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2013年12月 アーカイブ

2013年12月26日 22時11分15秒 (Thu)

平成歌合 古今和歌集百番

上野正比古さんの「平成歌合 古今和歌集百番」読みました。紙面上で歌合をやっちゃおうというもので、小説ではありません。
歌合というのは、右と左に分かれて、歌の優劣を競う遊びです。この本では、作者VS古今和歌集。
一ページに和歌が二首載っていて、どちらかが古今和歌集の和歌、もう一つが作者の和歌になっています。ページの端に、「あなたが勝ちと判定した歌|左・右・分け」「どちらが古今和歌集の歌?|左・右」と書かれています。どちらかに丸をつけて遊ぶものですが、私は電車の中とかで読んでたのでできなかった・・・。
次のページをめくると、答えと和歌の解説が載っています。VS紀貫之、VS在原業平・・・というように分かれていて、一区切りつくごとに勝ち負けの判定表と、どれだけ、どっちが古今和歌集の歌か正解したかという表が載っています。最後の最後に、総合判定表と総合採点表がついています。
・・・実際書き込んでやったわけではないですが、けっこう当たりました! 92/100! といっても、知ってる和歌が多かったっていうのもありますが(^^; でもやっぱり、言葉の選び方とか、考え方とかが違いますね。作者さんの和歌のほうが、前向きで力強かったり、意味がとりやすかったり・・・。
勝ち負けは・・・古今和歌集の歌が好きなので、8対92ですw 和歌の善し悪しが分かる人間じゃないので・・・。

面白い試みだとは思うんですが・・・この本、どういう人が読みたいと思うんでしょう?(私は、何故かとつぜん学校で友人からもらいました) 作者の上野さんが有名な歌人だったら、読みたいと思う人もいるでしょうが、そういうわけでもないみたいです。純粋に古今和歌集の勉強がしたい人は普通の解説書を買うだろうし・・・。古今和歌集が好きな人には、簡単な解説だけで物足りない感じですし。学校で、どっちが古今和歌集の歌か当て合う授業とかやったら盛り上がる・・・のかな・・・?


2013年12月19日 0時18分23秒 (Thu)

鬼・廃市

福永武彦の「鬼・廃市」読みました。福永武彦、1918~1979年に活躍した小説家、詩人です。・・・この本を読んで知りました。
短編集で、「塔」「鬼」「世界の終わり」「廃市」「飛ぶ男」の5編。「鬼」に惹かれて手をとりましたw
今昔物語ネタ! 二十七巻の第十六「正親(おおきみ)の大夫若き時鬼にあいし語」のアレンジです。
正親の大夫が恋人に会いに行ったところ、今日は客が来てるから家には泊まれないと言われ、人のいない御堂で会うことになりました。誰もいない御堂で恋人と物語などしていると・・・堂の奥で火が光り、女童が一人。その後、怪しげな女房が出てきます。女房は「私はここの主である。どうして主の断りもなしに来たのか~」「速くお出にならないと、悪いことになる」などと言い、正親の大夫は恐ろしくて、恐怖のために立てない恋人を立たせ、なんとか出ていきます。歩けない女を家に送り届け、自分も家に帰り・・・翌日、恋人のことが気になって家に行ってみると、彼女は息絶えていました。だから、人のいない堂なんかに泊まっちゃいけないよ!というのが、原作です。
福永武彦の「鬼」も、だいたいこの通りに進んでいくのですが、女が死んでからの続きがあります。怪しい女房の正体、原作では鬼ということで片付いていますが、この小説では・・・。
物語が原作にはない部分に入る前に、福永武彦自身の解説が入ります。それによると、今昔物語の中でこの話の鬼は、あまりにもあっけない、と。他の話の鬼はもっと化物じみた姿をしていたり、姿は見えなくても、あとに人間のバラバラ死体が残るとか、凄惨なものが多いのに、これはどういうことかと。で、推理した結果が話の続きです。
私も今昔物語は全部読んだのですが、そんなことまったく気にしてなかった・・・。頼信かっこいいとかしか考えてなかった・・・。


残りの4編は平安時代関係ないです。「塔」「飛ぶ男」と「世界の終わり」の彼女視点の部分は詩っぽい。人間の深い精神世界の比喩のような・・・・。こういう他人には理解できないようなかっこいいの書いてみたいとか思って真似すると黒歴史になるやつですね。
リズムがよくて、全体的に整っている印象を受けました。でも、整いすぎてるのか、流れるように終わっていく・・・ちょっと物足りなさがありました。
また、この人の長編読んでみようと思います。


2013年12月8日 17時58分21秒 (Sun)

鉄道員(ぽっぽや)

浅田次郎さんの「鉄道員」読みました。ぽっぽやと読みます。十年以上前ですが、直木賞受賞作! 映画化もされたらしいですね。
表題作の「鉄道員」をはじめ、8つの物語が入ってます。
「鉄道員」は、北海道の廃線になる鉄道の駅長さんの話。この駅長、乙松さんは、廃線と同時に定年を迎えます。長い間、ポッポヤとして、どんなに辛いときでも――娘をなくしたときでも、笛を吹き、旗を振り、喚呼してきた乙松さん。そんな彼に、ある寒い冬の日、優しい奇跡が起きます。
大まかなストーリーの流れとしては、珍しいものではないんですが、細かい部分の演出で泣いてしまいます・・・。自分の仕事に誇りをもっている人はかっこいいですね。ありえないことが起こるのに嘘くさくなくて、北海道のローカル線が廃線になったことは事実みたいですし、なんかこういう人もいたんじゃないかなぁと思ってしまいました。
ちょうど今くらいの季節にぴったりの、寒いのに温かくなれる小説です。

個人的に一番好きなのは、「ラブ・レター」。恋愛ものです。
恋愛ものにもいろいろありますよね。年齢差、身分差があったり、相手が実は人間じゃなかったり、幽霊だったり、僕は妹に恋したり、俺の妹がこんなに可愛いわけがなかったり・・・。
でも、こんな恋愛もののパターンは初めてみました。顔の知らない相手と結婚することは、まぁ時代ものならよくありますよね。・・・この「ラブ・レター」、結婚してからも知らないんです。現代の話です。
というのは、結婚したといっても戸籍上の話で・・・主人公は、知り合いのやくざに頼まれて、出稼ぎの中国人女性に戸籍を貸したんです。もちろん、お互い顔も知りません。主人公は、結婚したかわりにお金をもらい、一度も彼女と会うことなく、裏の仕事をしながら生きてました。
だから、突然、お前のかみさんが死んだぞといわれても、そんなのいたっけ、ああそういえば、くらいの感じです。でも一応、戸籍上は夫だから、死体を引き取ったり葬式やらのこともあるわけで・・・。話はそんなところから始まります。
会ったこともない、関心すらなかった妻からの「ラブ・レター」。電車の中などでは読まないほうがいいかもですね・・・w

他5編、「悪魔」「角筈にて」「伽羅」「うらぼんえ」「ろくでなしのサンタ」「オリオン座からの招待状」。「悪魔」と「伽羅」はちょっとホラーですが、あとは、温かくて切ないお話です。
どの話の主人公も、職業、出身地など違うのに、それぞれその業界のことを詳しく書けるのがすごいです・・・。鉄道員、営業マン、裏社会のこと・・・毎回、調べて書かれるんでしょうか。方言も、ちょっと調べたくらいじゃ、登場人物にしゃべらせるのは難しいですよね。
こういう作家さん、ほんとに尊敬します・・・。







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雨傘蝙蝠と申します。そのまま、あまがさこうもりと読んでください。

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