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バリ島の寺院施設

バリ島の寺院境内には色々な建物がありますが、同じように形をしている建物があります。それぞれの建物の名称や何に使用するのか、役目は何かなどを調べてまとめてみました。
 contents → 寺院境内の領域領域内の寺院建物と施設バリ島寺院の構造図
※神と王国の情報は別なページにリンクして説明します。

寺院境内の領域 - ジャロアンとジャバ、ジャバトゥンガー

   バリ島の寺院の境内は、基本的に2つまたは3つの領域に分けられます。
 もっとも奥の神々の領域をジェロアン:内庭といい、人々の領域をジャバ:外庭となっていて、大きな寺院では、ジャバの領域がジャバと神々と人との緩衝領域であるジャバ・トゥンガーに分かれて、3つの領域になります。(時には、ジャバにあたる部分が寺院前の路上になる場合もある。)
 バリの寺院は、日本人の感覚ですと、寺院よりは神社に近いと感じられます。本殿、社殿はなく、仏像・神像を奉じる建物もなく、ジェロアンの中央には開けたスペースが広がり神像などはほとんど見当たりません。ここは、他の国・地域のヒンドゥー教寺院と大きく異なります。

領域内の寺院建物と施設

 それぞれのエリアにある建物の内、ジャバとジャバ・トゥンガーにある建物の配置(どちらのエリアに建てるか)はさほど厳密ではありません。
 ※日本語表記の「?」マークは確定した情報がなく、翻訳ソフトの聞き取りです。

(A)ジェロアン jeroan:内庭(奥の院)。
  神々の領域で、ヒンドウー教徒の参拝客であっても通常は入れない。

  • taksu :タクス神の石の祭壇 → 神々の通訳者タスク神の席。石柱。サドゥク(巫女)が神がかりになって神託が告げられる。
  • padmasana:パドマサナ → サンヒャン・ウィディ・ワサの玉座・蓮座(太陽神スリアの玉座)。最上部は椅子になっている。常にガジャの方角であるアグン山を背中にし、奥に(もっとも高貴な位置に)建てられる。パドマは「蓮華」、サナは「場所」を意味する。パドマサナは、バリ・ヒンドゥー教の世界観を表現し、土台には世界亀のブタワン神がいて、蛇神・龍神がとぐろを巻いている。
  • bale piasan:バレ・ピアソン → 天界への供物を供える場所
  • bale pawedan:バレ・パウェダン? → 神々に捧げるお経を読む場
  • gedong maospahit:グドン・マオスパイト → マジャパイト王国からバリ島に入ってきた先祖のトーテム神、「始祖鹿(ムンジャガン・スルアン)」を祀る。鹿の頭の形をした彫刻や様式化された枝角が飾られている。※1)
  • gedong paruman :クドン・パルマン → 内庭の中央にあるバレ。天界から降りてきた神々のための場所。壁はない。2階建でも階段はない。神のための椅子が設置している。
  • gedong pesimpangan グドン・プシンパンガン → 石積みやレンガの建物。村の創始者や地元の神のための建物。中にはリンガがある。寺院の宝物や財産を閉まっておく鍵のかかる建物。
  • gedong penyimpenan:グドン・ペニーンペナン? → 寺の遺物の倉庫
※gedongは建物の意味
 
〈 メル meru 〉→奇数層の屋根を持つ塔。中空で人が入ることを前提として建てられてはいない。メル塔はマハメル mahameru 山のシンボルで、メル山は仏教の須弥山(仏教の宇宙観で、世界の中心にそびえ立つという巨大な山、神々の住むところ)のこと。奇数は演技のいい数字とされている。屋根は一般にイジュクという砂糖ヤシのヒゲの部分で葺かれる。
 
 メル塔の下には、ミニチュアの鉄製道具・金銀の鶏の丸焼き・蓮の花・蟹・海老などをいっしょに埋める。最上階の屋根の梁(はり)の合わさったところには、白檀の柱がまっすぐ立っているが、柱には穴が開いていて、そこに貴石が9個か呪文の刻まれた様々な金属板プリピーが9枚入った中国の陶製蓋つき小鉢が置かれている。 (ミゲル・コバルビアス-バリ島より) 
 
  • meru gunung batur:メル グヌン バトゥール  → バトゥール山を崇める。
  • meru gunung agung:メル グヌン アグン → アグン山を崇める。
  • meru sang hyang widi wasa:メル サン・ヒャン・ウィディ・ワサ → 最高神サン・ヒャン・ウィディ・ワサを崇める。  

(B)ジャバ・トゥンガー jaba tengah:中庭。
  3つの領域を持つ寺院において、神々の領域と人々の領域のバッファーゾーン。奉納舞の多くはここで演じられる。

  • bale pesandekanバレ・ペサンディカン? → 多目的ホール
  • bale perantenanバレ・ペランティナン? → 寺の台所
  • paon:パオン → 屋外の台所。供物等を作る。
  • kori agung:コリアグン  → 内庭ジェロアンと中庭ジャバ・トゥンガーの境内を隔てる中門。真ん中のコリアグンは御神体の出入り用。この中門の横にも二か所、小さな出入り口があり、祭事の際に人間が通過する出入り口になる。マハメル山の山腹を表す。
 
パドゥラクサ padlaksa
 寺院の神々の領域と人の領域を隔てる屋根状の石造装飾を上部にのせた門。コリ・アグンは山の形をしている。縦型で屋根のついた門もある。

(C)ジャバ  jaba:外庭。
  バリ・ヒンドウー寺院には、外庭と内庭は必ずあり、人々が神と交流する領域。

  • bale :バレ → 建物の意味。特に宮殿、寺院にある建物。寺院にあるバレの多くは四面解放型でシュロ等の黒い繊維で屋根をふいている。集会、作業場などに使われる。
  • bale kulkul:バレ・クルクル → 警鐘塔。木製半鐘をつり下げている。堅い木に割れ目を入れ、くりぬいてつくった半鐘のようなもの。集会や緊急事態、祝事、公式行事等がある時にこれを鳴らして村人に知らせる。
  • bale gong:バレ・ゴング → ガムラン演奏場、楽器収納所
  • wantilanワンティラン → 舞踊舞台、会議場、闘鶏場。寺院境内の中でもっとも大きな建物。三面解放型。(闘鶏場専用は四面解放型。)屋根は瓦、または繊維で屋根をふいている。闘鶏場専用の場合は床が土。席の部分が中心に行くに従って低くなり、真ん中は相撲の土俵のように盛り上がっている。
  • candi bentar:チャンディ・ブンタル → 割れ門。外庭ジャバと中庭ジャバ・トゥンガーの境内を隔てる門。左右対称、きれいな装飾がほどこされていて、内側の向き合う面は磨かれている。宇宙の中心にそびえたつとされるマハメル山(須弥山)の象徴であり、そのマハメル山の土台を表している。  

バリ・ヒンドゥー教の寺院構造図

バリ島の大きな寺院の構造を図面にしてみます。

バリ・ヒンドゥー教寺院の構造図
  ※模式図だけではよくわからないので、写真を付けました。ただし、taksuとgedong pesimpanganの写真は推定です。  
 
※1) グドン・マオスパイト gedong maospahit。
 バリを征服した祖先を祀るというのに違和感もありますが、バリの人々はマジャパイト王朝の末裔だというのに、アイデンティティーを持っているとよく書かれてあります。
 ジャワのマジャパイト王朝が滅んだ後、バリ島を囲む国々がイスラム化する中で、バリだけがヒンドゥー教国として残ることになります。
 ・植民地時代まで続くバリの小王国はマジャパイトの武将を起源としていること。
 ・バリの貴族階級はマジャパイトから移住してきた者を祖先としていること。
 ・バリの文化の振興に、マジャパイトから移住してきた貴族、武将、僧侶、職能集団などが大きく寄与していること。
 ・マジャパイト以降のバリ・ヒンドゥー文化になじまず、独立した居住地・文化を持つ人々とは異なるという意識。
 また、自らを最後のヒンドゥー的王朝であるマジャパイトの末裔ということによって、イスラム的世界と対置させてのバリ・ヒンドゥー的世界の独自性を意識する気持ちの表れではないでしょうか。
 



 

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