バリ島旅行記12 ウルン ダヌ バトゥール寺院
2016.10.18
2度目のバリ島旅行です。宿泊地をウブドにして、前回には行けなかった所を見学することとHPを作りながら調べたことを確認する旅です。
四日目は最終日ですからゆっくり出発して、ウルン・ダヌ・バトゥール寺院に行きました。旅の行程はこちらをご覧ください。
2度目のバリ島旅行です。宿泊地をウブドにして、前回には行けなかった所を見学することとHPを作りながら調べたことを確認する旅です。
四日目は最終日ですからゆっくり出発して、ウルン・ダヌ・バトゥール寺院に行きました。旅の行程はこちらをご覧ください。
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ウルン・ダヌ・バトゥール寺院 Pura Ulun danu Batur
ウルン・ダヌ・バトゥール寺院は中門や割れ門の先端が高く、炎のような形で美しい寺院です。奥の境内には、仏教の祠があります。境内は植物を植えた庭があります。ウルン・ダヌ・バトゥール寺院は、仏とバトゥール湖の守護神である、デウィ・ウルン・ダヌを祀っています。バトゥール湖とこの寺院は、世界遺産・バリ州の文化的景観に含まれています。
ウルン・ダヌ・バトゥール寺院は、ウブトからは車で1時間少しで到着できます。

ティガラランの棚田
ウブドからウルン・ダヌ・バトゥール寺院に向かうと、ティガラランを通ります。前回は昼食で立ち寄ってはいたのですが、「写真を撮るか」といわれて下車しました。道路からすぐ見える美しい棚田です。棚田はバリではトゥビ tebihといいます。

ティガラランの棚田
ティガラランは、有名な観光地ですから、レストラン、土産物屋が並んでいて、車も多くすごく混み合うところです。写真を写し終わったら、チャターカーが見当たらない。スズキのワゴンは数多く並んでいるので、自分の乗った車を捜すのに苦労しました。
ティガラランでは、少し停まっていても駐車料金を取られるので、ずいぶん前方に移動していたのです。
※前回のティガラランのレポートはこちら
オランダ植民地時代のバリ島の玄関口は北部のシンガラジャでした。そこに、オランダ植民地政府があり、船が寄港していました。そこから、キンタマーニ高原 Kintamani を経由してウブドに入るというのが、主要観光ルートでした。キンタマーニ高原を馬に乗って景観を楽しんだということです。
さて、キンタマーニ高原を見渡し、山の外輪部に入ろうという所で、通行料を取られました。日本でいえば、観光用有料道路料金を支払うようなものです。バトゥール湖周辺には様々な観光地があるので、ここで押さえるのが効率的だとは思いますが、ネットで情報を調べている時にもどこにも書かれていなくて、「聞いてないよぉ」って感じでちょっとショックでした。
ウルン・ダヌ・バトゥール寺院は、バリ島でも屈指の大きな寺院です。毎年10月頃に行われる満月祭は盛大で、多くの人が訪れるそうです。バトゥール寺院の塔や建物の配置はマンダラを模していて、かなりの高地にあるこの寺院は〝雲上の寺院〟と呼ばれています。バトゥール湖の水は スバック subak により、バンリ、クルンクン、ギャニャール一帯の水田に水を供給する水源であり、その地域の村人たちもこの寺院に参拝に訪れるそうです。
ウルン・ダヌ・バトゥール寺院は6大寺院 サド・カヤンガン Sad Kahyangan と称されている名刹です。どのような寺院がサド・カヤンガンと呼ばれているのかは、こちらにまとめてあります。⇒バリ島6大寺院へ

世界遺産プレート
寺院の向かい側に駐車場と拝観料を支払う建物がありました。トイレと休憩できるスペースもありました。そして、ウルン・ダヌ・バトゥール寺院へ向かうと「世界遺産」を示すプレートがありました。バリ島の世界遺産は「バリ州の文化的景観」として登録されています。バトゥール寺院そのものを施設としての世界遺産としているわけではありませんが、ウルン・ダヌ・バトゥール寺院とタマン・アユン寺院は、水利に関連深く重要な構成要素としてその名称がはっきりと書かれています。

着飾った龍神
ウルン・ダヌ・バトゥール寺院もオダラン(寺院の創立記念日)でした。階段の龍神も着飾っています。

ペンジョール Penjor
バトゥール寺院の前の道には、ペンジョールを始め、様々な飾りが立ち並びます。
写真に写っている男性方もバリ人男性の正装です。ところで、私もガイドさんが「ウダン」を用意してくれていて、ウダン・頭に巻く布、サルン・腰巻き、スレンダン・腰紐と略式とはいえ、しっかりとお詣りの格好に整えました。私のウダンは一枚の布を巻いていくのではなく、鉢巻き状になっていて締めるだけのものでした。
●ペンジョール → 竹の飾り付けで、祖先霊や神々は、このペンジョールを目印に寺院や各家庭に降り立つといわれている。ガルンガン、オダラン、田んぼの儀礼、地霊儀礼の日に立てられる。

ウルン・ダヌ・バトゥール寺院の社号標
バトゥール寺院の看板は石造りでりっぱです。石屋根があり、龍神をつけ、ボマまで彫り込んであります。門番のラクササや龍神は可愛い顔です。
バトゥール寺院のお詣りには、サルン・腰紐があった方がいいのですが、私たちは持参していました。レンタルはあるのですが、決まった値段ではなく交渉制だとか、値段をふっかけるとか。Rp.1000ぐらいが妥当な料金とかのアドバイスがサイトにあります。長ズボンだとOKらしく、私もお詣りの最中にそんな見学者をみかけています。

ガネーシャを祀るアリン・アリン aling-aling
入場する門に衝立のように立つのは、アリン・アリンです。悪霊を中に入れないためのもの。悪霊は曲がれないのだとか。

ガネーシャ神 gaṇeśa
アリン・アリンの中央に奉られているのが、ガネーシャ神。バリではガマ神と呼ばれ魔除けの神に位置づけられています。こんな極彩色のガネーシャは初めて見ました。

警鐘塔 バレ・クルクル bale kulkul
バトゥール寺院のクルクル塔は、装飾がきらびやかで各段にシンガや守護神を配置してます。造りも荘厳な印象を受けます。
●クルクル塔 → 警鐘塔。堅い木に割れ目を入れてつくった木製ドラム。集会や緊急事態、公式行事等がある時にこれを鳴らして村人に知らせる。
※バリ島の寺院の構造や宗教施設の名称と役割はこちらにまとめてあります。

割れ門 チャンディ・ブンタル candi bentar
ウルン・ダヌ・バトゥール寺院の造形は、とにかく山が高い。中門もそうですが、とがった形状と波型の文様が特徴的な、統一感のあるデザインです。こんなとがった割れ門は他では見られないでしょう。
●割れ門 → 神聖な領域を示す門。中門より通りに近い。左右対称で内側の向き合う面は磨かれている。神の住むマハメル山の土台を表す。魔除けの意味も持つ。

ウルン・ダヌ・バトゥール寺院の沿革
この石板には何が書かれているのかをガイドさんにたずねたら「バトゥール寺院の沿革」が書いてあるとのことでした。ダヌ(湖)の名を持つバドゥール寺院は、以前村とともに湖畔にあり、バトゥール山の噴火で村は壊滅しても寺院は奇跡的に残ったのです。村は湖畔を離れ、寺院も現在の地に再建したものです。

女神サチ Dewi Sachi
外庭 ジャバ jaba の池に立つ、水の女神サチ。Dewi Sachi は今回の旅行でよく見るようになった神像です。中庭にもサチ神が奉られています。同じ神像でも、こちらの方が大衆的なのだとか。
●外庭:ジャバ jaba → バリ・ヒンドウー寺院には外庭と内庭は必ずあり、人々が神と交流する領域。

女神サラスワティー Saraswati
こちらは、知恵の女神サラスワティーです。サラスワティーは簡単に見分けることができます。4本の腕、足元が蓮、白鳥または孔雀、そして弦楽器を持っています。今まで見たサワスワティーの比べて、美しさより知恵がにじみ出ているようなお顔でした。

中庭 ジャバ・トゥンガー jaba tengah
中庭の奧から入口方向を見ています。中央割れ門をくぐると道路です。造園に力を入れている寺院なことがわかりますでしょう。左端の建物がクルクル塔、そして右端の建物もクルクル塔です。複合寺院なので、両方のクルクル塔はそれぞれ別な寺院のものでしょう。著名な寺院では珍しい光景です。
●中庭:ジャバ・トゥンガー jaba tengah → 3つの領域を持つ寺院において、神々の領域と人々の領域のバッファーゾーン。奉納舞の多くはここで演じられる。

クルクルの近くの楼
この寺院施設が何なのか、何の役目を果たすのがまだわかりません。クルクル塔の近くによくこの施設が見られます。バトゥール寺院のこの施設は奧一面が壁ですが、タマン・アユン寺院のように壁がないものもあります。奥の壁の装飾がきらびやかです。
階段がないこと、人が使う物にしては狭いこと、神が降臨する場としては外庭にあり位置の格が低いこと。これらがわからない理由です。

中門 kori agung
ウルン・ダヌ・バトゥール寺院は、境内が区分けされています。バトゥール寺院は単一の寺院ではなく複合寺院です。だから区分けされているのでしょう。外庭に面した中門 コリアグン kori agung。これも山頂部が高く、炎のような波形の文様がついていました。
●中門:コリアグン → 神々の領域を隔てる中門。神の住むマハメル山の山腹を表す。中央の扉は御神体の出入り用。

赤猿、白猿の門番
中門の守護神は赤猿と白猿でした。この守護神は一段高いところに位置しています。猿神なのでしょう。白猿はハヌマン神なのだと思います。ヒンドゥーの神は動物にも子を授けます。すごい!

中門の扉
赤猿神と白猿神の間の門の扉です。精巧な彫刻であり、彩色も美しい扉でした。

守護神の立ち並ぶ社(やしろ)
とにかく、他では見られない社です。収蔵庫のような形でず、りっぱな石段に龍神をつけ。守護神が2段、扉の入口にさらに守護神。厚い葺き屋根の中央に円形の飾りをつけています。扉上部にはってある神は方位神のものです。中庭ジャバ・トゥンガーに入って左側にある社でした。

割れ門、中門、9層のメル
中庭から内庭方向を見ています。割れ門、中門、そして9層のメル塔を一度に配置してあるという贅沢な造りです。中門の隣にメル塔が建てられているのが珍しい。割れ門の左にガネーシャ神の祠が見えています。

ガネーシャ gaṇeśa
割れ門脇のガネーシャは色彩は施されていませんが、大変緻密な作りでした。さぞかし、名匠に作られたことでしょう。

中国式仏教寺院 Klenteng Cong Po Kong
バトゥール寺院には、仏教の寺が入っています。このお寺は国王が中国からお后をもらい、その后の願いにより建てられたとのことです。中国系のバリ人からの呼び名かもしれません。キンタマーニ地方には、中国式寺院が多いとのことです。

中国式仏教寺院の仏像
仏像のお顔がこんな具合で、中国でみる仏像よりも人間ぽい顔だちです。後の仏像が中国らしい顔だちでした。

女神サチ Dewi Sachi
内庭ジャバと中庭ジャバ・トゥンガーの境に2体の女神像が立っています。正面左手がこのサチ女神。水の女神の象徴として水瓶をもっています。
●内庭:ジェロアン jeroan:内庭 → 神々の領域で、ヒンドウー教徒の参拝客であっても通常は入れない。

女神デウィ・ダヌ Dewi Danu
正面右手にデウィ・ダヌ。湖・Danu の女神です。服装、装飾もきらびやかで、顔だちも気品があり、サチ女神像より見栄えがするように格上に造られています。ウルン・ダヌ・ブラタン寺院でもデウィ・ダヌを奉っていますが、バトゥール寺院の方が本山にあたるということでした。

社(やしろ)の龍と守護神
龍神に帽子、赤い首巻き、胴体には格子模様のポレン布。色とりどりの日傘パユンpaying、竹のノボリ。社には黄色の布を回して、前には供物とオダランならではの飾りつけです。左隅に写っているのが、サチ神と次の写真・水牛に乗った王子と后です。

牛に乗る王様と后
白い水牛に王様と后が乗っている石像です。ある伝説をモチーフにしているのだとガイドさんが話してくれました。見学・撮影に忙しく、どんな話しなのかを聞き漏らしました。今思うと「ジャヤ・パングス王とカン・チン・ウィー王妃」だったのではないでしょうか。

ラマッ飾り lamak
祭壇付近の飾りです。切り絵のようになっています。色使いもよく、金色も配置してオダランの際に降臨してくる神々を歓迎する飾りなのでしょう。ラマッ飾りはヤシの葉などで編んだ飾り物の一種。ガルンガンというお盆の飾りや遺体の浄化儀礼の祭壇飾りにも使われます。ぜひ、クリックして大きな写真でご覧ください。

7層・9層・11層のメル塔と日傘 meru&payung
左から7層、9層、そして11層のメル塔が並んでいます。高いメルの方が格上です。そして、山側の中央に位置します。バリ島では高い方向・山側、次に太陽が昇る方角、東が尊ばれます。

11層のメル塔 meru
この11層のメル塔がバトゥール寺院でもっとも格の高いものです。バトゥール寺院はメル塔の近くまで行って見ることができます。一層目の壁が幾何学模様で装飾がほどこされています。そして、他のメルでは見られない神々が鎮座していました。
●メル:meru → 奇数層の屋根を持つ塔。高さは神格を表す。神の住むマハメル山を表す。砂糖ヤシの毛で屋根をふいている。中空で人が入ることを前提として建てられてはいない。

11層のメル塔の神々
ヒンドゥー教での三最高神のウィスヌ Wisnu、シワ Siwa、ブラフマ Brahma が台座付近に位置しています。左がウィスヌ、手に杓のような武器を持っています。右がブラフマ、棍棒のような武器を持っています。中央にはシワ、円盤や扁平した球を持っています。次の段には、ウィジャダリ(天女・飛天)とシンガが配置されています。
メル塔は、マハメル mahameru 山のシンボルで神々の住むところを表しています。この神像の配置で納得できました。
中央のシワ神の足元が亀神。両脇が2体の龍神で、その構造がパドマサナと同じです。バリ・ヒンドゥー教寺院の中でメル塔がもっとも重要な施設なことが理解できます。

3神のパドマサナ padmasana Tiga
左手から水の神・ウィスヌ、風の神・シワ、火の神・ブラフマの3神を奉った聖壇、パドマサナです。この三神が人々に近く、格の高い・人気のある神様です。さて、パドマサナですが、亀神の手がはっきり見えます。龍神は2体ではなく、1体です。神が降臨する椅子の肘掛け部分が動物になっています。龍なのかと思っていいたのですが、下あごからキバが生えていて龍ではないようです。想像上の生き物でしょうが、何なのでしょうか。
ウィスヌ神のパドマサナの中央にガネーシャ神も入っています。パドマサナは必ずしも一神用ではないことを教えられました。
●パドマサナ:padmasana → 通常は、太陽神スリアもしくはシワ神の玉座。最上部は椅子になっている。常にガジャの方角であるアグン山を背中にし、境内の奧・もっとも高貴な位置に建てられる。

社(やしろ)とメル塔と祭壇
11層と9層の前に祭壇 サンガル sanggar が置かれていました。オダランは期間があり、当日が過ぎたからといって飾りは2・3日撤去しないのだそうです。祭の当日には、この祭壇の上にいっぱいの供物が置かれたことでしょう。

メル塔とペンジョール meru&Penjor
3つのメル塔とペンジョール、糸杉が立ち並ぶ風景です。バリ島寺院の施設・構造はこちらでご紹介します。

バレ・バリス Bale Baris 奉納舞の際の舞踊団待機所
見たことのない建物なので、ガイドさんに聞いたら「奉納舞の際の踊り手の待機場所」ということでした。多人数で踊るバリス舞踊はさぞ壮観なことでしょう。今のバリス公演は一人で踊りますが、バリス舞は観兵式を舞踊にしたものです。槍を持ち多人数で踊ったものでした。

外庭ジャバから中庭ジャバ・トゥンガーを望む jaba→ jaba tengah
まるで、糸杉?のように細く天に伸びる木です。バリ島でこんな木を見るのは初めてでした。

外庭 ジャバ jaba
バトゥール寺院は造園に手がこんでいます。休息所にも見えるバレの前に池を配置し、石組みをして植栽をしています。天国の風景でも模しているのでしょうか。

外庭の飾り像
その石組みの上に鎮座している飾り像。水が出てくるようになっていそうです。なんとも憎めない顔だちでした。

飛天の像
縁石の上の飛天の像です。羽根、髪、衣装が美しく、焼き物だと思います。

クルクル塔 Bal kulkul
バトゥール寺院のクルクル塔の装飾はきらびやかです。クルクルはこのように2本つり下げられています。

クルクル塔からみた中門、割れ門
バトゥール寺院のクルクル塔は石作りの階段がついて、登らせてもらいました。正面入口から見える中門 コリアグン kori agung とその両側に通用口を兼ねての割れ門がよく見えました。電線と街灯の頭がどうしても入ってしまい残念です。

クルクル塔からみたペンジョール Penjor
クルクル塔から通りを見ると高々と掲げられているペンジョールが見えました。

オダランで飾り付けられた寺院
最後にオダランの飾り付けをもう一度見て帰路につきました。写真右側に見える黄色の布はシンガの首に掛けられています。階段のフェンスに掛けられている切り絵模様も美しい。年に一度のお祭りというものの何日もかけて細工をこしらえるのでしょう。
ウルン・ダヌ・バトゥール寺院は、9つの寺院の複合寺院です。メインの寺院はプラ・プナタラン・アグン・バトゥール Pura Penataran Agun Batur。他の8寺院は、ペナタラン・プラ・ジャティ Penataran Pura Jati。プラ・タルタ・ブンカ Pura Tirta Bungkah。プラ・タマン・サリ Pura Taman Sari。プラ・ティルタ・マス・ムンペ Pura Tirta Mas Mampeh。プラ・サンパイア・ワンギPura Sampian Wangi。プラ・グナラリ Pura Gunarali。プラ・パダン・シラ Pura Padang Sila。プラ・トゥルク・ビユ Pura Tuluk Biyuです。
日本でいえば、大きな神社の境内の中に社があるといえば、理解しやすいでしょう。バトゥール村は以前はバトゥール山の南山麓、バトゥール湖の南西部にありました。バトゥール山の2度の噴火で、数多くの寺院・社を失い、バトゥール寺院でも残ったのは11僧のメル塔だけだったそうです。その際に失った寺院もバトゥール寺院といっしょに再建したことでしょう。
11僧のメル塔はデウィ・ダヌ、9僧がバトゥール山、7僧がアバン山を奉じているようです。
⇒バトゥール寺院は元はどこにあったのか
ウルン・ダヌ・バトゥール寺院は、バトゥール山の外輪に建つ寺院で、バリ島にヒンドゥー教が渡ってくる以前は仏教の寺であったため、仏とバトゥール湖の守護神である、デウィ・ウルン・ダヌを祀っている。ウルンは「先端」、ダヌは「湖」という意味。つまり湖の先端の寺と言う意味があり、この寺に祀られているバトゥール湖の守護神で水の神でもある女神の名前もデウィ・ウルン・ダヌと言う。
この寺院はかつてバトゥール湖畔の村に建っていた。1917年のバトゥール山の噴火の際には村は奇跡的に被害を免れたが、1926年の噴火で村は壊滅したものの、寺の本堂は残った。村人たちは、湖畔にあった村をバトゥール山の外輪山に移し、翌年再建したのがこのウルン・ダヌ・バトゥール寺院である。ウルン・ダヌ・バトゥール寺院付近からバトゥール湖を望む景観は絶景で、バリ島の山の観光地の中でもとくに美しいと言われている。
バトゥール湖とこの寺院は、世界遺産・バリ州の文化的景観に含まれている。
ウルン・ダヌ・バトゥール寺院からのバトゥール湖を望む景色は絶景だという情報がありましたので、楽しみにしていたのですが、少なくとも観光客が寺院境内から湖を望むことはできませんでした。寺院を見学した後の帰路に展望台がありました。ただし、土産物を手にしたおびただしいバリ人がたむろしているのです。ガイドさんが「ここの物売りはしつこいから、買う素振りは見せてはならない」といって通過しました。さすがの私でも車から降りたいとは思いませんでした。オランダ統治時代から西洋人観光客を相手にしてきた地域の方々ですから、はんぱないのでしょう。
バトゥール山北側の外輪山の森に、王国がありました。ジャヤ・バングス(Jaya pangus)王は、乗っていた船が難破してバリ島に流れ着いた中国大商人の娘、カン・チン・ウィー(Kang Ching Wie)の美しさに驚き、妃にすることを望んだのです。
その後、二人は夫婦となり幸せな結婚生活をおくっていましたが、残念なことに子宝に恵まれません。そこで王は、瞑想と修行のために独りでバトゥール山へ山籠もりに行きました。ところがその地で、王は湖の女神、デウィ・ダヌ(Dewi Danu)と出会います。デウィ・ダヌに誘惑され、自分は独身だとウソをついた王は、女神と恋仲になって子供まで授かります。
王妃カン・チン・ウィーは長く戻らない夫を心配して、バトゥール山へ探しに行きました。そこで、夫と女神、その息子が一緒にいるところを見つけ驚嘆します。王妃だけではなく、デウィ・ダヌも自分が騙されていたことを知って驚きます。女神の悲しみと怒りを納めるにはジャヤ・パングス王を湖の生贄にするしかありません。それを知った王妃カン・チン・ウィーは王と一緒に生贄となることを選びました。
国王と王妃が亡くなったことを悲しんだ王国の国民は、二人の姿に似せた人形を作って祀るようになりました。これが、バロン・ランドゥン(村に疫病などが流行しないように見守る村の神様)の起源です。王様とお妃は、現在も儀式などで見られるバロン・ランドゥンとなり、バリ人に敬意を払われる存在となったのです。
※ このストーリーは、バリの新作舞踊に取り入れられ、レゴンやバロン・ランドゥンで演じられています。
このお話しでは、カン・チン・ウィーは商家の娘ですが、中国人高僧の弟子だというものもあります。中国人高僧と女弟子が王国を訪問し、王は二人を国に留める。王位を息子にゆずった王だったが、悪い教えを信仰する息子を追放した。お后は心労のあまり亡くなる。その後、息子は勢力を拡大して父親の領土も奪ってしまう。王はかねてから見そめていたカン・チン・ウィーと結婚したが子供ができず、カン・チン・ウィーに乞われて中国式寺院を建立する。というお話しです。
ウルン・ダヌ・バトゥール寺院は、ウブトからは車で1時間少しで到着できます。
ウルン・ダヌ・バトゥール寺院map ⇒

ティガラランの棚田
ウブドからウルン・ダヌ・バトゥール寺院に向かうと、ティガラランを通ります。前回は昼食で立ち寄ってはいたのですが、「写真を撮るか」といわれて下車しました。道路からすぐ見える美しい棚田です。棚田はバリではトゥビ tebihといいます。

ティガラランの棚田
ティガラランは、有名な観光地ですから、レストラン、土産物屋が並んでいて、車も多くすごく混み合うところです。写真を写し終わったら、チャターカーが見当たらない。スズキのワゴンは数多く並んでいるので、自分の乗った車を捜すのに苦労しました。
ティガラランでは、少し停まっていても駐車料金を取られるので、ずいぶん前方に移動していたのです。
※前回のティガラランのレポートはこちら
オランダ植民地時代のバリ島の玄関口は北部のシンガラジャでした。そこに、オランダ植民地政府があり、船が寄港していました。そこから、キンタマーニ高原 Kintamani を経由してウブドに入るというのが、主要観光ルートでした。キンタマーニ高原を馬に乗って景観を楽しんだということです。
さて、キンタマーニ高原を見渡し、山の外輪部に入ろうという所で、通行料を取られました。日本でいえば、観光用有料道路料金を支払うようなものです。バトゥール湖周辺には様々な観光地があるので、ここで押さえるのが効率的だとは思いますが、ネットで情報を調べている時にもどこにも書かれていなくて、「聞いてないよぉ」って感じでちょっとショックでした。
ウルン・ダヌ・バトゥール寺院は、バリ島でも屈指の大きな寺院です。毎年10月頃に行われる満月祭は盛大で、多くの人が訪れるそうです。バトゥール寺院の塔や建物の配置はマンダラを模していて、かなりの高地にあるこの寺院は〝雲上の寺院〟と呼ばれています。バトゥール湖の水は スバック subak により、バンリ、クルンクン、ギャニャール一帯の水田に水を供給する水源であり、その地域の村人たちもこの寺院に参拝に訪れるそうです。
ウルン・ダヌ・バトゥール寺院は6大寺院 サド・カヤンガン Sad Kahyangan と称されている名刹です。どのような寺院がサド・カヤンガンと呼ばれているのかは、こちらにまとめてあります。⇒バリ島6大寺院へ

世界遺産プレート
寺院の向かい側に駐車場と拝観料を支払う建物がありました。トイレと休憩できるスペースもありました。そして、ウルン・ダヌ・バトゥール寺院へ向かうと「世界遺産」を示すプレートがありました。バリ島の世界遺産は「バリ州の文化的景観」として登録されています。バトゥール寺院そのものを施設としての世界遺産としているわけではありませんが、ウルン・ダヌ・バトゥール寺院とタマン・アユン寺院は、水利に関連深く重要な構成要素としてその名称がはっきりと書かれています。

着飾った龍神
ウルン・ダヌ・バトゥール寺院もオダラン(寺院の創立記念日)でした。階段の龍神も着飾っています。

ペンジョール Penjor
バトゥール寺院の前の道には、ペンジョールを始め、様々な飾りが立ち並びます。
写真に写っている男性方もバリ人男性の正装です。ところで、私もガイドさんが「ウダン」を用意してくれていて、ウダン・頭に巻く布、サルン・腰巻き、スレンダン・腰紐と略式とはいえ、しっかりとお詣りの格好に整えました。私のウダンは一枚の布を巻いていくのではなく、鉢巻き状になっていて締めるだけのものでした。
●ペンジョール → 竹の飾り付けで、祖先霊や神々は、このペンジョールを目印に寺院や各家庭に降り立つといわれている。ガルンガン、オダラン、田んぼの儀礼、地霊儀礼の日に立てられる。

ウルン・ダヌ・バトゥール寺院の社号標
バトゥール寺院の看板は石造りでりっぱです。石屋根があり、龍神をつけ、ボマまで彫り込んであります。門番のラクササや龍神は可愛い顔です。
バトゥール寺院のお詣りには、サルン・腰紐があった方がいいのですが、私たちは持参していました。レンタルはあるのですが、決まった値段ではなく交渉制だとか、値段をふっかけるとか。Rp.1000ぐらいが妥当な料金とかのアドバイスがサイトにあります。長ズボンだとOKらしく、私もお詣りの最中にそんな見学者をみかけています。

ガネーシャを祀るアリン・アリン aling-aling
入場する門に衝立のように立つのは、アリン・アリンです。悪霊を中に入れないためのもの。悪霊は曲がれないのだとか。

ガネーシャ神 gaṇeśa
アリン・アリンの中央に奉られているのが、ガネーシャ神。バリではガマ神と呼ばれ魔除けの神に位置づけられています。こんな極彩色のガネーシャは初めて見ました。

警鐘塔 バレ・クルクル bale kulkul
バトゥール寺院のクルクル塔は、装飾がきらびやかで各段にシンガや守護神を配置してます。造りも荘厳な印象を受けます。
●クルクル塔 → 警鐘塔。堅い木に割れ目を入れてつくった木製ドラム。集会や緊急事態、公式行事等がある時にこれを鳴らして村人に知らせる。
※バリ島の寺院の構造や宗教施設の名称と役割はこちらにまとめてあります。

割れ門 チャンディ・ブンタル candi bentar
ウルン・ダヌ・バトゥール寺院の造形は、とにかく山が高い。中門もそうですが、とがった形状と波型の文様が特徴的な、統一感のあるデザインです。こんなとがった割れ門は他では見られないでしょう。
●割れ門 → 神聖な領域を示す門。中門より通りに近い。左右対称で内側の向き合う面は磨かれている。神の住むマハメル山の土台を表す。魔除けの意味も持つ。

ウルン・ダヌ・バトゥール寺院の沿革
この石板には何が書かれているのかをガイドさんにたずねたら「バトゥール寺院の沿革」が書いてあるとのことでした。ダヌ(湖)の名を持つバドゥール寺院は、以前村とともに湖畔にあり、バトゥール山の噴火で村は壊滅しても寺院は奇跡的に残ったのです。村は湖畔を離れ、寺院も現在の地に再建したものです。

女神サチ Dewi Sachi
外庭 ジャバ jaba の池に立つ、水の女神サチ。Dewi Sachi は今回の旅行でよく見るようになった神像です。中庭にもサチ神が奉られています。同じ神像でも、こちらの方が大衆的なのだとか。
●外庭:ジャバ jaba → バリ・ヒンドウー寺院には外庭と内庭は必ずあり、人々が神と交流する領域。

女神サラスワティー Saraswati
こちらは、知恵の女神サラスワティーです。サラスワティーは簡単に見分けることができます。4本の腕、足元が蓮、白鳥または孔雀、そして弦楽器を持っています。今まで見たサワスワティーの比べて、美しさより知恵がにじみ出ているようなお顔でした。

中庭 ジャバ・トゥンガー jaba tengah
中庭の奧から入口方向を見ています。中央割れ門をくぐると道路です。造園に力を入れている寺院なことがわかりますでしょう。左端の建物がクルクル塔、そして右端の建物もクルクル塔です。複合寺院なので、両方のクルクル塔はそれぞれ別な寺院のものでしょう。著名な寺院では珍しい光景です。
●中庭:ジャバ・トゥンガー jaba tengah → 3つの領域を持つ寺院において、神々の領域と人々の領域のバッファーゾーン。奉納舞の多くはここで演じられる。

クルクルの近くの楼
この寺院施設が何なのか、何の役目を果たすのがまだわかりません。クルクル塔の近くによくこの施設が見られます。バトゥール寺院のこの施設は奧一面が壁ですが、タマン・アユン寺院のように壁がないものもあります。奥の壁の装飾がきらびやかです。
階段がないこと、人が使う物にしては狭いこと、神が降臨する場としては外庭にあり位置の格が低いこと。これらがわからない理由です。

中門 kori agung
ウルン・ダヌ・バトゥール寺院は、境内が区分けされています。バトゥール寺院は単一の寺院ではなく複合寺院です。だから区分けされているのでしょう。外庭に面した中門 コリアグン kori agung。これも山頂部が高く、炎のような波形の文様がついていました。
●中門:コリアグン → 神々の領域を隔てる中門。神の住むマハメル山の山腹を表す。中央の扉は御神体の出入り用。

赤猿、白猿の門番
中門の守護神は赤猿と白猿でした。この守護神は一段高いところに位置しています。猿神なのでしょう。白猿はハヌマン神なのだと思います。ヒンドゥーの神は動物にも子を授けます。すごい!

中門の扉
赤猿神と白猿神の間の門の扉です。精巧な彫刻であり、彩色も美しい扉でした。

守護神の立ち並ぶ社(やしろ)
とにかく、他では見られない社です。収蔵庫のような形でず、りっぱな石段に龍神をつけ。守護神が2段、扉の入口にさらに守護神。厚い葺き屋根の中央に円形の飾りをつけています。扉上部にはってある神は方位神のものです。中庭ジャバ・トゥンガーに入って左側にある社でした。

割れ門、中門、9層のメル
中庭から内庭方向を見ています。割れ門、中門、そして9層のメル塔を一度に配置してあるという贅沢な造りです。中門の隣にメル塔が建てられているのが珍しい。割れ門の左にガネーシャ神の祠が見えています。

ガネーシャ gaṇeśa
割れ門脇のガネーシャは色彩は施されていませんが、大変緻密な作りでした。さぞかし、名匠に作られたことでしょう。

中国式仏教寺院 Klenteng Cong Po Kong
バトゥール寺院には、仏教の寺が入っています。このお寺は国王が中国からお后をもらい、その后の願いにより建てられたとのことです。中国系のバリ人からの呼び名かもしれません。キンタマーニ地方には、中国式寺院が多いとのことです。

中国式仏教寺院の仏像
仏像のお顔がこんな具合で、中国でみる仏像よりも人間ぽい顔だちです。後の仏像が中国らしい顔だちでした。

女神サチ Dewi Sachi
内庭ジャバと中庭ジャバ・トゥンガーの境に2体の女神像が立っています。正面左手がこのサチ女神。水の女神の象徴として水瓶をもっています。
●内庭:ジェロアン jeroan:内庭 → 神々の領域で、ヒンドウー教徒の参拝客であっても通常は入れない。

女神デウィ・ダヌ Dewi Danu
正面右手にデウィ・ダヌ。湖・Danu の女神です。服装、装飾もきらびやかで、顔だちも気品があり、サチ女神像より見栄えがするように格上に造られています。ウルン・ダヌ・ブラタン寺院でもデウィ・ダヌを奉っていますが、バトゥール寺院の方が本山にあたるということでした。

社(やしろ)の龍と守護神
龍神に帽子、赤い首巻き、胴体には格子模様のポレン布。色とりどりの日傘パユンpaying、竹のノボリ。社には黄色の布を回して、前には供物とオダランならではの飾りつけです。左隅に写っているのが、サチ神と次の写真・水牛に乗った王子と后です。

牛に乗る王様と后
白い水牛に王様と后が乗っている石像です。ある伝説をモチーフにしているのだとガイドさんが話してくれました。見学・撮影に忙しく、どんな話しなのかを聞き漏らしました。今思うと「ジャヤ・パングス王とカン・チン・ウィー王妃」だったのではないでしょうか。

ラマッ飾り lamak
祭壇付近の飾りです。切り絵のようになっています。色使いもよく、金色も配置してオダランの際に降臨してくる神々を歓迎する飾りなのでしょう。ラマッ飾りはヤシの葉などで編んだ飾り物の一種。ガルンガンというお盆の飾りや遺体の浄化儀礼の祭壇飾りにも使われます。ぜひ、クリックして大きな写真でご覧ください。

7層・9層・11層のメル塔と日傘 meru&payung
左から7層、9層、そして11層のメル塔が並んでいます。高いメルの方が格上です。そして、山側の中央に位置します。バリ島では高い方向・山側、次に太陽が昇る方角、東が尊ばれます。

11層のメル塔 meru
この11層のメル塔がバトゥール寺院でもっとも格の高いものです。バトゥール寺院はメル塔の近くまで行って見ることができます。一層目の壁が幾何学模様で装飾がほどこされています。そして、他のメルでは見られない神々が鎮座していました。
●メル:meru → 奇数層の屋根を持つ塔。高さは神格を表す。神の住むマハメル山を表す。砂糖ヤシの毛で屋根をふいている。中空で人が入ることを前提として建てられてはいない。

11層のメル塔の神々
ヒンドゥー教での三最高神のウィスヌ Wisnu、シワ Siwa、ブラフマ Brahma が台座付近に位置しています。左がウィスヌ、手に杓のような武器を持っています。右がブラフマ、棍棒のような武器を持っています。中央にはシワ、円盤や扁平した球を持っています。次の段には、ウィジャダリ(天女・飛天)とシンガが配置されています。
メル塔は、マハメル mahameru 山のシンボルで神々の住むところを表しています。この神像の配置で納得できました。
中央のシワ神の足元が亀神。両脇が2体の龍神で、その構造がパドマサナと同じです。バリ・ヒンドゥー教寺院の中でメル塔がもっとも重要な施設なことが理解できます。

3神のパドマサナ padmasana Tiga
左手から水の神・ウィスヌ、風の神・シワ、火の神・ブラフマの3神を奉った聖壇、パドマサナです。この三神が人々に近く、格の高い・人気のある神様です。さて、パドマサナですが、亀神の手がはっきり見えます。龍神は2体ではなく、1体です。神が降臨する椅子の肘掛け部分が動物になっています。龍なのかと思っていいたのですが、下あごからキバが生えていて龍ではないようです。想像上の生き物でしょうが、何なのでしょうか。
ウィスヌ神のパドマサナの中央にガネーシャ神も入っています。パドマサナは必ずしも一神用ではないことを教えられました。
●パドマサナ:padmasana → 通常は、太陽神スリアもしくはシワ神の玉座。最上部は椅子になっている。常にガジャの方角であるアグン山を背中にし、境内の奧・もっとも高貴な位置に建てられる。

社(やしろ)とメル塔と祭壇
11層と9層の前に祭壇 サンガル sanggar が置かれていました。オダランは期間があり、当日が過ぎたからといって飾りは2・3日撤去しないのだそうです。祭の当日には、この祭壇の上にいっぱいの供物が置かれたことでしょう。

メル塔とペンジョール meru&Penjor
3つのメル塔とペンジョール、糸杉が立ち並ぶ風景です。バリ島寺院の施設・構造はこちらでご紹介します。

バレ・バリス Bale Baris 奉納舞の際の舞踊団待機所
見たことのない建物なので、ガイドさんに聞いたら「奉納舞の際の踊り手の待機場所」ということでした。多人数で踊るバリス舞踊はさぞ壮観なことでしょう。今のバリス公演は一人で踊りますが、バリス舞は観兵式を舞踊にしたものです。槍を持ち多人数で踊ったものでした。

外庭ジャバから中庭ジャバ・トゥンガーを望む jaba→ jaba tengah
まるで、糸杉?のように細く天に伸びる木です。バリ島でこんな木を見るのは初めてでした。

外庭 ジャバ jaba
バトゥール寺院は造園に手がこんでいます。休息所にも見えるバレの前に池を配置し、石組みをして植栽をしています。天国の風景でも模しているのでしょうか。

外庭の飾り像
その石組みの上に鎮座している飾り像。水が出てくるようになっていそうです。なんとも憎めない顔だちでした。

飛天の像
縁石の上の飛天の像です。羽根、髪、衣装が美しく、焼き物だと思います。

クルクル塔 Bal kulkul
バトゥール寺院のクルクル塔の装飾はきらびやかです。クルクルはこのように2本つり下げられています。

クルクル塔からみた中門、割れ門
バトゥール寺院のクルクル塔は石作りの階段がついて、登らせてもらいました。正面入口から見える中門 コリアグン kori agung とその両側に通用口を兼ねての割れ門がよく見えました。電線と街灯の頭がどうしても入ってしまい残念です。

クルクル塔からみたペンジョール Penjor
クルクル塔から通りを見ると高々と掲げられているペンジョールが見えました。

オダランで飾り付けられた寺院
最後にオダランの飾り付けをもう一度見て帰路につきました。写真右側に見える黄色の布はシンガの首に掛けられています。階段のフェンスに掛けられている切り絵模様も美しい。年に一度のお祭りというものの何日もかけて細工をこしらえるのでしょう。
ウルン・ダヌ・バトゥール寺院は、9つの寺院の複合寺院です。メインの寺院はプラ・プナタラン・アグン・バトゥール Pura Penataran Agun Batur。他の8寺院は、ペナタラン・プラ・ジャティ Penataran Pura Jati。プラ・タルタ・ブンカ Pura Tirta Bungkah。プラ・タマン・サリ Pura Taman Sari。プラ・ティルタ・マス・ムンペ Pura Tirta Mas Mampeh。プラ・サンパイア・ワンギPura Sampian Wangi。プラ・グナラリ Pura Gunarali。プラ・パダン・シラ Pura Padang Sila。プラ・トゥルク・ビユ Pura Tuluk Biyuです。
日本でいえば、大きな神社の境内の中に社があるといえば、理解しやすいでしょう。バトゥール村は以前はバトゥール山の南山麓、バトゥール湖の南西部にありました。バトゥール山の2度の噴火で、数多くの寺院・社を失い、バトゥール寺院でも残ったのは11僧のメル塔だけだったそうです。その際に失った寺院もバトゥール寺院といっしょに再建したことでしょう。
11僧のメル塔はデウィ・ダヌ、9僧がバトゥール山、7僧がアバン山を奉じているようです。
⇒バトゥール寺院は元はどこにあったのか
ウルン・ダヌ・バトゥールシ寺院の話題
ウルン・ダヌ・バトゥール寺院 Pura Ulun Danu Batur
バンリ県-キンタマーニ(中部)Bangli- Kintamani Jl. Kintamani - Batur Selatan、Denpasar、Bali デンパサール空港→75.5km:1h56mウルン・ダヌ・バトゥール寺院は、バトゥール山の外輪に建つ寺院で、バリ島にヒンドゥー教が渡ってくる以前は仏教の寺であったため、仏とバトゥール湖の守護神である、デウィ・ウルン・ダヌを祀っている。ウルンは「先端」、ダヌは「湖」という意味。つまり湖の先端の寺と言う意味があり、この寺に祀られているバトゥール湖の守護神で水の神でもある女神の名前もデウィ・ウルン・ダヌと言う。
この寺院はかつてバトゥール湖畔の村に建っていた。1917年のバトゥール山の噴火の際には村は奇跡的に被害を免れたが、1926年の噴火で村は壊滅したものの、寺の本堂は残った。村人たちは、湖畔にあった村をバトゥール山の外輪山に移し、翌年再建したのがこのウルン・ダヌ・バトゥール寺院である。ウルン・ダヌ・バトゥール寺院付近からバトゥール湖を望む景観は絶景で、バリ島の山の観光地の中でもとくに美しいと言われている。
バトゥール湖とこの寺院は、世界遺産・バリ州の文化的景観に含まれている。
展望台と物売り
ウルン・ダヌ・バトゥール寺院からのバトゥール湖を望む景色は絶景だという情報がありましたので、楽しみにしていたのですが、少なくとも観光客が寺院境内から湖を望むことはできませんでした。寺院を見学した後の帰路に展望台がありました。ただし、土産物を手にしたおびただしいバリ人がたむろしているのです。ガイドさんが「ここの物売りはしつこいから、買う素振りは見せてはならない」といって通過しました。さすがの私でも車から降りたいとは思いませんでした。オランダ統治時代から西洋人観光客を相手にしてきた地域の方々ですから、はんぱないのでしょう。
ジャヤ・パングスとカン・チン・ウィーの物語
バトゥール寺院にある中国式寺院について調べている内に、王と中国の姫の恋物語がありました。バトゥール山北側の外輪山の森に、王国がありました。ジャヤ・バングス(Jaya pangus)王は、乗っていた船が難破してバリ島に流れ着いた中国大商人の娘、カン・チン・ウィー(Kang Ching Wie)の美しさに驚き、妃にすることを望んだのです。
その後、二人は夫婦となり幸せな結婚生活をおくっていましたが、残念なことに子宝に恵まれません。そこで王は、瞑想と修行のために独りでバトゥール山へ山籠もりに行きました。ところがその地で、王は湖の女神、デウィ・ダヌ(Dewi Danu)と出会います。デウィ・ダヌに誘惑され、自分は独身だとウソをついた王は、女神と恋仲になって子供まで授かります。
王妃カン・チン・ウィーは長く戻らない夫を心配して、バトゥール山へ探しに行きました。そこで、夫と女神、その息子が一緒にいるところを見つけ驚嘆します。王妃だけではなく、デウィ・ダヌも自分が騙されていたことを知って驚きます。女神の悲しみと怒りを納めるにはジャヤ・パングス王を湖の生贄にするしかありません。それを知った王妃カン・チン・ウィーは王と一緒に生贄となることを選びました。
国王と王妃が亡くなったことを悲しんだ王国の国民は、二人の姿に似せた人形を作って祀るようになりました。これが、バロン・ランドゥン(村に疫病などが流行しないように見守る村の神様)の起源です。王様とお妃は、現在も儀式などで見られるバロン・ランドゥンとなり、バリ人に敬意を払われる存在となったのです。
※ このストーリーは、バリの新作舞踊に取り入れられ、レゴンやバロン・ランドゥンで演じられています。
このお話しでは、カン・チン・ウィーは商家の娘ですが、中国人高僧の弟子だというものもあります。中国人高僧と女弟子が王国を訪問し、王は二人を国に留める。王位を息子にゆずった王だったが、悪い教えを信仰する息子を追放した。お后は心労のあまり亡くなる。その後、息子は勢力を拡大して父親の領土も奪ってしまう。王はかねてから見そめていたカン・チン・ウィーと結婚したが子供ができず、カン・チン・ウィーに乞われて中国式寺院を建立する。というお話しです。
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