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2017年10月 アーカイブ

2017年10月15日 9時48分27秒 (Sun)

冬支度

10月もすでに真ん中。
先週、気温が30度近い夏日が数日あったのに、この週末は雨。肌寒いを通り越して、冬に向かって着実に大地を冷やしていくような晩秋・初冬の日本海側でよくあるような冷たい雨の休日。
さすがに今年はこの先、もう、「夏の日」はないのかな。
 
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アルバイトやスポーツクラブへ向かう子供たちを送り出して、庭先に出て空を見上げたら、灰色の空に「くの字編隊」で首の長い大型の鳥が飛んでいた。おそらく、たぶん、まちがいなく、ハクチョウだ。

この季節、越冬地を目指して「渡り鳥」が秋空に編隊を組んで飛び交う、ということは、田舎で生活していた折、「ごく当たり前」に見てきたことだ。だけど、東京暮らしを四半世紀以上してきたここまで、この地でそんな渡り鳥たちの姿を見たことが果たしてあっただろうか?ボーとして過ごしてきたせいもあるだろうけれど、東京で渡り鳥の群れ飛ぶ姿を目の当たりにしたのはこれが初めて。東京とはいえ、ここは多摩の自然に比較的恵まれた郊外だから、渡り鳥の飛行経路になり得ているのかなあ、なんて思った。
 
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冬の始まりの季節到来を告げる渡り鳥の飛来があった。そんな中、庭先でいったん枯れてしまったかのように見えていた花たちが、「もう一花」咲かせはじめているのだ。バラなど、春に開花している鉢植えを買ったはいいが、梅雨の長雨に根腐れで枯らしてしまったのだった。その後「経過観察(放置)」していたのだが、夏の終わりごろから枯れ枝から葉が生えだし、今ではしっかり復活、深紅の花をつけ始めたのだ。
 
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同じように春に開花が終わった後、枯れてしまっていた鉢植えの一つも、いつの間にか復活し、面白い幾何学模様の小さな花を再び咲かせだした。庭先のアサガオは夏至前から秋のお彼岸が過ぎてひと月になろうというのに、この間、途切れることなく、毎朝開花している。それぞれ春や初夏の勢いを感じさせる咲き方とは少し異なる、静かだが力強さを感じさせる咲き方で、冷たい雨に打たれながらもしっかりと息づいているのだ。
 
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こんな庭先の花たちに生命力と同時に何となく不思議さを感じてしまっているのだけれど、それは草木の開花は一年で一度のものというのが「常識」と思っているからにほかならない。庭先のバラや草花のように1年に二回・三回と繰り返し咲いたっていいのだろうし、アサガオのように咲き続けられる限りずーっと咲きっぱなしだってかまわない、だろう。いや、むしろ、花咲き実を結ぶことで次世代をつなぐ植物ならば、開花・結実機会がいっぱいあった方が繁殖・繁栄しやすいようにも思えるから、常識的な年に一度の開花に甘んじているのがむしろ不思議なのじゃないか、って屁理屈も浮かんでくる。

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だけど、大方の植物は「潔く1年一度の開花・結実のチャンス」を、良しとして生き続けているようだ。梅・桜は春、ヒマワリは夏、コスモスは秋、サザンカは冬を代表するなどのように、その季節に一度きりの開花を見せる植物がほとんどなのではないだろうか。これは、開花・結実にかかるコストやリスクを年一回に集中させ成功するモノが多いことを意味するのかもしれない。だから、そんな中で暮らしていると「植物の花は一年で一度、その植物の適した季節に咲くもの」という誤った常識が出来上がってしまうのだ。全く逆の方法、コスト・リスクを分散させ成功させる生き方だってあってもいいはず。それもまた、たくましい生き続けかただよなあ。と、花を見つめて考えた次第。
 
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さあて、子供たちがアルバイトやスポーツクラブで留守にしている合間に、夏物衣料と冬物衣料の入れ替えなのだ。
 

2017年10月9日 11時06分28秒 (Mon)

気づいたら秋

しばらくブログ書き込みをご無沙汰してました。マイちゃんが代わりに
「イスノ アイマ カラ・・・スミマセン」

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8月の子供たちの夏休みが終わったあと、突如、時間が狂おしい勢いで流れ出してしまったのだ、隙間なく。今年出かける自分企画の観測をやってもらう隊員たちへ、南極観測の準備も佳境を迎えていたし、過去の悪事、もとい、観測事業の報告もあった。はたまた本業研究がらみで講演や学会での発表も請け負ったりしゃしゃり出たりもした。ついでに子供のPTA活動での交通安全当番、スポーツクラブ活動のみまもり当番、運動会などなど。なんだか休日返上でとにかく動き回るっていう感じの、言ってみれば「回遊魚的性質の自分らしい気もする」9月だった。いや、それ以上、「その日暮らし的自転車操業状態」で、なんとかあがいていただけかもしれない。

妻の仏壇に向かい、
「いつまで、死んでそうやっているのだ。いいかげん、出てきてはくれまいか」
などと、無理な文句をつぶやきだすこの頃、である。
 
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仕事と日常生活のどちらにも配慮した生活を営むことは、簡単ではない。だが、仕事の忙しさに家庭を顧みる時間を犠牲にすると、我が家の場合、息子はただでさえ手に負えない状態がさらに悪化、その様子に娘は飛び出し、家庭崩壊・一家離散という公式も見えてくる。また、家庭の維持にばかりかまけていると、本業の著しい滞りで研究者・社会人として失格の烙印を押されちまいそうでもある。だから、ここは頑張りどころ。お盆セールで的中した一等商品の「遊園地フリーパス」の期限内に、一時もゲーム機を手放さない息子を連れ出したり、運動会の弁当を作ったりという家庭生活と、娘の協力を得て(留守番と子守り)一般の人々へ南極観測を紹介する講演を引き受けたり、ほとんど3年間ご無沙汰していた学会へ参加し、自身が生きて活動しているという証を提示する機会を9月に集中させちまったのだった。
 
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気づいたら10月。中秋の名月あり、観測隊の壮行会も目白押し、観測物資集積梱包搬送あり、はたまた大学院時代の先輩の還暦のお祝い行事あり、と、今月もまた、何やら時間の隙間なく流れ始めている。

先輩の還暦祝いに集まったのは20名弱の同じ研究室で過ごした恩師・先輩・後輩の仲間たちだった。自分の​大学院時代といえば、まだ結婚前の20代の若者だった頃。ほとんど30年ぶりに合う仲間や先輩、それに間もなく喜寿を迎えようとしつつも当時と変わらずアジアを飛び回って精力的に活躍している恩師の姿にも出会えた。それぞれが過ぎた時間の中で見事に活躍して今を迎えている、と思えた。果たして自分はこの間、何かできたのかといえば、南極でドタバタ・じたばたしてきただけ、である。南極ドタバタリピートっていうのが、たとえごく一般的には、できることではないのかもしれない。けれど、だからと言って、そうしてきた軌跡が職業人・研究者・社会人としての自分の責任とその結果としてのステータス構築に、何らかの足しになっているのかと問われれば、答えに窮してしまうのだ。内省。みんなの輝く姿を目の当たりにし、この先、まだ俺っちには「ノビシロ」が、息子並みにある未熟者なのだなあ、と、痛感した次第。
 
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さてさて、自身の反省はこの辺にして、体育の日並びの10月の連休に、しばらく出かけることができなかった「海の調査」に息子を引き連れて出陣してきたことの報告へ移ります。
 
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いつもお世話になっている小田原早川港の船宿から、秋の海の状況調査なのだ。「実りの秋」というのが海にも通用するかどうかは知らないけれど、この季節、台風や大荒れで出船できないことはあっても、多彩なおいしい魚たちに、最も確実に出会える季節、と、ここまでの人生が教えるところ、なのだ。

朝一番、酒匂川河口のポイントから探査を始めるも、この場所では模様乏しく、私が落とした仕掛けに反射的に飛びついてしまった手のひらサイズの「ガンゾウビラメ」のみ(過去のブログにも似たことを書いたが、この魚は今回のウイリー五目のターゲットではない、のだ)。船長はすぐに大移動を決意して、米神・根府川周りの定置網周辺へ向かって仕切り直し。これが正解、帰り際までほとんど休むことなく「イナダ」が強烈な魚信で飛びついてくれたのだった。イナダという出世魚は地方での呼び名も多彩で、関西ではハマチと呼ばれるのは結構な方々の知っているところと思う。秋田では1-3㎏サイズをフクラゲ(ギ)とかガンドという呼び方となる、ってことは、もしかして秋田県人でも知らない方がいるかもしれないなあ。ガンドという言葉は秋田弁で「食い意地汚いヒト、何でもかんでも目についたものすべて食っちまういやしいヒト」という意味合いの言葉である。これがイナダの地方名に付されているのだから、「目の前にある餌ならすぐに飛びつく性質」があることを、タブン物語っているのだ。だから竿を手にした息子にも、イナダは容赦なくかかってきてくれる。
「手が折れる―!」
などと叫びながら、息子、数匹確保。しかし、取り込みにもたつくと元気な青魚系である故、周りの釣り人の仕掛けを巻き込んでの「お祭り騒ぎ」を誘発しちまうこと必至。ごめんなさい、保護者の指導不足でした。
 
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イナダをはじめ、ヒラソウダ・メジマグロ、こんな青物系魚族に追われ右往左往しているウルメイワシ、海底付近を引きづってアマダイ・ソコイトヨリが我が家の主な漁獲物となった。それにしてもイナダが元気すぎていた。まじめに船長の指示通りにやってしまうと、イナダ漁獲物総量30㎏を超えそうな好模様なのだ。好調に乗じて釣り続けちまうと、途方もない量のイナダに、うちに帰ってから途方に暮れちまうことになる。そんな未来は船上で予測できるヒトに育っている。伊達にこれまで長いこと、船釣り趣味に明け暮れてきたわけじゃないのだ。少しは痛い目を見て学んでもいるのだ。だから5匹を超えたところで、積極的に「イナダを釣らずに別の魚」を狙ってみたのだ。が、そうそううまくはいかない。マダイやヒラメという白身系を狙ってみるも、海面に姿を見せるのはやっぱりイナダ君。船中でもイナダ祭り状態ではあったけれど、うらやましい魚、カイワリ・マダイ・本ガツオを手にした釣り人も、ちゃんといたのだ。手を変え、釣り餌を変え、仕掛けを変え、マダイ・カイワリ、赤アマダイあわよくばオニカサゴを意識して釣ろうとした。けれど、こうした変な釣り方で自分に確保できたのは、小さなハタとアミメウツボ…。まあ、意図した通りに釣れてくれた心優しい魚もいて、ウルメイワシとカキノタネとサイズのメジ、放流したいけれど目玉飛び出しでままならないアマダイの子供等…。うまくいくもんじゃない、ねえ。

イナダは現在「干物」として庭先で秋の空気の中、熟成中なのでした。

プロフィール

プロフィール画像
プロフィール
極地で水の中とその周辺で生きている生き物を対象とした生態学を探究中。

北極や海が冬に凍るオホーツク、はたまた夏の南氷洋で氷とともに生きるアイスアルジー(海氷藻類)の研究に携わった後、これまでに日本南極地域観測・越冬隊に3回、夏隊に5回参加しながら南極の湖の野外調査研究を続けている。
性別
男
血液型
O型
自己紹介
極地研究所に職を得て以来、地球の北や南の極地でなぜか騒々しくドタバタ・ジタバタしながら動き回る生活を四半世紀以上続けてきたことに気づいてしまった。現在は、南極でひそやかに輝く湖たちと付き合ってきたせいか、年齢相応の落ち着いたオトナになっているような気がする。
趣味
釣りと料理、最近、家事一般雑事など、多趣味になりつつあるのが困ったところ
特技
自転車操業、せっかちで多動症のようなところで人生をやり過ごしているような技
職業
国立極地研究所 生物圏研究グループ・総合研究大学院大学 極域科学専攻 教授

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