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冬の船釣り

2020年11月23日 8時48分43秒 (Mon)

小春日和のアマダイ釣り
 
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木枯らしに落ち葉舞い、晴れて乾燥した日が続く東京。日々快晴。だけど、朝夕は暖房が必要なほど冷え込む。そんな冬の到来だ。
 
午前3時、空に三日月が輝き、天の高所にはオリオン座。まだ夜明けまで3時間以上ある。自動車のエンジンを始動、デフロスターを起動させて窓を覆った霜を落としている間に昨晩の内に積み込んだ釣具や衣類のチェックをする男。一度ならず、出発して間もなく忘れものに気付いて取りに帰ることが多いこの頃の自分なのだ。

昨日までの風は今は穏やかになってくれた。この時期、道端の枯葉の動きや舞い方を気にしながら車を走らせることが習慣化している。というのも、海に近づくにつれ道端の枯葉が激しく舞い飛びフロントガラスを始終横切るようだと、出船中止、ということになりかねないからだ。そんな場合、港で大きく上下するもやった船を前に、
「今日は出船は無理だね。予報も風が止む感じじゃ、ないから、また、いい時に来なよ」
と、船長さんに言われ、未明に帰宅となってしまうことが、この季節、しばしばあるのだ。でも、本日、この様子なら小春日和の一日が確約されたいい感じ。

車を走らせながら、夢想する。二年ぶりのアマダイ狙いだ。どんな仕掛け、長めで極力自然に漂うようにするのがいいのか、短めで積極的に誘うのがいいか、とか、今日の天気だとどこの海域で釣りをするんだろうか、潮と風向きでどのつり座が有利になるか、船長さんの船の流し方の癖はどうだったっけ、など。既に、頭は釣りを開始しているのが釣りバカの性。
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港には午前4時過ぎに到着。ちょうど中乗りさんがもやった船を岸壁に引き寄せ、お客さんの案内が始まったところだった。乗り込んで空いていた船の四隅の一つに道具を運び置くことが出来た。それから船宿で手続きだ。先に道具を船に運んで座を決めてから手続か、受付が先でその時に釣り座を決めるのか、あるいは、みんな集まってからくじ引き抽選で決める、とか、船宿によって釣り座は伝統的に決まったやり方がある。初めての船宿の場合には、この辺は予約した際に確かめておくべきことの大事な一つ。小田原は場所取りが先で受付がそのあとになる。さあて、本日の釣り模様は如何に?
 

一時、アマダイ釣りは相模湾の冬の釣り物で主役の座から外されてしまっていた。ここ数年になって、「LTアマダイ」と称し、相模湾各所で再び主役看板になって再登場し、安定化してきたように思う。

かつて、20年以上前のこと。

未明、船の手すりや釣り座に霜が降りる季節になると、船宿は水深100mぐらいの砂泥に穴を掘って住んでいるアマダイを狙って案内してくれていた。夏から正月までの間、浅目の海域で休漁となるシロギス釣り、秋に賑わったイナダや青物も一段落した冬の入り口の合間、少し沖合の深場に暮らすうるんだ大きな目の赤い魚を狙っての釣りが行われていたのだ。

その当時、アマダイ釣りの専用の釣竿などは開発も発売もされていなかった。アジのビシ竿やヤリイカ竿など120号錘を背負える竿での釣りだった。あたりのとりやすい先調子の竿が具合よく、片テンビンに120号錘、2.5mから3m、いわゆる「一尋と矢引き」程度のハリス長の2本バリでの釣りが小田原では主流だった。その当時もナンキョクオキアミを餌に、海底をこんこん小突いては付けエサが海底からつくか離れるかというところでアタリを聞く、という釣り方は変わらない。いい模様の日にあたれば30-40cmほどのアカアマダイが数匹というのが通常だったから、一日の釣果にしてみれば派手なところはなかったけれど、30cmを超えるアマダイは1尾で数人分のお造りが取れるから十分満足できた。また、その釣り応えもしかり、味もまた格別だから、釣り人はそんな魚が一日に2,3いや4,5尾釣れてくれることを夢見て寒い季節到来に船宿の戸を叩くべく出かけたものだった。もちろん、アマダイの釣れる数こそ控えめだが、この釣りではひっきりなしに本命以外の魚からもコンタクトがある。そんな外道を含めた魚たちを相手に一日いっぱい100m前後の水深で両軸リールで仕掛けをせっせと上げ下ろしする、結構忙しい釣りが好きな人でにぎわっていたのだ。
 
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江戸の昔、いやそれよりもおそらく前の時代からアマダイは相模湾の名物でもあり,一汐の干物などで愛でられてた。それが10年ほど前、
「なんだか、このところぱっとしないんだよう」
と、各船宿看板から姿を消してしまってたのだ。一日やっても船中数匹。たまに上がってくるのがトラギスやカナド、タマガシラやサクラダイで、アカボラ(ヒメコダイ)すらかかってこないっていう状況が続き、看板釣り物としてやりづらくなってしまったのだろう。ところが、海の環境変化か魚の勢力拡大なのかは不明だが、数年前からアジやイナダ釣りで海底につけ餌が届いたタイミングでアマダイが結構多数混じって釣れるようになり、また、使う道具も進化して軽くて操作しやすいライトタックルや細い道糸、専用の調子の釣竿までが登場したことも手伝ってか、相模湾各港の冬の定番に復活したのである。

現在、使う錘は60号から重くても80号と以前の半分程度、竿はライトゲームと称した細くて軽量の竿に小型電動リール。天秤やハリスなどは従前とは変わらないながら(ディッギングという魚デザインで海底を積極的に攪乱するような専用錘付きの天秤も販売されている)、軽くて操作性の優れた今時の道具ならば、一日手持ちで誘い続けても苦にならない。そんな道具だてで老若男女を迎え乗合船はかなりにぎわっているのだ。2年前のこと。一度様子見がてらに自分もLTタックルでアマダイ狙いでやってみた。その時はひっきりなしに魚は釣れはするけれど、持ち帰るに忍びないような20cmをわずかに超えるか否か、ぐらいの小アマダイ多数。これじゃあなんだか可哀そうだと昨年は「自主休漁」でアマダイ乗合船には足を運ばなかった。いやいや、そんな自分の腕前と感覚だったけど、各港の船宿釣果には写真付きで連日のように50cmオーバー、2kgに迫る大物を誇らしげに持ち上げた写真が掲載されてはいたのだが。
 
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果たして今期はどうなんだろう?いざ調査開始とばかり仕掛けを準備し、出かけてみた11月下旬。

今ではアマダイ仕掛けは多種多様のものが釣具屋店頭に並べ売られてる。大方、2m前後の二本針で二つの針は小さな親子サルカンで結ばれているものだ。コマセ釣りで狙うアジやイナダ仕掛けと若干異なるのは、ハリスがやや短めで接続に親子サルカンを使っていることだろう。金属の接続具を使っているのは、この重さで仕掛けを積極的に底に定位させやすくするためだと思う。かみつぶし錘を先針の手前10cmほどに打ってあえて重くしているのも販売されている。

おそらくはなっからこの市販仕掛でアマダイを狙っていた釣り人なら気にしないのだろうが、どうも小田原方面でのアマダイ釣りに慣れ親しんだ私、トッツアン釣り師にとって、まずは2mという短い仕掛けの扱い方に戸惑いを覚えてしまう。かつては自分も接続に親子サルカンを使った仕掛けを作って用いたこともあったけど、後々、よっぽど潮流れが速い状況じゃなきゃ、接続具なしの方が喰いがいいと感じるところがあって、それ以来、自分で結んで作る仕掛けは往年の3mで接続具なしの二本針としている。針のちもとにはピンクやケイムラ、もしくは夜光グリーンの小さな夜光玉を配するも余計な重さなしのシンプルな仕掛け、針も細身で軽めでオキアミ餌がつけやすいものだ。乗合船に集まる釣り師のほぼ半分は市販仕掛けを購入し用意してくる。もちろん自分で針を結んで用意する人も半分ぐらいは必ずいて、それぞれ思いを巡らせた仕掛けで釣りに臨んでいるから、それらをとやかく言うつもりはない。だけど、どんな仕掛けがいいのか迷った場合、船宿で販売しているオリジナル仕掛けを受け付けで買い求め、使用するのがどの釣りものにしても最善だと思うようになってきたオッサンだ。船宿仕掛けは今も昔ながらの3mの二本針仕掛け、接続具なしの長めの設定だった。仕掛けは短い方が針の位置を想像しやすいし、魚信もダイレクトに伝わるのが道理なのだけど、どうも、小田原界隈でアマダイ釣りを覚えた私には市販の2m前後の短く重い仕掛けはしっくりこなし、船宿も推奨していないようである。

市販のアマダイ仕掛けを使う釣り人を目にした親方船長、
「東京湾なら、そんな短い仕掛けでいいんかも知らんけどよう、ここいら相模湾のようにすぐに深くなる海じゃあ、2mじゃあ短けーよ。うちの店で作らせてるのは3m。で、針も軽めに作ってあるから、さー、その方がアマダイの食いがいいよ」
との弁。シロギス仕掛けも、東京湾なら1m内外の短い仕掛けが好まれ、相模湾も小田原界隈なら3mに迫る長い仕掛けが当時も主流だった。親方の言葉と経験の中に、なにか理由があるに違いない。
 
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冬の海としては格段に穏やかになった本日。船はまずは親方得意の「アマダイ釣りの練習場所」である根府川方面の水深50-70m前後からスタートだ。この場所、サイズは小さめだが、集団営巣地らしく、頻繁にアタリがあって数が出る。本日は北東の微風。潮流れで船は小田原方面へ流れている。えっ、あら、しまった、これじゃあ、私の釣り座(艫舵の大艫)が一番最後に場所を通過する塩梅になっちゃう(笑)。海底を棲みかとしているあまり動かない魚相手なら、最も不利と言える釣り座を選んじまった!が、それはもはやどうにもならない。が、ともかく、釣り開始。

海底にやや潜り込む錘の感覚を確かめ、50cmから1mほど持ち上げてアタリをきくと、さっそくかすかな魚信が竿先を震わせた。ゆっくり大きく乗せるように竿を起こすとググーと魚が泳ぐ乗りを確認できた。大きくはなさそうだが、引き具合からして本命だろうと思った。早速巻き上げ。アマダイなら海底から離れる直後、途中2,30m引上げたところ、そして残り20から10m付近で大きな引き込みがあるものだ。俗にいう「アマダイの三段引き」である。幸い、そんな教科書通り?の引き方があって本命を確信、しょっぱなから
「たぶん本命、アマダイだよー」
と宣言しての取り込みができた。25mサイズだけれど、幸先よし。この時、やはり、というか当然のように汐先にあたる右ミヨシの方々にも当たりありで、次々に本命が取り込まれた。どうやら魚のご機嫌は悪くなさそうだ。ただし、汐先に名人がいると、船が流しっぱなしだと新しい場所に流れ入る先々、先に魚を釣られちゃうから、後ろまで魚のあたりが回ってこないことが多々ある。一番最後の私の仕掛けがアマダイ住処を通過するまでに魚が残っていればいいが、潮先に名人だとそれを期待するのがムズカシイ。だが流し始めの第一投目ならば、同時に海底に仕掛けが届く故、船のすべての場所にチャンスがある。だから潮周りした最初の投入で魚を掛けることに専念。それができなければ、その後の船の流し中、魚との出会いに恵まれないことになっちまう。

極力流し替えの第一投目に集中し、ポツポツと拾い続け、開始1時間ほどで5尾、は合格?
 
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私の隣、艫側の釣り人は、船の流し替えのタイミングのあたりが拾えずに苦戦していたようだ。潮周り後の第一投でオキアミ餌をキチンと海底付近に(引きずってもいいと思う、引っ掛からなければ)キープできさえすれば、アマダイがそこに存在していれば公平に口を使ってくれるはず。カワハギみたいに餌をかじり取って食う魚じゃなく、一気に飲み込むタイプだから(その後吐き出すこともあるのかもしれないが)、アタリに即合わせで集中すれば腕前の差は出にくいと思うのだけれど、やっぱりアタリが出せない、かけられないという差が生じてしまうようだ。こちらがなんとか流し替えの第一投でアタリを拾って数を重ねている間、お隣さんには全くあたりがでない、また、地球との格闘もあったりで、生命体にも出会っていなさそうな感じなのだ。見かねた親方船長が、使っている市販の短め仕掛けを見て冒頭の発言。そして、定番、
「海はよー、まっ平じゃないんだからさー。しっかり50~80cm錘を底から放して付けエサをさ、底にキープできるように、底立ちをまめに取り直さなきゃ、釣れねーぞ」
と、アドバイス。

突如、そんなアドバイスを受けた私の隣の釣り人にいい魚信。ゴンゴンと柔らかめの釣り竿が絞り込まれるような引き込み。脇目で見ていたけど、その人は「特餌?」として持ち込んでいた大きめの海老を針に着けて釣りをしていた。大きい餌で、
「小っちゃいのはいらない、一発大物!」
と挑んでいたのである。やがて引き上げられた仕掛けの先の海がオレンジ色に染まった。大きな魚信で釣れ上がったのはオニカサゴだ。おめでとう。

時折、アマダイ釣りでは船が根回りに差し掛かったところでオニカサゴは混じって釣れるいい魚の一つなのだ。隣人が釣り上げたのは目測800gほどの悪くないサイズである。これで勢いづくかというと、なかなか。二匹目のドジョウならぬオニカサゴとはそうそう巡り合えるものではない。その後、周辺でポツポツ上がるアマダイにもかかわらず、お隣さんはふたたび沈黙。そんな様子に、
「遊びなんだから好きなようにやればいいんだけどさー」
という前置きもあったけど、ついに見かねた親方が、
「そのエサはよう、持って帰って自分で喰ってしまたほうがいいよ!アマダイ欲しいならオキアミでやんな」
と二度目のアドバイスだった。オニカサゴを本格的に狙うのなら、サバの大きめの短冊とかがいいのだろう。けれど、この魚もアマダイ同様、泳ぎ回って活発に餌をあさるというよりも、目の前に漂う餌に飛びつく魚なのだ。目立った美味しそうなエサが目の前にあればとびかかってきてくれるし、それがオキアミでもサバ餌でも海老餌でも食らいついてくれる、と思うのだ。船はアマダイ狙いで流しているのだから、なかなかオニカサゴの生息場所には差し掛からない。だから、二匹目のオニカサゴの魚信は必然、遠いものとなる。偶然にもオニカサゴの住処に仕掛けが差し掛かった気配(海底の岩や引っかかりものが現れた感覚)を感じたら、オキアミでも何でも、ちゃんとエサのついた仕掛けを底付近に漂わせ、魚信をしっかり見極め、針に乗せるということで挑むのが、いいのだと思う。

アマダイ釣りの外道、本命以外の魚といえば、エサとして使うオキアミに反応する魚全て、ということになるから必然的に多彩なのだ。ただ、アマダイ生息域を船は流し、海底付近にエサを漂わせる釣りだから、アマダイとの同居魚、アマダイと似たような生息環境を好む底魚が魚信を送ってくれることになる。定番はかつてはアカボラ(ヒメコダイ)だった。けれど、昨今、あまり釣れてくれない。大きくならない魚だけど、その繊細な白身と赤い表皮は通好みの一品になるいい魚だったのに、ちょっと残念。このほか、やや浅場ではクラカケトラギス、深場になるとオキトラギス、ムシガレイなどの泥底海底生活者がよく混じる。やや高級外道の赤い方面だとイトヨリ・ソコイトヨリ、はたまたホウボウといった華やかな容姿の魚。青物方面だとシマアジを凌駕するかも、という味覚でカイワリなどが定番の混じり物だろう。もちろん先述のオニカサゴやウッカリカサゴという大口の赤い魚もいい魚信を出し釣れ上がることもよくあるのだ。根に差し掛かったあたり、何かの拍子でマダイやハタなども食いついてくることもあり、せいぜい1kg程度の魚を意識した3号程度のハリスが切られちまうんじゃないかと、はらはらしながら取り込みにかかる釣り人の姿も、一日のうち何度かある。持ち上げた竿先にゴソッとした重みが乗っかり、その直後、ひらを打つような引き込みにマダイが喰ったと確信して慎重に引き上げた先、現れたのが巨大な50cmを超えるウスバハギやウマズラハギの40cm物だった、1kgを超えるアマダイかと思ったら、取り込んで船に上げてみたら巨大なイラだった、ということもないではない、が、これらはこれで嬉しい魚。ちょっと方向性が違うけど。底を小突いても一向に魚信なく巻き上げにかかった直後、イナダ・ワラサやカンパチが飛びついて、ドン、ギュギューと強烈な引っ込みにびっくりすることだってある。ゴン、と固めの魚信でその後それほど泳がない引き具合に、
「お、これは、きっとオニカサゴが喰った感触だ!」
と思ってにやにや顔で取り込みに入ったけど、海中に見えた始めた魚が一向にオレンジ色に染まらない。さらに海面に浮かんだ魚は灰色の塊、手にしてみたら唐草模様のミシマオコゼ、ということもある。決して大きくないキダイ・タマガシラ・カナド・サクラダイ・ネンブツダイ、妙に妖艶で長いアカタチ・イッテンアカタチにがっかり、ということも、ままある。そんな外道たちとのコンタクトを楽しみながら、一日の釣りで本命を数匹確保できれば合格(何の?)と言っていい混じり物多数の中で本命を掛けていくのが、今も昔も変わらないアマダイ釣りだと思う。

だが、この日は朝一からあたればアマダイ、ほぼ外道なしという状況が10時過ぎまで続いてくれたのだ。ミヨシの方々はすでにつ抜け(10尾越え)したとの情報もある。何という好模様なのだろう。その時、当方は9つ。あと一つでつ抜けというところだったが、隣の艫側の釣り人はようやくボウズ抜けという状況だったのは、やはり汐先に本命をさらわれちゃってたし、流し替えの最初の投入でのあたりを拾いきれてない状況だったから、仕方ないのかも。

流しっぱなしの際、汐先ばかりに釣果が偏る状況を辛抱しながら何とかアタリを出そうと仕掛けをゆっくり動かしてみたり、キープ時間を変更したりしていたら、いい魚信でアオハタ。ひらべったい泳ぐ魚系の引きで海底からなかなか離れようとしない引きを慎重にやり取りして得たのが大きいウマヅラ。外道の混じりはよしとするも、なかなか本命がつ抜けしない時間帯を過した。

お昼近くになって船は漁場を大きく移動。酒匂川河口沖へ向かった。少しアタリは遠かったが、アマダイの大きめサイズが当たりだした。ゆっくり海底から餌を持ち上げようとした竿先にいいアタリが出た。途中の三段引きも明瞭、上がってきた仕掛けの先の海中が白く輝きはじめ、やがて薄紫のオーラに包まれてピンクの魚体が浮上。満足サイズのアマダイだった。この場所で3尾とカサゴ1尾追加。40cmにわずかに欠けたけど太ったいいアマダイを釣り上げることができたところで本日の釣り終了。

「ハイこれで上がりますよー。釣った数教えてねー」
と親方船長。当方はアマダイ12尾、つ抜けできた。サイズ的には後一声欲しいところだけど、25cmから上のサイズで10尾を超えたから、お持ち帰り後の食の楽しみには十分。何より一昨年前の20cm前後のかわいそうなサイズではなかったのがよかった。ちゃんと年を経て育ってくれた結果なのか、どうか。ミヨシの名人はなんと20尾を超える釣果、名人は午後の流し替えで35~40cmサイズを3尾そろえてもいた。有利な席というのもあるけど、しっかりとあたりを拾える技量ゆえの釣果だろう。さすが熟練の技。これを見た艫の2名でいらした女性釣り客が
「アマダイの釣果で20尾越えって、信じられない!」
と驚きの声。終日にぎやかにやっていた彼女たち、8尾ずつ釣り上げていたのだから、それも大したものである。終わってみればおそらく船中で100尾ぐらいのアマダイが上がった大漁日、に巡りあえた。
 
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アマダイは少々身が柔らかいこともあって、お造りにするなら釣れたてがいい。釣れたてを三枚におろして、こぶ締めに仕込んだり、やや多い水気を取るためにピチットシートなどを活用するのもありだ、と思う。焼き物もシンプルな塩焼から西京みそや酒粕、塩麴に漬け込んだものもかなりイケル。干物もまた定番中の定番。しっかり味を濃縮させる魚の特質を生かした味わい方で賞味するのが、この魚を大事に味わううえで大事なポイントだと思っている。

さらに、釣れあがってくれた外道メンツを見ながら、天婦羅にしてみたり、鍋や汁物にしつらえるのもいい。子供にはあまり評価が高くはない「松かさ揚げ」は(息子に、鱗残っているじゃん!と怒られた)、しっかりと鱗を香ばしく揚げることができるなら最高の味わいとなる、かもしれない。けれどいつも上手にカリっと揚げることができるほど、まだまだこの料理に取り組んだ回数が少ないので、これはこの先の私の課題。もったいないかもしれないけど、普通に鱗を落として三枚におろし、一口大にして天婦羅にするのが失敗なく息子から苦情も出ない。口にした途端、ほろっと崩れ融ける感触、あとにはアマダイの風味の余韻だけが口中に残る。そんな絶品天婦羅を味わえる。
 
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寒い季節、アマダイの中骨を軽く炙って、チンチンの熱燗を注いでの一献、というのもまた、格別!




 

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プロフィール

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プロフィール
極地で水の中とその周辺で生きている生き物を対象とした生態学を探究中。

北極や海が冬に凍るオホーツク、はたまた夏の南氷洋で氷とともに生きるアイスアルジー(海氷藻類)の研究に携わった後、これまでに日本南極地域観測・越冬隊に3回、夏隊に5回参加しながら南極の湖の野外調査研究を続けている。
性別
男
血液型
O型
自己紹介
極地研究所に職を得て以来、地球の北や南の極地でなぜか騒々しくドタバタ・ジタバタしながら動き回る生活を四半世紀以上続けてきたことに気づいてしまった。現在は、南極でひそやかに輝く湖たちと付き合ってきたせいか、年齢相応の落ち着いたオトナになっているような気がする。
趣味
釣りと料理、最近、家事一般雑事など、多趣味になりつつあるのが困ったところ
特技
自転車操業、せっかちで多動症のようなところで人生をやり過ごしているような技
職業
国立極地研究所 生物圏研究グループ・総合研究大学院大学 極域科学専攻 教授

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