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2014年1月 アーカイブ

2014年1月26日 23時41分00秒 (Sun)

中大兄皇子伝 下

黒岩重吾さんの「中大兄皇子伝 下」読みました。
入鹿暗殺は上巻で終わったし、下巻はどうなるのかと思っていたら色々ありました。中大兄皇子といえば、入鹿暗殺が一番に思いつきますが、そのほかも大変だったんですね。
戸籍を作ったり、豪族たちの土地や人を国のものにして、天皇中心の国家を作りたいわけですが、たくさんの富を持っている豪族はいい顔をしませんよね。この政策に反対の姿勢を見せたのが、石川麻呂。中大兄皇子の妻、遠智娘の父で、入鹿暗殺では、彼がいないと成功したかどうか分からないほど力になりました。
政策に反対する者は排除しなければならないけど、彼を殺すのを皇子は悩みます・・・。


あとは、孝徳大王となった叔父の妻で、実の妹の間人皇女との恋。しかも同母妹です。孝徳大王と間人皇女は親子ほど歳が離れていて、間人皇女は内心嫌がってるのに、孝徳大王がめちゃくちゃ可愛がってるのが面白いです・・・w でも、間人皇女、兄の中大兄皇子と相思相愛です。
一番楽しみにしていたのは、額田王(ぬかたのおおきみ)の話。以前、万葉集の解説書を読んで、額田王が大海人皇子に詠んだ歌に感動したもので・・・(^^;
額田王は大海人皇子の妻なんですが、彼の兄、中大兄皇子が奪ってしまいます。いや、大海人の了承は得たんですが・・・。でも、権力者の兄に言われたら、断れませんよね。しかも、かわりに娘二人をやると言われたら。
中大兄皇子の妻となった額田大王、あくまでも宴の戯れとして、大海人皇子に歌を送ります。簡単に訳すと「野を過ぎゆきながら、あなたは私に袖を振ってくれるけど、野の番人に見られてしまいます」といったところでしょうか・・・。額田は中大兄皇子の妻なので、見られたら困りますね。
大海人の返歌が「あなたが嫌いだったら、恋い慕って手を振ったりしませんよ。人妻だからね」といった感じ。
この歌だけを読むと、この二人が幸せになれば良かったのにと思わずにはいられません・・・。
この小説では、額田王は大海人皇子に未練を残している、となっています。なんとなく嬉しい・・・。

中大兄皇子の一人称で書かれているこの小説ですが、それだけにやはり、最後は虚しいですね。邪魔者は全て排除し、欲しい女人は手に入れてきた皇子ですが、そんな彼でも最後は死にます。息子、大友皇子を皇太子にしたい。そのためには、頭角をあらわしてきた大海人皇子を倒さねばと思いながら・・・。
最後まで、兄に忠実な様子を見せた大海人。この小説の彼の目線で書かれたものがあればいいのにな・・・。彼の本心が見たいです。
黒岩重吾さん、この小説で初めて知った方ですが・・・古代を舞台にした小説をたくさん書きのこしてくださいました。読むぞ。


2014年1月15日 21時52分07秒 (Wed)

中大兄皇子伝 上

黒岩重吾さんの「中大兄皇子伝 上」読みました。
言うまでもなく中大兄皇子の話なんですが、一人称で書かれています。中大兄皇子の。珍しいなぁと思ったんですが、どうなんでしょう?
中大兄皇子といえば、蘇我入鹿暗殺。中大兄皇子は、天皇家の権威を回復するために、天皇家を無視するように権力を使う蘇我氏を倒すことを決めます。
・・・入鹿暗殺って、こんなに大変だったんですね。当然といえば当然なんですが、教科書で読んだ程度の知識だったので、なんかあっさり殺したイメージがありました・・・。
入鹿、いろんな意味で強いです。小説なので大げさにはしてあると思いますが、用心深くて、武術にも優れています。入鹿がいかに用心深く、強いかが分かるエピソードも書かれいるので、暗殺が成功するのは分かりきっていても、なんだかどきどきしてしまいました。
暗殺のシーン、迫力満点です。けっこうグロかったです(入鹿暗殺のシーンだけでなく、そういうシーンがたまにあります)。

鎌子(中臣鎌足)と中大兄皇子の信頼関係も見所ですね。基本的に他人を信用せず、心の中でけなしたりしている中大兄皇子ですが、鎌子だけには心を許しています。皇子の一人称で書かれているので、よ~く分かります。なんか途中で、ほんとに鎌子大好きだな!って言いたくなりました。
でも、鎌子と皇子が出会ったきっかけ、今昔物語に載ってる蹴鞠の話じゃありませんでした。鞠を蹴った際に脱げてしまった皇子の靴を、さらに蹴飛ばす入鹿。その靴を鎌子が拾うっていう・・・。あれ、入鹿がいじめっ子っぽくて好きなんですが・・・。

下巻は、中大兄皇子がいよいよ政治の中心に立って、新しい国家体制を作っていくんでしょうか。大海人皇子がかっこよく書かれているので、下巻での活躍が楽しみです。



2014年1月4日 21時12分30秒 (Sat)

おれは権現

あけましておめでとうございます。今年の一冊目は、司馬遼太郎の「おれは権現」です。
戦国モノの短編集です。福島正則の「愛染明王」、可児才蔵の「おれは権現」、花房助兵衛の「助兵衛物語」、飯田覚兵衛の「覚兵衛物語」、木村重成の「若江堤の霧」、長宗我部信九郎康豊の「信九郎物語」、安井道頓の「けろりの道頓」の七篇収録。
私は戦国は詳しくないので、福島正則くらいしかピンとこなかったのですが・・・でも、けっこうマイナーな人たちなんじゃないかなと思います。そんなことなかったら、ごめんなさい(^^;
特に気に入った3つを紹介します。


「愛染明王」
福島正則。秀吉の縁者で、彼に仕えた戦国武将です。
酒乱で、粗暴で、怒ると手がつけられなくて、『なかば、狂人』と評される人ですが、情に厚い。短い話の中で、彼の人柄が鮮やかに描かれています。
書き出しは、「こんな男も、めずらしい」。
正則は子どものとき、ちょっとした不注意で男を怒らせ、襲いかかってきた彼を包丁で殺し、案外簡単に殺せたことから武士になろうと思ったそうです・・・。


表題作「おれは権現」
福島正則の家中、可児才蔵吉良の話。いくつもの首をとった豪傑ですが、これは歳をとってからのお話です。
彼、自分は人間ではないと思っているそうです。軍神として諸国の武士から崇拝されている仏霊、勝軍地蔵(愛宕権現)が人間の姿をとって現れているのが自分らしいです。
妾のお茂代目線で書かれています。お茂代は、才蔵との子がほしい。でも、才蔵は決して子を作ろうとはしない。それは何故か。お茂代が調べるうちに、武将才蔵の臆病だった過去が明らかになります。才蔵はどうして強くなったのか? その答えの中に、彼が子を作らない理由、自分を勝軍地蔵の化身だという理由が・・・。


「けろりの道頓」
この短編集の中で、唯一、武将ではありません。道頓・・・道頓堀!
大阪の道頓堀を掘った人です。阪神タイガースが優勝したときにファンが飛び込むやつです。
道頓堀は有名ですが、この人のことについては、詳しく伝わっていないそうで・・・。でも、彼の容貌や人柄がすごくリアルに書かれています。数少ない資料から導き出した司馬遼太郎さんの想像だと思いますが、道頓さん、いい人です。道頓に限らず、この短編集の主人公はそれぞれ個性的で引き込まれます。
背は高くないけど、顔が大きくて、幼児のような笑顔の道頓。秀吉に好きだった女子のお藻を取られても「けろり」としています。何があっても「けろり」としている道頓ですが、それでも、お藻を忘れたわけではなかったんですね・・・。
道頓堀を掘る話ではありますが、本当のメインは道頓のお藻を想う気持ちでしょうか。


お恥ずかしいことに、教科書以外で司馬遼太郎の本を読むのは初めてだったりします(^^; 図書館で全集をパラパラ見たりはしてたんですが、なにせ、平安時代がないw 少しはあるみたいですが、図書館には見当たらなかった・・・。
でも、短編集ということもありますが、この「おれは権現」、戦国興味なくても面白いです! 某BASARAの武将たちもかっこいいですが、ここに出てくる人たちもかっこいいですよ!w
2014年、いい本でスタート出来ました(*´∀`*)

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雨傘蝙蝠と申します。そのまま、あまがさこうもりと読んでください。

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