楽天市場
[無料でホームページを作成] [通報・削除依頼]

2013年11月 アーカイブ

2013年11月27日 18時20分20秒 (Wed)

天の鎖

澤田ふじ子さんの「天の鎖」読みました。小説・日本庶民通史と書いてあるだけあって、歴史書と小説を合わせたような本です。長かった……約750ページありました。三部に分かれています。
桓武天皇の長岡京造営、平安遷都のあたりから始まります。主人公「牛」の目を通して、当時の庶民の様子が書かれています。
庶民の「牛」は変わった少年で、父の跡を継いで工匠になることに疑問を抱いています。あるとき、不思議な行者、行叡に出会い、仏師になることを志します。「牛」が父に反発し、仏師になるというのが話の大きな流れで、その中に、蝦夷討伐や都造営にかりだされた庶民の様子、若い頃の空海などの話が書かれています。小説というより、歴史書の色が濃いのか……話の途中で当時の時代背景や細かい説明が長々と入るので、物語はなかなか進みません。勉強にはなるんですが……。

第二部では、「牛」はお爺さんになっていて、主人公を次の「牛」にバトンタッチ。奴婢と良民の恋愛の話がメインで書かれています。この場合、奴婢は罪を犯したことになるんですね……。
歴史書としては、獄舎や悲田院の様子、庶民と死について。当時の庶民は、死穢を嫌う風習から、助かる見込みのない病人はまだ生きていても捨ててしまうそうです。鴨川の河原は死体だらけだったそう。

第三部はまた別の「牛」の話。二部の奴婢と良民の子どもで、前の「牛」から名前をもらいます。東寺奴(東寺の奴婢)として生きる「牛」を通して、東寺と金剛峰寺の「三十帖冊子」を巡っての争いが書かれています。
驚いたのは、寺が抱える奴婢の数……! 法隆寺では508人、元興寺では431人の寺奴婢の存在が確認されているそうです。それだけ大寺には雑用が多かったそうですが……仏の教えとは……orz 貴族が、自分の善行として寺に奴婢を寄付したり……。

私は小説としてより、歴史書として読んだほうがいいなぁと思いました。庶民の防寒、お茶事情、意外と唐より渤海との交流のほうが多かったことなど、勉強になりました。お茶についての資料、嵯峨天皇が飲んでから鎌倉時代までの間、残されていないんですね。平安時代を舞台にした小説で、下級貴族あたりの人がお茶飲んでる記述があったりしたとき、いつも疑問に思ってたんですが(^^; なんか、上流貴族の高貴な趣味とか、薬とかのイメージがあったので。……でも……飲んでなかったんじゃないかな……。普通に飲んでたら、資料に出てきそう……。
とにかく、勉強になりました。自分の小説に活かしたいです(^^♪


2013年11月12日 22時51分29秒 (Tue)

未来いそっぷ

星新一さんの「未来いそっぷ」読みました。ショートショートの神様! 昔から大好きです。
イソップ物語の現代版ショートショート。ウサギとカメや、アリとキリギリスなどの童話を、星さん流にアレンジしたものです。ちゃんと各話の最後に、その話の教訓も載っています。個人的に面白いなと思ったのは北風と太陽。・・・昔はたしかに寒かったら上着を着ますが、今は暖房というものがありますから・・・。
イソップ物語パロディは初めの数話だけで、あとはいつものショートショートです。星さんワールド! お馴染みエヌ氏も出てきます。


この本、三十年以上前に出版されたものなんですよね。解説を読んで、このときはまだ生きてはったんやなぁとしんみり・・・。いや、私の物心がつく前に亡くなっていたんですが・・・(^^; この本が出版されたころ、そろそろ千話達成のところだったようです。
この解説で、星さんの作品がよく金平糖に例えられるということを知りました。すごく納得です・・・。金平糖、小さいけど美味しくて、可愛いですよね(^^♪

2013年11月5日 22時25分45秒 (Tue)

王朝序曲 下 誰か言う「千花家ならぬはなし」と

永井路子さんの「王朝序曲 下」読みました。
桓武天皇が死に、安殿が天皇(平城天皇)になり・・・。冬嗣の仕えている賀美能親王が、東宮になります。世間では、伊予親王が選ばれるだろうと言われていたのですが、安殿は自分を脅かす存在である伊予を陥れ、死においやってしまいます。早良親王を陥れた父を批判し、その呪いに苦しんでいた安殿が・・・。で、東宮の賀美能が、次は自分が呪われるんじゃないかと怖がり出す・・・。
平城天皇(安殿)は体調を崩し、しばらくして賀美能に譲位しますが、奈良へ引越しして元気を取り戻します。そこで起こったのが、世にいう薬子の変。平城の寵愛深い薬子が、嵯峨天皇(賀美能)に移りつつある実権を取り戻そうします。
そうはさせるかと必死で策を巡らすのが冬嗣。兄の真夏は、平城側にいるんですが・・・。嵯峨に仕える冬嗣と、平城に仕える真夏の、微妙な関係・・・実際にあった歴史の話のはずなのに、フィクションの時代小説を読んでいるかのようでした。登場人物たちの心の動きやセリフが人間らしい。実際にいた人物に、実際にやったことやらせながら、ここまで事細かに心情を書き出すのは、すごいなぁと思います。誰が何をしたか分かっていても、そのときの気持ちまで想像するのは、よっぽどその人のことを調べないと・・・。


歴史の通り、嵯峨側が勝ちます。平城の重臣である真夏は政治の中心にはいられなくなります(死刑になってもおかしくなかった)。嵯峨側を勝たせようと必死だった冬嗣ですが、事が終わると、さりげなく兄を助けようとするのですが、真夏は平城のもとにいる、と・・・。
とにかくいい話でした。超おすすめです。
図書館で借りたせいで、最後のおそらく解説っぽいページがなくなってるのに気づいたときの絶望・・・。



以下、どーでもいい話。
幼いころは自慢げに政治の話をする兄にムカつき、安殿に献身するのを冷めた目で見ていたのに、いざ、自分が勝ってしまうと、めっちゃ兄のことを気にしてる冬嗣が可愛すぎる。本人の前では兄君って呼んでるのに、心の中では兄貴って言ってるところも。
それにしても永井先生の作品は、セリフが可愛いなぁ。安殿の「俺はいやだ、行かない」(桓武のもとへ)とか、嵯峨天皇の「怨霊は怖いもんなぁ」とか。ああ、嵯峨天皇・・・綱のご先祖様・・・。

プロフィール

雨傘蝙蝠と申します。そのまま、あまがさこうもりと読んでください。

ブログ

12345
6789101112
13141516171819
20212223242526
27282930

カテゴリー

QRコード
携帯用QRコード