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王朝序曲 上 誰か言う「千花家ならぬはなし」と

2013年10月20日 18時41分23秒 (Sun)

永井路子さんの「王朝序曲 上」読みました。
雅な平安時代の幕が上がるまでの、どろどろした愛憎の話です。我が子、安殿を皇太子にするために、皇太子だった弟の早良親王に罪をかぶせた桓武天皇。その呪いによって病を得た安殿の孤独。
桓武天皇の妻が次々と死に、病にかかった安殿は、次に呪いころされるのは自分だと、ますます追い詰められていきます。そんなときに出会ったのが、亡き母に似た(と安殿は感じた)薬子。妻の母なんですが……。二人はあらぬ関係になり、桓武の耳にも入ることに。
桓武と安殿の、どうやっても相容れない想いに切なくなります……。桓武天皇は、安殿のためを思って権力を与えようとしているのに、安殿がほしいのはそんなものじゃないんですよね。
最大の権力をもった桓武天皇のことを永井路子先生は、よく「王者」という書き方をされているんですが、それが余計に、彼の苦悩と孤独感を浮き立たせている気がします。
あと、大事なのが、藤原真夏と冬嗣の兄弟。
真夏は同い年の緒嗣への敵意から、安殿に仕えるようになったのですが、いつの間にか安殿に献身するようになっていきます。桓武との仲が悪くなっていく安殿をなんとかしようと必死になる真夏を見て、弟の冬嗣はどこか冷めた気持ちでいる。冬嗣は出仕もまだで、誰の味方というわけでもありません。
冬嗣は真夏から安殿と桓武の関係、安殿と薬子の関係、起こった事件などを聞くのですが、彼は誰に属しているわけでもないので、冷静な推測を読者に伝えてくれます。
それにしても、登場人物一人一人の心情描写がうまい……。
これから、冬嗣がどのような心情の変化とともに政治に関わっていくのか楽しみです。帯の「まだ王朝の幕は上がらない」って言葉が好きすぎるw

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