2020年9月 アーカイブ
2020年9月6日 8時28分50秒 (Sun)
カツオ・マグロの夏祭り
相模湾の暑い夏

連日連夜、30℃を超える猛暑の夏。相模湾に黒潮の分流とともに「弾丸野郎」たちが群れ入り込んでくる。海面に突っ込む海鳥、鳥山や魚のハネを遠方から見つけた船は全速力で駆けだす。そんな群れを追いかけ、いつしか相模湾中の釣り船が沖の一点に集結してしまう。それぞれの船長は群れの動きを先取りし、船を停止させ、釣り人は船長が
「ハイ!やってー!、棚、5m!」
そんな号令に遅れぬよう、臨戦態勢で仕掛けを片手に、いつでも投入できるよう臨む。
夏到来とともに黒潮に乗ってカツオ・キハダマグロの群れが相模湾に入り込んでくるのだ。この群れは8月から10月いっぱいぐらいまで湾内にとどまってくれるのが、ここ10年ほどの傾向だ。相模湾内の釣り船のほとんどはこの群れを追いかけ、お客さんを集め、相模湾せましとばかり群れを追いかけて駆け回るのだ。
それ以前の時代、夏の定番といえば、ワカシから成長し出世したイナダ、さらには晩夏から秋にはさらに出世したワラサだった。カツオやマグロが相模湾内に入り込む量が最近増えたのかもしれない。けれど、八十八夜の上りガツオや秋の下りガツオなど、相模湾は小田原から鎌倉まで、江戸時代にも名物でもあったのだから、そんなカツオやマグロの習性はかなり昔っからあった、当たり前の回遊行動なのかもしれない。
10年ほど前のカツオとキハダマグロが釣れ盛る以前、港まわりの少し沖、水深が50mよりも浅い沿岸で群れが集まるイナダのカッタクリ釣りが定番人気だった。そんなイナダのカッタクリ釣りで釣れる魚の中に、時折、カツオやメジ(本マグロ(クロマグロ)の幼魚)が混じって釣れることもあったし、そんな場合、イナダ仕掛けなど「瞬殺」で引きちぎられたり、針がのばされたり、おられちゃったり、接続具が破断しちゃったり、はては竿でやっていたら折られた、と大騒動になっていた。ただ、ここ最近のカツオやキハダマグロの群れはそんな以前よりも濃くて割合長期間、相模湾内で餌をとって育って旅を続けるようなのだ。今でもカツオ・マグロの群れ本体は、いわゆる大陸棚の水深200mより浅いエリアにはなかなか入ってこない。もうすこし沖合の表層を泳ぎ回りながら餌を喰い、育っていくようなのだ。むろん、夏の一時にはそんな魚が沖合にいることを知っていた職漁船は一本釣りだったり引き縄で漁労をしていたわけだ。群れの一部がナンカの拍子に岸よりにやってきて初めて、素人が趣味乗合船の高級大物外道として挑戦できていたわけだ。
それが、昨今、素人釣り人を乗せた釣り船が相模湾内を縦横無尽に駆け回って、船長も釣り人も「チマナコ」になって弾丸野郎・怪物野郎との戦いを繰り広げるようになってしまっている。相模湾という急峻に深みに続く湾の特性で、大陸棚の外といっても港から割合と近いこともあるだろうし、このところの地球環境変動で海流や海の温度上昇というものも影響し、回遊魚の寄り道しやすさが変わってきたのかもしれない。真夏、数キロから50㎏を超えるような回遊魚が港から数キロの沖合でイワシからアジサバ真鯛イナダワラサとおんなじ餌のナンキョクオキアミで釣れちゃうのだから、すごい時代になったもんだ。

カツオが湾内に入ってくると、港は異様な熱気に包まれる。世も明けないうちから真っ黒に日焼けしたオッサンたちが船をもやった岸壁に集合しだすのだ。いや、オッサンばかりじゃなく、近頃は女性釣り師の姿も目立つ。そんな光景に拍車をかけたのが10年ほど前のキハダマグロ乱舞だった。それまでは夏から秋の時期、イナダに混じって釣れるマグロといえばホンマグロ(クロマグロ)の幼魚、メジ主体だった。「柿の種」と呼ばれる1から3㎏程度が、カッタクリ仕掛けのハモ皮や裸針につけたオキアミにいい反応を示し、きっちり棚をキープすると、「狙って」釣ることもできるいい魚だった。ギュンというあたりの後、カツオならビビビビと右往左往上へ下へ泳ぎまわるのだけど、メジならば「真下」に引き込む性質があって、イナダ仕掛けでもハリスが4号程度ならうまくやれば他の人とお祭りさせることもなく船へ取り込めた魚だった。たぐる手加減(カッタクリのナワ仕掛けだから)を引きに合わせて加減しながら船へ寄せてくると、水面下に現れたギラっと輝く青緑色の魚体には興奮して横縞が現れて見え、メジだと認識できるのだ。ちなみに色合いで黄色っぽい尾で緑の体色だったらイナダ、赤茶色っぽかったらカンパチ、茄子色だったらカツオ。
船へ取り込めばカツオ類にはそれほど発達していない水平尾翼のような尾びれ付け根の突起の発達が見てとれ、マグロはかっこいいなあ、違うなあ、と思ったりしたものだ。今ではホンマグロ幼魚は資源保護上、釣ってはいけないことになっているし、船でも狙って釣ることもないし、万が一釣れたとしても魚体を傷つけてないようなら触らないようにしてリリースするようになっている。
食せばなかなかおいしい本メジを狙って釣ることかなわなくなって、すこし残念な気もするけど、そんなことを全く気にならない些細なコト、としてくれたのがキハダマグロだった。キハダはカツオの群れと混じって行動する習性があって、カツオの一本釣りでも2-3㎏主体のカツオの群れに5-10㎏の「ダルマ」と呼ばれるキハダの幼魚(キメジ)が混じっていることが多々あって、カツオならぬきあげられても、ダルマだともっと胆力がなきゃ、上げられないターゲットとして、職漁師の中では知られていた。キハダは成魚になると100㎏を超えるまで育つマグロで、ホンマグロほど脂のりはないのだけれど、いやいやどうして、しっかり脂のりほどよく、夏が旬と言われる美味しいマグロである。従来、沖縄や周辺の海域が主要な漁場と思われていたところ、今世紀に入ったぐらいから相模湾で釣り人の仕掛けを切りまくる怪魚現象が頻発しその正体が20kgを超えるサイズのキハダだった。10年ほど前から仕掛けや釣り方が試行錯誤されて、「取り込めるようなメソッド」が確立した。今では乗合船ではじめて釣りをする人でも、運が良ければ30㎏を超えるキハダを手中にすることが可能となっている。遊漁船で釣り上げられるサイズも年々大きくなって、去年など(2020年現在)、小田原の港前で50㎏オーバーのキハダが多数釣り上げられて「オダモン(オダワラモンスター)」の愛称で呼ばれたものだ。そのうち、100㎏サイズが釣り上げられてもおかしくないぐらい、このところヒートアップしている。何よりも、相模湾内に入ってきたキハダマグロはスーパーや魚屋で並んでいる柵どりしたキハダマグロとおんなじ魚なのか、と思えるほど、旨い。

そんな水面下のカツオ・マグロ魚群の移動を読んで、投入から数十秒後に群れ本体が通過するであろう場所を魚探やソナー、そして何よりもそれらデータを読んで瞬時に判断する船長のカンで、「ここだ」と決めたところで船を止め、投入合図を繰り返す。答えは数分後、船中に激震の騒動となるか、しーんとした竿先を見つめるだけで終わるか、で正解か否かが返ってくる。

カツオの群れをうまく捕まえられたら、仕掛けを下して30秒もたたないうち、コマセを一振り、いやコマセを降る以前の落下途中の仕掛けに激しいあたりとなって出る。しかし、うまく群れを捉え、そのど真ん中に仕掛けが下りていたとしても、まったく餌に見向きもしないで素通りされちまうことだって、ある。そんな餌に興味を示さない状態というのもしばしばあることではある。それは仕方ないことだが、何かがきっかけになって餌に興味を示した途端、怒涛の入れ食い状態になるというのが、カツオはもちろん、アジやサバ、イワシなどの青魚系でよく認められる。
さて、この群れはどうなんだ、喰う群れなのかどうか、釣り人はいい群れであることを願って、コマセを振りアタリに瞬時に合わせられるようにする。対応が遅れ、カツオに主導権を与えてしまうと、横っぱしりの帝王カツオは、隣近所の仕掛けを巻き込んで泳ぎ回る故、大お祭り騒動になってしまう。だから、ぎっちりとリールのドラグを締め、アタリに瞬時に合わせたなら、あとはカツオに有無を言わせる隙間を与えず一気に船へ引き上げる、それがカツオ釣りの大事なコツとなっている。今一つ、カツオは意外と「目がいい」ところもあって、できるならマグロで使う仕掛けよりも細めのハリス(12号から16号)で、針も管付のようなごついヤツではなく、ヒラマサ針のような耳付きのモノ、そして針をオキアミがしっかり隠すような「丸付け」という餌のつけ方がいいようだ。それにしろコマセに突っ込んでくる青魚だからか、コマセ籠(ビシ)とそれほど離れないところに針があるのが望ましいようで、ハリスの長さは昔っから「一尋と矢引き(2.5mほど)」程度がいいとされている。短めが横走りの帝王にひきまわされ過ぎず、取り込みもしやすいのだ。

しかし、そんな「問答無用で一気に巻き上げ取り込み」というのは、カツオならではのコツであって、多くの大型魚の場合、魚の引きに応じてやり取りしたり、糸をだしたり、竿でためたりして引きを弱めながら引き寄せるのが普通なのだ。だが、カツオで引きをいなしたり、竿でためたりしていると、必ずと言っていいほど、バラしにつながってしまう。カツオの瞬発力と遊泳力の強さゆえかもしれない。引きをいなして泳ぎ回らせてしまうと、いい針掛かりだったとしても、パワーの強さに針穴が広がってしまったり、口が引きちぎれたりする。泳ぎ回られている時間が長引けばそれほど針が外れてしまうリスクが増加して逃げ去られることになる。2020年9月最初の我が釣りでもそんな「ばらし多数現象」を実感してしまった。1尾をなんとか船へとハネあげた後、5尾連続で船べりまで寄せる途中でバラシしまくった。その様子をしっかり船長にみられちまい、
「なーにやってんの!カツオは、竿でかっこよくためてやりとししちゃ、だめなんだよ。かかったら一気にやり取りしないで、とにかくリールを巻く手を止めずに引き上げる!」
しっかり指導のゲキが飛んできた。そういわれてみれば走り回るカツオの引きを竿でためていると、魚の泳ぐ向きが変わると同時に、針から外れて泳ぎ去ってしまう。そんな当たり前のことに改めて気付かされたのだ。

カツオなら一気に勝負、だが、マグロならば・・・これは引くのに任せて走るだけ走らせなければ釣り上げることができない、相反するところとなる。なにぶん魚体が大きいことに加え、その大きな口には細かな鋭利な歯まであるのだ。だから、口の脇、通称、カンヌキと呼ばれるところにうまく針がかりさせなければ、極太のナイロンやフロロカーボンハリスであったとしても至極容易に切られてしまうことになる。竿がフワっと揺れた次の瞬間、テンションがなくなって、回収した仕掛けの先に針がない瞬殺現象がよくあるのだ。この初期微動のうちに思いっきり合わせて針をカンヌキに刺し通す、もしくは内側にネムッた針を使って、一旦飲まれたとしても口中から引き出されカンヌキにかかりやすいネムリ針系を使う。そんな備えがなければマグロとの勝負に持ち込めないのだ。
うまい事針がかりしてくれたならば、ドラグを緩めたリールから、大概は一気に100m以上、道糸が引き出される。これがファーストランと呼ばれる海底に向かってマグロが潜る現象だ。ドラグ力も2,3㎏ぐらい、容易に引き出せるほどに設定して、この初期の走りを交わし、マグロが潜って疲れるのをひたすら祈る。ここで不幸にしてハリスがマグロの歯にあたっていたり、ドラグがきつすぎたりすると、ハリスがプツンと切れて、ハイサヨウナラ、ってことになる。

うまくファーストランを交わし、マグロが潜り疲れて上を向いてくれた気配なら、ここからひたすら巻き上げにかかる。途中、正気に戻ったマグロが、セカンドラン・サードランと、またまた100m近くも潜りラインが引き出されたりもするけど、ここまで戦えたのなら、かなり針はいいところにかかったものだと信じ、一進一退の攻防をすれば、いい。さて、あとは1㎝でも魚との距離を詰めるだけ、なのかというと、なかなかそうはいかない。海の中にはさらに凶悪な輩が徘徊していることが多いのだ。サメである。
引き上げにかかっていると、突如マグロがにっもさっちも動かない状況になることがあったり、あるいは突如暴れたかと思うと、ガツン、というショックでその後テンションがなくなったり、単なる重い抵抗体と化したり。せっかく釣り上げることができそうなマグロをサメに横取りされちまうことが、かなりあるということも心しておかなければならない。あまり長時間、引き上げに手間取ってしまうと、サメの餌食となる確率も高くなってしまうのだ。
そこで、超音波の鮫除けグッズや、あるいはマグロリングと呼ばれるマグロのヘッドギアのような物を投入してサメをよけつつマグロの抵抗を弱めて一気に引き上げにかかる、など、かかったマグロの取り込みアイテムが考案され使われてもいるのだ。
そこで、超音波の鮫除けグッズや、あるいはマグロリングと呼ばれるマグロのヘッドギアのような物を投入してサメをよけつつマグロの抵抗を弱めて一気に引き上げにかかる、など、かかったマグロの取り込みアイテムが考案され使われてもいるのだ。

無事に船べり近く、水深2,30mほどまで引きあげられてくると、道糸はおおむね時計回りに回り、時折、水中で白くぎらつくマグロの姿が見えてくる。天秤まで引き上げ、最後のフィニッシュだ。釣り人は突如の引き込みに備えドラグを緩め、ハリスを手繰る船長や乗り子さんに手伝ってもらいながら、大きなたも網、もしくはギャフをかけてもらって二人がかりで船内へ引き上げられれば勝利!この最後の段階でも表層に泳ぎだしてきたサメに奪われちまうこともあるから、もたもたしてはいられない。

そうやってなんとか首尾よくカツオ・キハダを手中にできたならば、あとは「おいしく食べる」ため、釣った魚を大事に扱うのがいい。だけどカツオのいい群れに当たって、次から次へ喰ってくるような状況になると、釣り人はもちろん、船長までもが一種のトランス状態・興奮のるつぼに陥り、無我夢中で釣りまくるってことになりがちだ。釣りあげた魚を桶にほおり込み、次の魚次の魚と釣ってしまう。群れが過ぎ去って一段落した頃、自分の周りを見回すと、血まみれの惨劇となっていることに初めて気付くっていう塩梅だ。カツオは激しい振動で甲板上を暴れまわり、血を吐き、のたうちまわる。足元は血の池地獄。一尾が数キロになる魚。釣り上げたならば即刻暴れないように〆て血抜きを施し、すぐさま海水氷でキンキンに冷えたクーラーボックスに保存するのがいい。そうすることで帰った後の調理も楽だし、なにより生臭み一切なしの爽やか、あるいはもちっとしたカツオ本来のおいしさを楽しむことが出来る。

キハダは20㎏を超えるサイズともなると、10分以上取り込みに要することが普通だ。1mを超える体長にもなるから、釣り人が普通に持っているクーラーボックスに収まるサイズではない。これは釣り上げたら脳天に杭を打って〆た後、船の揚水ポンプを使って海水を口から流しいれ、血抜き処理をし、船の氷を入れた甕もしくは保冷庫へ帰港まで格納してもらえるようになっている。帰港後に解体サービスを提供する船宿も、ある。解体されブロックにしたマグロを釣り人はクーラーボックスに大事にしまいこんで凱旋帰宅できるサービス。

カツオはやっぱり釣った直後の鮮魚が最上と思うけれど、大型のキハダなら、鮮魚もいいけれど丁寧に皮つきで切り分けて冷蔵保管して、身に脂が回るように熟成させたものの味わいも格別だ。カマはもちろん、頭の脳天や頬や目玉といった兜、はては尾びれの付け根付近の筋っぽいところまで、焼き物煮物揚げ物といろんな料理で楽しめる。ただ、数十キロの魚であるから、兜や筋っぽい尾の身など、持ち帰るのも面倒に感じたり、そもそも、持参したクーラーボックスでは収まりきらなかったりして、ないがしろにされちまうことも多々ある。贅沢この上ないことだが、大トロ・中トロ部位だけのお持ち帰りで、あとは皆さんで分けてください、ってなことも、あったりする。

できることなら丸ごと一本、持って帰って解体してみるのもマグロを確保した釣り人ならではできる面白いことになるのだろう。が、なかなか自宅でそれをやろうにも場所やまな板・包丁などの道具が間に合わなかったりする。自宅の風呂場などが唯一汚れても掃除しやすそうに思って、鉈やのこぎりを持ち出し、1mを超える30㎏のマグロを帰宅後の夜に運び入れ、フフフフフとブキミなにやけた笑い声とともに解体作業、となると・・・血なまぐさくも極めて怪しい行動。ご近所から通報される危険もある、かも。

首尾よく鰹鮪を釣り上げ凱旋帰宅できたなら、一本でも家族分十分すぎる釣果なのだから、ご近所・知り合いへおすそ分けもいいだろうが、なにぶん、大きすぎる故の料理の手間を配慮して差し上げるのが大事かも。昨今、家庭用には出刃包丁や大きなまな板など、当たり前のように備えているご家庭がどれほどなのかわからない。三徳包丁と果物ナイフぐらい、あとはかわいいサイズで収納管理し易そうな小さなクックボードみたいなところで賄っているご家庭だって、普通かもしれない。魚をおすそ分けする場合、そんないろんな家庭の空気も読んで、こちらのご家庭なら丸ごと、こちらならば柵どりしたヤツ、というところまで配慮できるのが理想。だけど、なかなか釣りで疲労して帰ってきたばかりのオッサンにはつらいところもあるのが本音だ。まして我が家のような父子家庭となると、片付けや家事分担するパートナーがいないものだから(早く息子が自発的に手伝ってくれるように育ってくれないものか)、とれたて鮮魚をおすそ分けしてあげたい気持ちと、丸ごと一本差し上げた場合のもらう側の手間などを考え、喜んでくれるか迷惑がられるか、と、かなり心が揺れ動いちゃうのだな。

しかし、カツオぐらいの大型魚なら、実はかなりさばきやすいもの。少しぐらい骨に身が残ろうが、下手にさばいたって十分可食部分が残るので、むしろ素人料理には手ごろなのかもしれない。カツオもマグロも、体のごく一部に硬い細かな鱗があるだけ。ここを包丁でそぎ取って、第一背びれを引き抜き、あとはカマ部分から頭を断って3枚や5枚におろすのが容易なのだ。これが、タイやヒラメとなると、全身うろこでおおわれている。2㎏ほどのタイともなると、この鱗を取る作業だけで、流し台回りが大変なことになりかねない。ヒラメの細かいうろこなどは柳葉包丁をうまく使ってそぎ取る、少しばかり面倒な作業と技術も必要になる。カツオやマグロのほうがずいぶんと容易にさばける、と思うのだ。

カツオそしてキメジと呼ばれる10㎏未満のキハダマグロならばアジやサバのように皮を手で引きはがして除去もできる。カツオならば腹側の銀色で黒のストライプの入ったところは、あえて皮付きのままにして、炙ってタタキにしつらえるというのも定番だから皮をひかずともいい。炙るのならば稲わらが用意できるのが最上で、藁の香りのついたたたきを味わえる。だけど、都会の庭先で藁を燃す行為というのもまた、はばかられるから、ガスバーナーを使っての炙りで我慢せざるおえなかったりする。炙り始めるとカツオの皮身からバチバチと脂が燃え跳ねる。

定番の土佐造りや炙りのたたきで賞味しても、一度には喰いきれないだろうから、翌朝はゴマ漬けしたカツオのマゴ茶とか、竜田揚げ・フライなどにするのもいい。マグロならばマグロステーキっていう贅沢も、釣れたら可能だ。7,8㎏のキメジが2本釣れて持ち帰った折、どうやっても自宅の冷凍庫からはみ出すし、かといって冷蔵保存して喰いまくっても食べきれそうにないからと、「自家製シーチキン」作成にいそしんだこともある。
サイズがサイズだけに1本釣り上げることができれば十分すぎるのに、釣れ盛る釣り船の上では、そんな自制心は、全く発動できないものだ。我を失い狩猟本能のなせるがまま、というのがカツオ・マグロ釣りのイケナイところ、罪つくりなところ、なのかもしれない。
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プロフィール
- プロフィール
- 極地で水の中とその周辺で生きている生き物を対象とした生態学を探究中。
北極や海が冬に凍るオホーツク、はたまた夏の南氷洋で氷とともに生きるアイスアルジー(海氷藻類)の研究に携わった後、これまでに日本南極地域観測・越冬隊に3回、夏隊に5回参加しながら南極の湖の野外調査研究を続けている。 - 性別
- 男
- 血液型
- O型
- 自己紹介
- 極地研究所に職を得て以来、地球の北や南の極地でなぜか騒々しくドタバタ・ジタバタしながら動き回る生活を四半世紀以上続けてきたことに気づいてしまった。現在は、南極でひそやかに輝く湖たちと付き合ってきたせいか、年齢相応の落ち着いたオトナになっているような気がする。
- 趣味
- 釣りと料理、最近、家事一般雑事など、多趣味になりつつあるのが困ったところ
- 特技
- 自転車操業、せっかちで多動症のようなところで人生をやり過ごしているような技
- 職業
- 国立極地研究所 生物圏研究グループ・総合研究大学院大学 極域科学専攻 教授
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