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王朝序曲 下 誰か言う「千花家ならぬはなし」と

2013年11月5日 22時25分45秒 (Tue)

永井路子さんの「王朝序曲 下」読みました。
桓武天皇が死に、安殿が天皇(平城天皇)になり・・・。冬嗣の仕えている賀美能親王が、東宮になります。世間では、伊予親王が選ばれるだろうと言われていたのですが、安殿は自分を脅かす存在である伊予を陥れ、死においやってしまいます。早良親王を陥れた父を批判し、その呪いに苦しんでいた安殿が・・・。で、東宮の賀美能が、次は自分が呪われるんじゃないかと怖がり出す・・・。
平城天皇(安殿)は体調を崩し、しばらくして賀美能に譲位しますが、奈良へ引越しして元気を取り戻します。そこで起こったのが、世にいう薬子の変。平城の寵愛深い薬子が、嵯峨天皇(賀美能)に移りつつある実権を取り戻そうします。
そうはさせるかと必死で策を巡らすのが冬嗣。兄の真夏は、平城側にいるんですが・・・。嵯峨に仕える冬嗣と、平城に仕える真夏の、微妙な関係・・・実際にあった歴史の話のはずなのに、フィクションの時代小説を読んでいるかのようでした。登場人物たちの心の動きやセリフが人間らしい。実際にいた人物に、実際にやったことやらせながら、ここまで事細かに心情を書き出すのは、すごいなぁと思います。誰が何をしたか分かっていても、そのときの気持ちまで想像するのは、よっぽどその人のことを調べないと・・・。


歴史の通り、嵯峨側が勝ちます。平城の重臣である真夏は政治の中心にはいられなくなります(死刑になってもおかしくなかった)。嵯峨側を勝たせようと必死だった冬嗣ですが、事が終わると、さりげなく兄を助けようとするのですが、真夏は平城のもとにいる、と・・・。
とにかくいい話でした。超おすすめです。
図書館で借りたせいで、最後のおそらく解説っぽいページがなくなってるのに気づいたときの絶望・・・。



以下、どーでもいい話。
幼いころは自慢げに政治の話をする兄にムカつき、安殿に献身するのを冷めた目で見ていたのに、いざ、自分が勝ってしまうと、めっちゃ兄のことを気にしてる冬嗣が可愛すぎる。本人の前では兄君って呼んでるのに、心の中では兄貴って言ってるところも。
それにしても永井先生の作品は、セリフが可愛いなぁ。安殿の「俺はいやだ、行かない」(桓武のもとへ)とか、嵯峨天皇の「怨霊は怖いもんなぁ」とか。ああ、嵯峨天皇・・・綱のご先祖様・・・。

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