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鬼の女房

2013年7月10日 15時31分51秒 (Wed)

田辺聖子さんの「鬼の女房」読みました。田辺聖子さんの王朝もの・・・! 新源氏物語や私本源氏物語、今昔まんだら、古典まんだら、田辺聖子の今昔物語、おちくぼ姫、王朝懶夢譚・・・だいたい読んだと思っていましたが、全集の中にありました。
「鬼の女房」の中に、いくつかの短編がはいっているといったもの。ぜ~んぶ、鬼の話です。
まずは表題作「鬼の女房」。橘則光と清少納言の話でした。無風流な則光と才女、清少納言が、ケンカしながらも(風流を解さない則光を、清少納言が馬鹿にしたり・・・)、なんやかんやで仲が良い恋人として描かれていました。でもまぁ最後は・・・(^^; 則光が三人の盗賊を殺した話や、柱から出てきて、おいでおいでをする子どもの手の話など、今昔物語ネタが上手くアレンジされています。

「鬼の語らい」。初っ端から「宴の松原」の鬼について書かれていました。その後もいくつか今昔物語などの鬼の話を紹介し、次も実際に残っている説話の紹介とみせかけて、アレンジを加えた小説が始まります。家に帰る途中、謎の美女から誰々へ渡して欲しいと箱を渡された遠助。絶対あけてはいけないと言われていたのに、何も知らない妻が、その箱を他の女へのプレゼントだと勘違いし、嫉妬してあけてしまう。謎の美女は実は鬼で、約束を破った遠助は、命を狙われるが・・・。鬼の怖さ以上に、女の人の嫉妬の怖さを思い知らされるお話です。

「水にとける鬼」。これも初めは説話の紹介。その説話に対する田辺先生の推測が書いてあるのも面白いです。しかも本題は、篁の話! 篁と妹の恋の話です。この話、夢枕獏さんのアレンジでも読んだことがありますが、原作(『篁物語』)を読んだことがないので、一体、どこからどこまでがアレンジなのか・・・。とにかく、悲恋です。

「樹の上の鬼」。これは、小説ではなく、鬼の出てくる説話の紹介とその解説、推測。今昔物語で老婆が鬼になって息子を襲った話がありますが、それは、老いて、息子たちに関心を持たれなくなった母の漠然とした憎しみと愛着が彼女を鬼にしたのではないか、とのことです。息子は決して親不孝者ではなく、母親の世話をするのですが、それは別の次元のことで、息子の世界から母親の姿はすでに消えている。母親もそれを感じている。それで鬼になったのだ、と。勉強になります・・・。メインは、『隠れ蓑草子』の紹介と解説ですが。

「鬼の歌よみ」。これも鬼の出てくる説話の紹介と解説。京極殿で「こぼれてにほうやまざくらかな」と古歌を歌う正体不明の声がするという話が今昔物語に載っていますが、田辺先生にかかれば、この鬼は文学大好きで、自分も何か和歌を作りたいけど、作れず、「こぼれてにほうやまざくらかな」と唱えている、と。なんか可愛いですね(^^♪ メインは、長谷夫と双六をした鬼の話です。

「恋やつれの鬼」。最後は、女が嫉妬で鬼になる話は多いけど、じゃあ男は・・・というのがテーマです。良房の娘、明子に恋した貴い上人の話。明子は天皇の妻なので、上人の恋が叶うはずはありません。ならば、鬼になって想いを遂げようと・・・上人は鬼になってしまいます。鬼になった上人が現れると、明子が取り憑かれたように上人を迎え入れるのも怖い話です・・・。今昔物語には淡々と書かれてありますが、こうやって細かい心情描写や解説つきで読むと、妙に現実味が・・・。

以上、「鬼の女房」でした。鬼好き、昔話好きの方にはおすすめです(^^♪

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