群青の空を仰ぐ
良い一日にするなら、朝ご飯は抜くんじゃない。
ここは東京ほど大都会ではないが、そこそこ賑わいをみせる街である。
ショッピングモールはあるし、駅も近い。
商店街に行けばいつもの八百屋のおっちゃんが「いらっしゃい!」って
大きな声で言ってくれるし、常連さんはいろんな情報をくれる。
公園では子供たちが甲高い声をあげながら走り回り、ベンチに座ってる
ママさんたちは話に夢中だ。
疲れた日は、いつもの居酒屋で飲んで帰るのもいい。
でもふと遠くを見れば、名のある企業のビルの頂点に赤い光が灯る。
その街の中に小さなビルがある。
その3階に会社があった。
看板には「洒落久(株)」と書かれていた。
こんなネーミングの会社は珍しいのでひときわ目を引く。
社員は全員で6人。
とても小さな会社だ。
今は午前7時30分。
会社にいつも一番に到着するのは社長の「柳 雅之」だ。
早起きするのは日課なので苦にはならない。
席に着く前にコーヒーメーカーに豆をセットし、電源を入れた。
7時35分。
決まって2番目は「高馬 鳴海」。
社長の右腕的存在なんだけど、そんなに気を張らなくていいと言われた。
とてもまじめな彼はどんな仕事もきちんとこなす。
一流大学を出たエリートさんなんだけど、なんだかんだでこの会社にいる。
でも目の視力が悪いので眼鏡をはずすと目の前が見えない。
7時40分。
「おはようございます~。」
明るいあいさつで入ってきたのは「溝口 由里花」。
二人しかいない女性社員のうちの一人。
一見クールビューティーだが、鋭いツッコミを入れてくれる人。
席に着くとカバンの中から飲み物とおにぎりを取り出した。
高「朝飯まだだったのか?」
溝「すみません…なんか朝は食べられなくて。」
高「体調崩すなよ~?」
しっかり心配してくれる高馬先輩は優しい。
7時45分。
「おはよーございます~。」
というあいさつと同時にドアが強めに閉まる音。
間違いない、あの怪力の持ち主は「城山 剛介」。
元気なのは良いが、力が強いのでたびたび物を壊してしまう。
元格闘家の彼なので、仕方がないのだろうけど。
城「あれ、今日は朝飯ちゃんと食うてるやないですか。」
溝「今食べ終わったところよ。」
城「小食やな~相変わらず。」
溝「あなたと一緒にされても困るわ…」
城山は朝ご飯を食べることが絶対的な日課になっている。
それが健康の元だという。
高「城山は朝飯何食べたんだ?」
城「昨日魚を焼いたんでその残りと白米とみそ汁にお浸し、食後に
りんごですね。」
溝「食欲すごっ!」
城「朝食は健康の源ですさかい。」
7時50分。
朝礼が始まるまであと10分。
騒がしいあいつらがやってきた。
「「おはようございまーす!」」
香「ってシゲ!入れないでしょうがどいて!」
新「先輩こそ!おれが先っすよ!」
入口でもつれながら「香月 亜津子」と
シゲこと「新田 茂信」が入ってきた。
柳「おはよう。朝から元気がいいね。」
高「騒がしい奴らですよ…」
香「城さん!今日はご飯何杯食べました?」
城「1.5杯やな。」
香「よし!」
うれしそうにガッツポーズする香月。
香「私は今日、おにぎり2個食べました!」
新「カウントしづらっ。」
香「そういうシゲは朝飯食ったのか?」
新「食べてますよ~?俺、朝はパン派っすから!」
溝「パン派かどうかは聞いてないのに教えてくれたわね。」
なんやかんやで全員揃い、時刻は8時。
朝のミーティングが始まる。
柳「おはようございます。
今日も一日お願いします。
では今日は朝飯についてみんなで討議して…」
高「社長、朝飯トークが混ざってます。」
2/2
