りの人物だった。
「どうしたの、大和?」
先程の件について問いかけると、大和は勢いよく由衣の肩を掴んだ。
「助けて由衣!!宿題が終わらないどころか、わかんねぇ!!!」
「宿題……?」
由衣の言葉に激しく首を上下させ、大和は縋る様な瞳を由衣にぶつけた。
その瞳に内心苦笑しながら、由衣は瞳を細め、大和を部屋に招き入れた。
部屋の中央に置かれている小テーブルに、二人は向き合う形で腰を落ち着ける。
同時に大和は手にしていたノートやら何やらを机の上に広げた。
「取り敢えずー、数学から!」
「うん…。でも私、役に立てるか…。」
不安そうに眉を下げる由衣に、大和は笑みを見せた。
「だーいじょうぶだって!だって俺この間のテストの順位、下から数えた方が明らかに速いし。」
「え…、それは…大丈夫なの…?」
「ん?ダメじゃん?」
そう言って何事も無いように笑った大和に、つられて眉を下げながら由衣も笑った。
それから数時間、由衣は自身の勉強をしながら、時々の大和の質問に答え、二人同時に目的のものを終わらせた。
パタンとノートを閉じると、大和は大きく伸びをして後ろへと倒れ込んだ。
「あー!やっと終わった!!!これで晴れて自由の身!」
その様子にクスクスと笑いながら、由衣は筆記用具やらを片していた。
すると、床に背中を預けていた大和が半身を起こして、由衣に問いかけた。
「ねぇ、由衣って学年で何位くらいなの?テストの点数。」
「え…、前回は確か…、16位だったかな…。」
「じゅうろく!?」
由衣の言葉を聞いて、大和は自身が発した声と同時に、テーブルを思い切り両手で叩き、身を乗り出した。
大和のその勢いに多少後ずさりながら、由衣は頷き肯定した。
「16って…!何人中!?」
「えっ…。正確な人数は分らないけど…320くらいだったと…」
「っ…………。なんか、ごめん…。」
「へ!?な、何で?」
「俺、本当馬鹿で…教えんの大変だったよな…本当にごめん…。」
大和の突然の言葉に、由衣は慌ててそれを否定する。
「そ、そんな事ないよ!大和、理解するの凄く速いし!」
「いいよ…慰めとか…。」
「ほ、本当だよ!!」
言葉が続くに連れて、由衣の表情も徐々に真剣なものになり、終いには、顔を真っ赤にして必死に訴えてきた。
その表情を間近で見た大和は、クスリと笑ったのを皮切りに、大きな声で笑い出した。
「はははははは!!!お前必死すぎ!」
「えっ、あ……。」
大和の笑い声に我に返り、由衣は先程とは別の意味で顔を赤くした。
「本当、可愛いなお前。」
「えっ、からかわないでよ…!」
「ごめんごめんっ。じゃ、お詫びに今度どっか連れてってやるよ。」
誤摩化すように話題を替えると、大和は床に両手をついて体重を預けた。
由衣は一瞬キョトンとしたが、直ぐに笑って言った。
「じゃぁ、水族館行きたいっ。」
由衣の穏やかな笑みに、大和もまた、同じように笑った。
その日の夜、大和は友人の藤田にメールを送っていた。
『やばい…。俺シスコンになるかもしれない…。』
あとがき。
私が水族館行きたい
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