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バリ島の村・寺・住居

2015.12.24-26
 バリ島を訪ねて寺院を回ってきました。バリでは村々にお寺があります。家々にも社(やしろ)、祠が祀られていました。お供えは道端にもあふれています。バリ島の村や寺について調べたことをまとめてみました。

2016.10 バリ島のプリアタン村に行きました。村の集会所・広場、村の寺院などのレポートも合わせてご覧ください。
 contents → デサ・アダットとバンジャール村の寺院個人の寺院・サンガーバリ島の基本方位屋敷内の配置
 

※神、寺院施設の情報は別なページにリンクして説明します。 

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大きな村、小さな村 - デサ・アダットとバンジャール

 バリの村には行政上の単位としての行政村と伝統的なムラあるいは慣習村との二種類があり、行政村をデサ、慣習的なムラをデサ・アダットと呼ぶ。平野部のデサはいくつかのバンジャールに分かれている場合も多い。
 デサ・慣習村は儀礼的な権威を持ち、バンジャールには世俗的な生活上の責任が課せられる。

デサ・アダット(慣習村) desa adat

 村落共同体。慣習村では昔から村民が同じ慣習に基づいて生活している。行政府はこの慣習村が幾つか集まって構成されることがあるが、かならずしもぴったりと区分されるとは限らない。時には行政府の線は慣習村の中を横切ることもある。また、バンジャールという部落(小村)慣習村になるケースもある。各デサ・アダットには、集会所、作業場となるバレ・アグンがある。

バンジャール(小村、部落) banjar

 バンジャールは村であるデサよりも空間的な規模は小さい。バンジャールはオランダの植民地統治のためにできたもので、インドネシア政府はそのまま地方行政区分の末端として採用した。バンジャールは行政的側面と慣習的側面からなる。各パンジャールには、話し合いやさまざまな行事の準備を行うバレ・バンジャールがある。
 バンジャールは協同組織で、だれもが完全な平等、労働や物資をもって互いに助け合う。家の普請、結婚式、火葬などは全員の手助けによって行われる。
 
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〈 村の組織 〉
・デサ長はプルブクル、デサ・アダット長は、ブンデサ。
・バンジャール長はクリアン・ディナスと呼ばれ、プルブクルの任命や選挙によって選ばれる。
 これらとは別にクリアン・アダットのいるバンジャールもあり、宗教や慣習法に関わる問題に対応する。
 
 村の中に家か土地を持つ既婚男性は、全員強制的に村組織に参加させられる。これを拒めば、あらゆる援助の拒絶、財産の没収、さらには村からの追放もありうる。

 バリ社会は特定の目的のためにグループをつくることが多く、ガムラン演奏団、青年団、舞踏団などの集団がバンジャールを越えて活動する。参加・脱退は自由。
 
 スバックは、水田や農作業をめぐる権利、義務、利害等に関して共同責任を負う自治的集団。スバック寺院において稲の神デウィ・スリや水の神とされるブタラ・ウィスヌ、またはブタラ・ガンガに豊穣を祈る儀礼を執り行う祭祀集団である。水系で組織する。
 
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〈 村の集会所と広場 〉

バレ・バンジャール bale banjar

 村デサを構成する小村・部落のバンジャール内には地域の行事や共同作業を決める寄り合いのための公共の集会所がある。建物は一般に高床式になっており、壁は二方向だけにある。台所があり、調理器具をそろえ、使いたい人が借りられる。楽団があり、踊りの用具もそろっている。用具はゲドンというレンガ造りの建物にしまう。
 バレ・バンジャールのデサ村版がバレ・アグン。

バレ・アグン bale agung

 村人が集まる公共の集会所。アグンは主要な大きいという意味。バレ・アグンは広場の近くの中央に建てられ、会議などはここで行われる。バレ・アグンは霊が子孫を訪れるときの家であり、祖先霊の権威を象徴的に示す場である。

アルン・アルン alun alun

 村の中央には必ずアルン・アルンと呼ばれる広場が作られている。アルン・アルンの周辺には公共の施設が置かれ、大きなバニヤンの木が植えられている。ワンティランという闘鶏場やプラ・デサという村の寺院、集会場、クルクル塔なども近くに建てられている。
 バリ島 村の典型例 解説図
バリ島村の典型例の説明
 村の中心は「中央広場」で、村の「中心」で交わる二つの大通りの交差点に置かれている。大通りはバリ人のいう「南北:カジャ・クロッド」とこれと直角に交わる「東西」に走っている。その結果、十字路は村全体が形づくる方位図の中心となっている重要な地点である。(上の図では、右方向の北が山側:カジャの方角)

 広場には村の大事な公共施設がある。集会所(バレ・アグン)を伴う村共同体の寺院(プラ・デサ)〈A〉、在地の王族の屋敷(プリ)〈B〉、市場(とくに設けられていない村では、広場で市が開かれる)〈C〉、闘鶏場(ワンティラン)〈D〉、集会・行事の開始や天災その他の危険を告げる警報用木製ドラムを吊した高い塔(クルクル)〈E〉。どの村にもある、ヒンドゥー教の聖木で広場に植えられているバニヤンの木。菩提樹の一種、ガジュマルと同じ仲間〈F〉。この木の下には、頻繁に行われる祭りの際に、芝居や踊りの舞台が架けられる。

 村の外れ(海側:クロッドの方角)には、墓地と死の寺院(プラ・ダラム)〈G〉、そして、水浴場がある。墓地は雑草が伸び放題で、クブーの木(ヤツデ・アオギリ)が植えられている荒れ地で、物哀しく薄気味悪いところである。水浴場はたいてい、村の脇を流れる川の竹藪に沿った涼しいところにあって、一日中男女が何人かに分かれて茶色い水の中につかっている。
  参考資料:バリ島 Island of BALI ミゲル・コバルビアス 平凡社
 

村の寺院 - カヤンガン・ティガ Kahyangan Tiga  火の寺院、水の寺院、風の寺院

 各デサには、村の活動の中心の場となり共同体の繁栄を司るプラ・デサ、村の起源寺とされるプラ・プセ、死者のための寺院であるプラ・ダルムがある。これら、慣習村にある三つの寺院は、カヤンガン・ティガと呼ばれている。ヒャン hyang(またはyang) は神様、ティガは三で、神様の三つの所の意味。これらの三つの寺院に、バリ・ヒンドゥー教三大神を重ね合わせて奉っている。村の3寺院。火の寺院、水の寺院、風の寺院とも呼ばれる。
 
  • プラ・デサ Pura desa は村の宗教活動や村の集会を行う「集会所の寺」。おもだった祝いごとが行われ、バレ・アグンが置かれている。ブラフマ(創造神)を奉る。(プラ・デサは、プラ・バレ・アグン Pura bale agung とも呼ばれている。)ブラフマ神は火の神。よって、プラ・デサは、火の寺院。 
  • プラ・プセ Pura puseh はその村の神格化された始祖を祀る「起源の寺」。村の象徴的父にして創始者なるものを祀った、昔つくられた古い祠がある。プセはへその意味。ウィスヌ(守護神)を奉る。ウィスヌ神は水の神。よって、プラ・プセは、水の寺院。 
  • プラ・ダルム Pura dalem は、村の墓地-スマsema(火葬される前の土葬の墓地)に付随する寺で「死者の寺」葬儀を司る。シワ(破壊神)を奉る。シワ神は風の神。よって、プラ・ダラムは、風の寺院。 
 プラ・プセでは、近隣のいくつもの村が非常に強く結びついて連合体をつくり、共通の祖先を崇拝し、そのうちで一番古く、「首村」とか「母村」と認められている村にある「起源」寺を共有していることがある。この村から他の村が生まれ、大きくなって独立したとされているのである。

 プラ・ダルムで死者の浄化儀礼を受ける。プラ・ダルムでは、火葬を終えていない祖霊神となる前の「死者の霊」が祀られて鎮守されている。通常は村のクロッド kulod という海側の方位に建てられる。魔女ランダの像や仮面はこの寺院に奉納されている場合が多い。ダルムは「内奥の、深淵な」を意味する。
 
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 バリでの寺、寺院には2種類ある。プラとサンガーと呼ばれる。プラは共同体の領域における寺で、サンガーは個人あるいは家族の領域における寺を意味する。
 

個人の寺院 - サンガー sanggah


 屋敷寺。本堂があるのではなく、社(やしろ)、祠、廟が建っている。
 ある程度の広さをもつサンガーの場合、内部に建つ建物のうちでもっとも重要なものは神格化した先祖の霊※を祀るプリンギー Pelinggih と呼ばれる建物であり、ここではサン・ヒャン・ウィディをも合わせて祀られている。
 ※祖霊、ピタラ・ヤン、デワ・ヤン、ブタラ・ヤンなどと呼ばれる。
 その他に、主としてヒンドゥー三神(シワ、ウィスヌ、ブラフマ)を祀るクムラン kemulan、人間の潜在能力を司る神を祀るプリンギー・タスク Pelinggih taksu 、家の守り神のブタラ・カワへの供物をそなえるトゥグなどの建物が配置されている。
 
 本家のサンガーはサンガー・グデ sanggah gede と呼ばれ、大きな祭礼の際にはすべての親族の代表が訪問し祈りが捧げられている。王家や一部のトリワンサ(カースト上位)の家系では、サンガーにあたるものはムラジャン merajan 、あるいはプムラジャン pemrajan と呼ばれ、その規模も段違いに大きくなり、幾層もの屋根をもつメルを備え、寺院の風格を持つものもある。貴族たちは、マジャパイトの末裔たち、つまりバリを征服したジャワ人のトーテム動物である鹿神ムンジャガン・スリアンを祀る祠をとりわけ大切にしている。
 
 屋敷寺には神格化された祖霊を祀る社(やしろ)サンガー・クムラン sanggah kemulan がある。一般に結婚すると自分自身のサンガー・クムラン(起源の社)を建てるから、すべての世帯はそれぞれの社を持つことになる。大きな屋敷地の中に何世帯もの家族が住んでいる場合には幾つものサンガー・クムランがある。

 ※バリ島のガイドさんに聞きました。「親(一家の家長)が死んだら、サンガー・クムランは壊すのか。」「アパートに住んでいる人は、サンガー・クムランをどうするのか。」〈サンガー・クムランは祖先を祀るものだから、壊す必要もないし、アパートに住んでいる人は実家にサンガー・クムランがあるからいい。〉〈自分で土地を持ち、家を建てたなら、サンガー・クムランを建てる。〉つまり、日本人の感覚と変わりませんね。よって、上記の文の信憑性は薄いのかもしれません。確かに、おおきな家の屋敷寺には、祠がいくつも建てられています。お社・祠は外観からでは、何を祀っているのかわかりません。祖先霊だけのものではないようです。

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社の屋根は何を使っているの?

メル meru にしろ、社・祠にしろ、黒い植物繊維を使って屋根をふいています。

メルについては、「砂糖ヤシのヒゲを使う」との説明があり、また、社については「シュロの木の繊維」でふくとの説明があります。使いわけをするのか、両方使うのかについてはわかりませんでした。
 

バリ島の基本方位

カジャ/クロッバリの基本方位解説図ド kaja/kelod

 カジャ/クロッドはバリ独特の方位感で、山側/海側を指す。
 カジャは「川上」を意味するカ・アジャという語に由来し、聖なる霊峰アグン山の方向であり、上手の方向。クロッドは海側の汚れた方向、下手になる。アグン山は島の中心にあるのでバリ北部と南部ではカジャ/クロッドが反対になる。(カギン/カウは、東西であり、バリ北部にあっても変わらない。)
 こうした方位観は寺院や村、屋敷地の配置、さらには人々の日常生活にも大きな影響を与えている。例えば、村の始祖の寺はカジャ側に建てられ、死者の寺院や墓場はクロッドの側に建てられる。屋敷の建物の配置も同様である。バレ・バンジャールという村の集会場で上座はカジャ側になる。
 クロッドは不浄な方角になる。ハンセン病(らい病)にかかった病人は、村を離れ(隣の村も含め)海岸近くに住居を建て暮らしたという。
 カジャとクロッドはバリ島の南側(アグン山が北)とバリ島の北側(アグン山が南)では反対になる。つまり、カジャは高い方角。それに対して、カギンとカウは太陽の昇る方角、沈む方角であり、どの地方でも変わらない。

カジャ・カンギン kaja kangin

 最も神聖な方位。カジャは聖なる山側、カンギンは太陽が昇る東側。カジャ・カンギンはバリ南部では東北の方位にあたる。この方位は山側の次に神聖とされる。

 屋敷の中ではサンガー sanggah という家の社が置かれる方位。パドマサナ padmasana という玉座や祭壇は寺院や宮殿屋敷地内のこの位置に建てられる。


 グヌン・カウィの方角がもっとも神聖な理由

 バリの最高峰グヌン・カウィは島中でもっとも神聖な場所であり、世界のへそ(プセ)であると考えられている。ここは、バリ人にとっては、インドのヒンドゥー教徒にとってのカイラ山やメル山のようなものであり、マハメル山と同じく、神々の住む宇宙の山である。

屋敷内の配置

 
 屋敷地内の サンガー 家の社はカジャ・カンギン kaja kangin というもっとも神聖な方位に建てられる。(バリ南部では北東)。カンギンは太陽の昇る東。寺院や宮殿屋敷地内でも、この位置にパドマサナという玉座や祭壇が建てられる。

バリ 家族の住む区画-屋敷の見取り図
 参考資料:バリ島 Island of BALI ミゲル・コバルビアス 平凡社
・北側にある屋敷寺の隣が家長夫婦の棟。東、西にその他の棟がある。
・南には台所、穀倉、家畜小屋がある。・西南にはゴミ置場。
(これらは、北にアグン山のあるバリ南部の場合)
 
 屋敷門は、アンクル・アンクル angkul angkul という。バリの屋敷は煉瓦や土壁で周囲が覆われており、また門の正面に悪霊を防ぐための石でつくられたアリン・アリン aling-aling※ という衝立があったりする。そして、間口をかなり狭く造っているのが特徴。
 ※悪霊は直進できないと信じられているため、魔除けとなる。
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