マハーバーラタ クルクシェートラの戦い
マハーバーラタの中では、クルクシェートラの戦いは重要なウェートを占めます。
最初は長いなぁと感じていましたが、今ではマハーバーラタでもっとも描きたかったのは、実は「クルクシェートラの戦い」なのではなかったかと思っています。
どのような国同士が戦ったのか、両軍の将軍や戦士はどこの誰だったのか。彼らにはどんな経緯やエピソードがあったのか。この戦争の意義はなんだったのかをまとめてみました。
「マハーバーラタのあらすじ」はこちら。ぜひ、合わせて読んでください。お勧めします。
contents
1 戦いの経緯
2 戦いの主要戦士
3 対戦相手との経緯と確執
4 戦いのために生まれし者
5 簡単には死なない恩寵を受けし者
6 出生が神がかりな者
7 両軍の約定と法・ダルマに反する行為
8 マハーバーラタの意義と解釈にとって重要な文章
9 マハーバーラタでの「クルクシェートラの戦い」の意味するところ
《付録》
10 戦いに参戦した国の概要
11 五王子をめぐる女たち
12 戦いで使われた神の武器
13 アルジュナの神業
14 アルジュナ特攻隊・サンシャプタカ(誓った者たち)の誓い
15 戦いの装備や従軍した人々
16 メモランダム
ドゥルヨーダナは「ユディシュティラが王位につくとその次の王は自分ではなく、ユディシュティラの子がなるであろう。そうなれば現王だってどのように扱われるかわかったものじゃない。」と換言し、王はクル国内にユディシュティラの領地を分け与えることにした。
ドゥルヨーダナはサイコロ賭博にユディシュティラを誘い込み、全てを巻き上げ領地から追放することに成功した。追放の期間が終わり、ユディシュティラは賭博での約定どおり領地の返還を求めたが、ドゥルヨーダナは応じようとはしなかった。クシャトリヤらしく戦いで決着をつけるため、両軍は聖地クルクシェートラで相まみえることになったのである。
両軍の戦士の
名前の数は膨大なものです。その中で誰が強い戦士なのでしょうか?
確たる人が戦士として名前を挙げ、登場回数が多くかつ戦いで活躍し、誰が誰を殺したと名前が挙げられている者を、クルクシェートラの戦いの主要戦士として紹介します。
ここがもっともオリジナルな箇所ですが。戦士の名前が続きますので、エピソードから読みたい方は「次へ」進めてください。
まとめた手法はワープロで書き出し、検索機能で潰していきました。ある時は氏名、ある時は○○王、○○の息子として表し、人の名前かと思えば軍勢の名前だったりもして読み解くのは大変でした。
※パーンダヴァ パーンドゥ(五王子の父)の子ら、という意味。ユディシュティラ、ビーマ、アルジュナ、ナクラ、サハデーヴァを指す。
※カウラヴァ 「クルの子孫たち」を意味する。物語では盲目王ドリタラーシュトラとガンダーリ妃との間に生まれた100人の王子を指す。
※インド4つのカースト インドの身分体系。1.バラモン(司祭階級)2.クシャトリヤ(王族・武士階級)3.ヴァイシャ(平庶民階級)・シュードラ(隷属民階級)
※聖仙(リシ) 神話・伝説上の聖者あるいは賢者達のこと。サンスクリット語で「賢者」を意味する。インド神話では、ヨーガの修行を積んだ苦行者であり、超能力を体得した超人。
《 7軍の軍司令官 》
《 武将・戦士 》
《 この人がパーンドゥ軍にいた 》
《 国・軍勢 》
・パンチャーラ国 ・・・ 国王はドルパダ。五王子が婿選び式でドラウパディーを勝ち取った国、姻戚。
・マツヤ国 ・・・ 国王はヴィラータ。五王子が身分を隠して宮廷に仕えた国。国王の娘がアルジュナの息子の嫁、姻戚。
・ケーカヤ国 ・・・ ケーカヤ国はパーンドゥ軍・クル軍に分かれている。ケーカヤ国はクリシュナの国。クル国と始祖が同じ。親戚。
・チェーディ国 ・・・ 国王はドリシタケートゥ。前の国王はシシュパーラ→ユディシュティラのラージャスーヤ祭の折に暴言をはきクリシュナに殺される。シシュパーラはクリシュナの従兄弟。国王の妹がナクラの妻、姻戚。
・カーシー国 ・・・ 国王の息子はアビブ。国王の名前は不明。ビーシュマが義弟のためにカーシー国の王女を嫁として略奪をした。
・シビ国 ・・・ 国王はシャイビヤ。シビ族がクル軍に同盟している。
・ダシャールナ軍
・アシュマカ軍
・スリンジャヤ軍 ・・・ パンチャーラ国の軍勢。パンチャーラ軍と同列に書かれている。
・ソーマカ軍 ・・・ パンチャーラ軍の俗称。ソーマカはドルパダ王の祖父の子孫につけられた名。
・プラバドラカ軍 ・・・ 「美しい者」という意味。パンチャーラ軍の一部。
・カルーシャ軍
//////////////////////////
《 11軍の軍司令官 》
(注意) ドゥルヨーダナが指名した軍司令官11名(5P448)とクル軍の10名の軍団長の名前が半分程だけ同じで後は違います(6P67)。よって、軍司令官と軍団長は違うとしておきます。(クル軍では、ビーシュマは総司令官として軍司令官から外れ、その後は軍司令官から総司令官が選ばれています。)
*************
《 国・軍勢 》
・クル国 ・・・ 国王はドリタラーシュトラ。実権は百王子の長男ドゥルヨーダナが譲り受けている。
・ガンダーラ国 ・・・ 国王は軍司令官シャクニ→ドリタラーシュトラ王の妻ガンダーリの兄弟、親戚。
・コーサラ国 ・・・ 軍団長ブリハドバラの国
・アヴァンティ国 ・・・ 軍団長ヴィンダ王とアヌヴィンダ王の国
・トリガルタ国 ・・・ 国王はスシャルマン。クル国と同盟してマツヤ国に攻め込みパーンダヴァに追い返される。親戚。
・シンドゥ国 ・・・ 国王はジャヤドラタ。シンドゥ国とトリガルタ国は親しい関係にある。親戚。シンドゥ国は良馬の産地。
・マドラ国 ・・・ 国王はジャヤトセーナもしくはサハデーヴァ。
・カーンボージャ国 ・・・ 国王もしくは王子はスダクシナ。(K=王子、Y=国王)
・マガダ国 ・・・ 国王もしくは王子はスダクシナ。
・ケーカヤ軍 ・・・ (ケーカヤ軍は両軍に分かれている)
・カリンガ国 ・・・ 国王はシュルターユダ(K)もしくはバーヌマーナ(Y)
・ニシャーダ国 ・・・ 勇士ケートゥマットの国。ニシャーダの王子エーカラヴィヤ(アルジュナに匹敵する弓の名手)はドローナの願いにより親指を失い、以前のように弓を射ることができなくなった。
・バーフリーカ国 ・・・ 国王はパーフリーカ。親戚。
・アンシバタ国 ・・・ 国王はシュルターユス
・シャールヴァ国
・シューラセーナ国 ・・・ マトゥラーを都としていた部族
・アンガ国
・ゴーヴァーサナ国 ・・・ 国王はシャイビヤ。シビ国王と同名。
・チェーディ国 ・・・ 両軍に分かれている。クル軍ではめだった動きは描かれていない。
ボージャ族、カーンボージャ族、シャカ族、カサ族、マツヤ族、中部クル族、ムレーッチャ族、プリンダ族、ドラヴィダ族、アーンドラ族、カーンチュヤ族、キラータ族、ヤヴァナ族、シビ族、ヴァサーティ族
(注1)誰が誰を殺した等の情報は第7巻までのものと、第1巻の要約等でわかるものは入れてあります。
最後は合わせて10人が生き残っただけだと、ドリタラーシュトラ王が言っています。(1P65)その内訳は、クル軍三名、パーンダヴァ方の七名。それは五王子とクリシュナ、そしてサーティヤキ、クル軍ではアシュヴァッターマンが生き残り、他はクリパとクリタヴァルマンのようです。
(注2)軍の構成は、両軍とも婚姻関係や血縁関係のつながりがまず第一です。クル軍には、反パーンダヴァや反クリシュナの勢力が加わります。クル軍に○○族が多いのは、クル国が征服した元国が入っています。その時征侵攻したのは、パーンダヴァやカルナらしいのですが.....。
(注3)山際氏のY本に開戦前の戦地で、トリガルタ国王スシャルマンがパーンドゥ軍にいる記述があります。因縁・経緯からこれはありえない。その後の下りでスシャルマンはクル軍としてパーンドゥ軍と戦います。
(注4)マガダ国の立ち位置がわからない。K本・上村氏、Y本・山際氏ともに開戦前にパーンドゥ軍に加わったと書いてある。ジャラーサンダ王を殺して息子サハデーヴァを王位に就けたのは、ビーマ・アルジュナ、クリシュナなので、パーンドゥ軍につくというのは納得できます。ですが、マガダ国は大戦ではパーンドゥ軍と戦います。寝返ったというなら大きなことなのですが、K本Y本には経緯が書かれていません。クル軍団長の国ですから、クル陣営としてあります。
(注5)国王は一人とは限らない。父と子で実権は子に託されている場合、ある地域には統一国家ではなく族長の合議制の場合、属国ではあるが部族の長として王と呼ばれている場合などなど。
///////////////////////////////////////////////////
クル国の実権を掌握しているドゥルヨーダナがパーンダヴァに使者を送り「戦え」と挑発して、開戦が決定的になり、進軍が始まります。
その際に、パーンドゥ軍総司令官ドリシュタディムナが対戦相手を指定します。この対戦相手は両軍の超戦士であること、そしてこれまでの経緯や力量などが考慮されています。
ドリシュタディムナが対戦相手を指定する(5P476)
ドローナの息子アシュヴァッターマン VS ナクラ、クリタヴァルマン VS シビ国王(シャイビヤ)、シンドゥ国王ジャヤドラタ VS ヴリシュニのサーティヤキ、シャラ(ソーマダッタの子) VS チェーキーターナ、マドラ国王シャリヤ VS ドリシタケートゥ、クリパ VS ウッタマウジャス、5名のトリガルタ VS ドラウパディーの五人の息子、ヴリシャセーナとその他の王たち VS アビマニュ
< 戻る >
カルナは、本当は五王子の兄にあたります。母クンティーはカルナ(太陽神の子)を生んだ後に河に流し、クル国ドリタラーシュトラ王の戦車の御者アディラタ、妻ラーダーの夫婦に拾われて育てられます。本当は王族・クシャトリヤなのですが、ヴァイシャ・平民の子として扱われます。このことは彼の生き方に暗い影を落とします。
武術指南役であるドローナが武芸を学んでいる子供たちのお披露目会を催した際に、アルジュナに唯一対抗できる者としてカルナが登場します。ドゥルヨーダナは自分側のエース・仲間として歓迎します。
母クンティーがカルナに出生の秘密を明かした際に、カルナは「アルジュナ以外のパーンダヴァ(五王子)は殺さない」と言いました。カルナはビーマとサハデーヴァを殺す機会がありましたが、このことを守ります。
「負けた方が森に追放される」としたサイコロ賭博の賭けで負け、パーンダヴァが会場を去る際に、アルジュナは「私は戦闘においてカルナを矢で殺してやる」と宣言します。賭博場で勝利に酔いしれ悪戯をしたのは、ドゥルョーダナ、ドゥフシャーサナ、カルナでした。
ドゥルヨーダナ VS ビーマ
ビーマは百王子といっしょに育てられ、体が大きく力持ちで、遊びの中で百王子を振り回します。百王子の長男であるドゥルヨーダナはビーマを懲らしめたいと数々の(死んでもおかしくないような)悪事を仕掛けます。ビーマとは子供の頃からの対抗者でした。
サイコロ賭博でユディシュティラが負け、パーンダヴァ共通の妻・ドラウパディーが奴隷になったとして、衆人の前に引きずり出した際に、ドゥルヨーダナは左の腿を露わに見せ、愛人として可愛がってやることを示唆しました。
この時、ビーマは「その腿を棍棒で砕いてやる」と誓いました。
ドゥフシャーサナ VS ビーマ
ドゥフシャーサナは、兄ドゥルヨーダナとカルナと叔父シャクニといっしょに、五王子、特にビーマに対しての悪事に携わりました。
サイコロ賭博では、生理中で部屋に引きこもっていたドラウパディーを衆人の前に(髪に手をかけ)引きずり出し、身ぐるみをはごうとしました。この時、ビーマは「その胸を切り開き、血をすすってやる」と誓いました。
シャクニ VS サハデーヴァ
百王子の伯父・シャクニがいかさまサイコロ賭博でユディシュティラから全てを巻き上げました。パーンダヴァが森に追放されることが決まり会場を去る際に、ビーマは「シャクニはサハデーヴァが殺す」と言い、サハデーヴァは「シャクニと縁者を殺す」と宣言しました。
ドローナ VS ドリシタデュムナ
ドローナはドリシタデュムナの父パンチャーラ国王ドルパダと子供の頃、いっしょに学んだ友達でした。大人になりドローナがドルパダを訪ねた際に、今では身分や境遇が違うと邪険にされます。ドローナはクル国武術指南役になった後、教え子たちに「ドルパダを攻めて捕らえろ」と指図します。アルジュナたちがドロパダを捕らえた時に、ドローナは「かつてドルパダが言ったこと」を思い出させ、半国をとり、(友情のあかしとして)半国は返してやるといいました。
ドルパダはドローナを倒す男子を求め神々に祈り、その祭壇の火から生まれたのが、ドリシタデュムナです。ドリシタデュムナは自身を「シヴァ神よりドローナの殺害者と定められた。」と言っています。ドローナがドリシタデュムナに殺された時は85歳でした。
ビーシュマ VS シカンディン
シカンディンはパンチャーラ国王ドルパダの娘シカンディーニとして生まれ、神の啓示を信じた王から男子として育てられ、妻までもらいます。シカンディンの妻の父、国王から「騙したというなら国を攻め、ドルパダ王を殺す。」と言われ、自殺する決心をして森に入った際に、夜叉ストゥーナルナと性を交換して男性となりました。
シカンディンの前世は、カーシー国の王女アンバーといい、ビーシュマが義弟ヴィチトラヴィーリヤの妻として婿選び式から強奪してきた3姉妹の長女です。
好きな人がいると言い、国元に返されますが、その相手シャールヴァ王は強奪された際にビーシュマに負けたこともあり、先に他の男のものになった女として、妻にすることを拒絶します。アンバーの代わりにビーシュマを制裁しようとした大仙パラシュラーマが、ビーシュマに「アンバーを妻にせよ」といいますが、自らの誓いから拒否します。
アンバーはビーシュマを怨み、苦行した上、シヴァ神に「男となりビーシュマを殺すこと」を願いました。そして、来世にビーシュマを殺すためといって火に入りました。
ビーシュマは「女や前世が女だった者は殺さない」との誓いを持っています。
シンドウ国の王ジャドラタ VS アルジュナ
ジャドラタは結婚式に出席するためシャールヴァ国に行く途中、森の庵に一人でいたドラウパディーに惚れ、妻にすると強奪します。ビーマとアルジュナが追いかけて、ジャヤドラダの家来を一蹴し、王を捕らえ頭を弁髪にして辱めた上で解放します。
ジャヤドラタは復讐のために苦行し、現れたシヴァ神に「戦場でパーンダヴァを食い止めたい」と願いました。シヴァ神は「アルジュナ以外の4人を食い止めるだろう」と聞きいれます。
アルジュナとクリシュナの妹スバドラーの息子アビマニュが窮地に陥った際に、パーンドゥ軍の救援部隊をジャドラタが一人で食い止めたことがアビマニュの殺害につながりました。
アルジュナはジャラドラタをマビマニュの仇として討つことを誓います。
アルジュナは「明日の日没までに」とその誓いに期限を切りました。クル軍はジャヤドラタ王を守りきれば、アルジュナは誓いによって自害し、パーンドゥ軍の最大の敵を葬ることができると王を多数の軍勢で覆い隠します。日没が近づき、あわや時間切れかという時に、クリシュナが天を暗くし、ジャヤドラタが日没だと安心して顔を見えた時に、アルジュナの誓いが守られました。
マドラ国王シャリヤ VS ユディシュティラ
マドラ国王シャリヤは五王子の叔父で、ナクラとサハデーヴァの母・マードリーの兄。軍勢を集める使者により、パーンダヴァたちの元に行こうと軍を進めました。
ドゥルヨーダナはシャリヤ軍の宿舎を造り、心が行き届いた接待をしました。ユディシュティラが行ったものと感激していたシャリヤの前にドゥルョーダナが現れ、シャリヤはドゥルヨーダナの望みを叶えようと言いました。ドゥルヨーダナは「私の全軍の司令官になって下さい」と頼み、シャリヤは承諾します(4人目の総司令官)。その後、シャリヤはパーンダヴァを訪ね、パーンドゥ軍の勝利を願うとともに自分の思いと逆になってしまった事の経緯を話します。
ユディシュティラはシャリヤに「カルナとアルジュナが一騎討ちになった時、あなたは疑いもなくカルナの御者をするであろう。その際に、アルジュナを守り、カルナの威光を無くしてください」と頼みます。シャリヤは約束すると答え、戦いではまさにそうなりました。
ユディシュティラは大将であるため、前線にはあまり立たないようにしていますが、叔父シャリヤとは戦っています。シャリヤを殺したのはユディシュティラです。自分の務めだと思ったことでしょう。
< 戻る >
*********************
五王子がラック(蝋)で作られた家を燃やし逃げた夜に、森で羅刹女ヒディンバーとビーマが出会います。ビーマは羅刹女の兄・ヒディンバを殺すのでが、ヒディンバー(絶世の美女に化けている)はビーマを理想の相手として結婚を迫ります。母クンティーと兄ユディシュティラがしばしの同棲を許し、そしてガトートカチャが生まれました。
クリシュナはガトートカチャをカルナに差し向け、カルナはインドラ神から譲り受けた一度きりしか使えない必殺の槍を投げガトートカチャを殺します。これでアルジュナが殺される可能性はなくなります。インドラ神がこのためにガトートカチャを創り上げたのです。
また、ガトートカチャはクル軍についた羅刹王やその軍隊を倒します。毒(羅刹)をもって毒(羅刹)を制し、神々の思惑通りに進みました。ガトートカチャは「クルクシェートラの戦い」にとって重要なキーパーソンです。
イラーヴァット
アルジュナが結婚の規定(五王子共通の妻ドラウパディーと五王子が二人きりでいる部屋に入ってはならない)を破ったため、12年間の放浪の旅に出た際に、竜王の娘ウルーピーに見そめられ宮殿に連れていかれました。夫を失ったばかりの彼女から一夜の情交をせまられ、生まれた子がイラーヴァトです。
アルジュナがインドラと神々の世界に行った時に親子の対面をし、「戦争の際に味方せよ」と命じました。戦いではガンダーラの軍勢を破った後、イラーヴァットとその軍勢は羅刹王アランブサとその軍団との壮絶な戦いの末に殺されます。
< 戻る >
*********************
ビューシュマはシャーンタヌ王とガンガー女神の子であり、八人のヴァス神の内、ディヤウス神の転生です。
さらに、ビーシュマは父シャーンタヌ王のために「王位に就かず生涯妻を娶らない誓い」を立てました。父王は彼に「自分の死にたい時に死ぬことができることと、戦場で殺されないこと」という恩寵を授けます。
アルジュナは自分の親代わり、師であるビーシュマを倒すことにはどこか本気になれません。パーンダヴァは、このままではビーシュマ一人に軍を崩壊させられるとして、ビーシュマにパーンドゥ軍が勝つ方法、つまりビーシュマの殺し方を聞きに行く程です。
ビーシュマは前世で女だった者には攻撃しないとして、シカンディンを楯にして攻めろと指導します。戦争ではビーシュマは、シカンディンの矢とアルジュナの矢により矢を床として大地に倒れます。
カルナ
カルナは太陽神スーリヤと五王子の母クンティーの子です。あるバラモンを接待したクンティーは、神々を呼び出す呪文を教えてもらいました。呪文が本当かどうか試したところ、太陽神が現れます。太陽神はクンティーを求めました。
処女のまま産んだ子供は生まれながらに黄金の耳飾りと鎧を身につけていました。この鎧と耳飾りがあれば、戦いで誰もカルナを倒すことはできません。
アルジュナの父インドラ神がバラモンの格好でカルナの前に現れ、布施として耳飾りと鎧を所望します。バラモンの布施の要求は断らない誓いをたてていたカルナは、太陽神からの忠告でそのバラモンがインドラ神だとわかりながら、インドラ神の持つ、ねらった相手は絶対に外さないという必殺の槍と交換に布施の要求に応えます。
カルナは、武術の師匠ドローナが奥義をなかなか授けてくれないため、出生をバラモンと偽りパラシュラーマに師事します。パラシュラーマから神的な武器を授かったものの、カルナは師匠が怨みをもつクシャトリヤの出身なことが発覚し、「お前に死が訪れた時に、神的な武器に吹き込む呪文を忘れるだろう。」という呪いを掛けられました。そして、もう一つバラモンが所有する牛を鹿と誤って殺した際に、「戦場で、おまえの戦車の車輪が泥に埋まるだろう。」という呪いをかけられていました。アルジュナとの一騎打ちで、その二つの呪いの発動してしまったのです。
※カルナの名は、ヴァスシェーナ。宝-即ち甲冑とイヤリング-を帯びた子という意味。カルナ(切りとる)彼が生まれた時から身につけていた甲冑を切り離したことに由来する。
< 戻る >
**********************
大仙バラドゥヴァージャが祭祀を行っていました。水浴を終えた天女を目の前にした時、風が彼女の衣服を運びさりました。その時、聖仙の精液がほとばしり出て、彼はそれを祭式用の枡の中に入れ、その容器の中でドローナが生まれました。※名前のいわれは枡・ドローナ。カーストはバラモンです。
ドローナは父から聖者を介して偉大なアーグネーヤという武器を伝授されます。それから兵学を学ぶことに専念します。勇士パラシューマがバラモンに財産を布施した際に、ドローナは「(彼の持つ)全ての武器と呼び出す呪文、使用する秘法」を望み、それを伝授されました。この後、クル国での武術指南役を探していたビーシュマに認められたのです。
クリパ
クリパの父は大仙ガウタマの息子・シュラドヴァット。彼は苦行を積みすべての武器を習得しました。インドラ神は(彼の地位が脅かされるかと)悩み、ジャヤーラパーディという天女を派遣し、彼を誘惑させました。
森で一枚の布をまとう天女をみて、ジャヤーラパーディは身体がふるえ、知らぬうちに彼の精液が葦の茎に落ち、精液は二つに分かれ、男女の双子が生まれました。
シャーンタヌ王(ビーシュマの父、五王子・百王子の曾祖父)が猟をしていて通りかかり、クリパとクリピーと名付け双子を育てました。※名前のいわれは同情・クリパ。
父ガウタマがシャーンタヌ王のもとに来て、すべてを告げて、クリパに武術のすべてを教えました。
こうしてクリパは最高の兵法の師となり、ドリタラーシュトラの息子たち、パーンドウの息子たち、ヴリシュニ族の人々、などすべての勇士たちは彼から兵学を学んだのです。妹クリピーはドローナの妻となります。
ドリシタデュムナとドラウパディー
パーンチャーラ国王ドルパダがドローナの復讐に燃え、ドローナを殺せる男子を得たいと壮大な祭祀を行い、祭壇の火の中から弓矢を持ったドリシタデュムナが生まれました。※名前のいわれは、生まれながらにして甲冑を身につけていたこと〈ドゥユムナ〉。
また、同じく双子として、ドラウパディーが生まれました。その時、姿のない声が彼女についてこう告げました。「彼女のために王族たちの大いなる危険が生ずるであろう。」
ドローナは王子ドリシタデュムナに武術を指南しました。ドローナは将来の運命は避けられないため、自己の名声を大切にしたのです。
ドゥルヨーダナ他百王子
百王子の母ガンダーリは「夫に等しい百人の息子を望み」、聖仙ヴィヤーサ(ドリタラーシュトラの種父)はその願いを叶えることにしました。
彼女はドリタラーシュトラと結婚し懐妊したのですが、2年間も出産することなく、子を宿したままでいました。
クンティーに息子が生まれたことを聞き、非常に努力して胎児を産み落としたのですが、それは鉄のように固い肉塊でした。ヴィヤーサがその肉塊に水を注ぐと百一個に分かれました。それをギー(バター状の乳製品)に満ちた瓶の中に入れ、その中からドゥルヨーダナがまず生まれ、その後で九十九の王子と一人の娘が生まれました。
つまり、ドゥルヨーダナは妊娠の時点では、クル族の後継ぎとして生まれるはずでしたが、ユディシュティラに先を越されてしまったというわけです。ビーマの生まれた日にドゥルヨーダナも生まれました。
※〈 ドゥルヨーダナの生まれた時の不吉な凶兆 〉 ドゥルヨーダナは、生まれるやいなやロバのように大きな唸り声を上げ、恐ろしい声で吠えた。ジャッカルや禿鷹が一斉に泣き叫び、強風が起こり、方々で放火があり、火事がいたるところで起きた。ドリタラーシュトラ王の弟ヴィドゥラは、クル族を滅ぼす者として王にドゥルヨーダナの殺害を勧めました。
パーンダヴァ(五王子)
カルナとパーンダヴァは、クンティーの神を呼び出す呪文を用いて神と交わり授かった子。
パーンドゥ王は妻と交わると死ぬという呪いをかけられ、子をつくることができません。王は妻クンティーと神との子を求めることにしました。
ユディシュティラは、ダルマ神(正義と法の神)。ビーマは力にかけて最勝を望み、ヴアーユ・風の神。アルジュナは世界で最も優れた子を望み、インドラ神(神々の王・雷神)。
パーンドゥ王は四人目の子供をほしがったのですが、クンティーに拒否されました。もう一人の妻マードリーが王に私も子を授かりたいが、クンティーに頼むのは夫からだといいます。
クンティーは呪文をつかうことを承諾し、マードリーは容色に優れたアシュヴィン双神(神々の医師)を頭に思い描き、ナクラとサハデーヴァの双子が生まれました。王はもっと子供がほしかったのですが、子供の数がクンティー3人対マードリー2人となり、これ以上はダメとクンティーに拒否されました。
ナーラーヤナ=クリシュナとナラ=アルジュナ
ナラとナーラーヤナはいにしえの最高の聖仙。ナーラーヤナは大仙であり、その修行により梵天(ブラフマー神)と一体化したとあります。いわば、神になった人間なのでしょう。ナラとナーラーヤナは全世界においてうち破られることはあり得ないとされ、神々よりも強いようです。
また、生類の創造者であるともされています。ナーラーヤナはヴィシュヌ神であり、ナラはシヴァ神であるとも書かれています。クリシュナはナーラーヤナであり、ヴィシュヌ神である、アルジュナはナラであり、シヴァ神である、ここに矛盾がないようなのです。
ビーシュマ、ドローナは「ナラとナーラーヤナがついているパーンドゥ軍を倒すことなどできない。」と再三和平を勧めます。父ドリタラーシュトラ王、母ガンダーリが説得しても、ドゥルヨーダナを翻意させることはできませんでした。
クリシュナは、パーンドゥ家ともカウラヴア(ドゥルヨーダナ)家とも親戚で深い付き合いがあります。クリシュナの兄バララーマはどちらにも味方しないことを選びました。クリシュナの元に軍に加わってほしいとドゥルヨーダナとアルジュナが同時に訪れた時にクリシュナは、戦わないクリシュナかクルシュナの軍勢かのどちらかを選ばせます。アルジュナはクリシュナを、ドゥルヨーダナは軍勢を選びました。
戦わないことを誓ったクリシュナですが、ビーシュマひとりにパーンドゥ軍が壊滅させられ、本気でビーシュマと戦うことのできないアルジュナに業を煮やし、神からの円盤の武器を手にしてビーシュマに立ち向かうこと2度。その度に「誓いを破らないでくれ」と、アルジュナに足にすがられて翻意しています。
< 戻る >
両軍の約定
1 戦いが終わったら、相互に満足すべきこと。再び詐術を用いてはいけない。
2 言葉によって戦いを始めた者たちに対しては、言葉によってのみ対戦する。
3 戦闘から外れた者は、決して殺されるべきではない。
4 戦車に対しては戦車で戦うべきこと。象の背に乗る者に対しては象で、騎兵に対しては騎兵で、歩兵に対しては歩兵で戦うべきこと。
5 状況に応じ、気力に応じ、年齢に応じて、声をかけて攻撃すべきである。
6 他者と交戦中の者、油断した者、背を向けて逃げる者、武器を失った者、鎧を失った者は、決して殺されるべきでない。
7 御者、動物、武器を運ぶ者、太鼓や法螺を演奏する者たちに対しては、決して攻撃してはならぬ。
ここには、あげられていませんが、暗くなったら戦いをやめ、引き上げるのが原則のようです。
約定、武士・クシャトリヤの法に反する行い
○武器を捨て、自ら命を絶とうとヨーガの姿勢に入ったドローナを殺したドリシタデュムナ。(子供の頃、武術を教えてもらった師匠を殺したことも非難の視点に加わります。)
○アルジュナがサーティヤキを組み倒したブーリシュラヴァスの刀を持つ腕を矢で切断し、死のうとしたブーリシュラヴァスを殺したサーティヤキ。
○ドゥルヨーダナとの棍棒での一騎討ちで、ドゥルヨーダナの腿を砕いたビーマ。(腰から下は攻撃しないものなのでしょう)
これらが卑怯な好意として非難を受けています。
・また、敵軍に囲まれて戦車・鎧・武器も失ったアビマニュを寄ってたかって殺したクル軍。
・軍勢が滅び、大将ドゥルヨーダナも倒れ、戦いが決っした後で、夜襲をかけパーンドゥ軍を壊滅されたアシュヴァッターマンも許されないことだったでしょう。(一緒に夜襲をかけたクリパとクリタヴァルマンの説得には手間がかかったようです。)
< 戻る >
ただし、マハーバーラタは、「ラーマーヤナ」と同様に、中核の戦争部分がまず完成し、それ以前とそれ以後は、後世に付け加えられたものということです。
● 実に彼(羅刹ガトートカチャ)は偉大なインドラ(神)によって、カルナを滅ぼすために、その槍を奪う目的で創造されたのである。(2P30)
● ドラウパディー誕生の姿なき声
「すべての女性のうちで最上の黒色の女(ドラウパディー)は、王族を滅亡させるであろう。この美しい胴の女は、やがて神々の目的を果たすであろう。彼女のために、王族たちの大いなる危険が生ずるであろう。」(2P54)
● 聖仙ナーラダの独白-ラージャスーヤ祭の祭祀にて
神々の敵の破壊者ナーラーヤナ神(ヴィシュヌ)は、誓約を守るために、クリシュナとして王族に生まれた。彼は神々に命じた。「あなた方はお互いに殺し合った後、再びこの世界に到達するであろう。」ああ、自存者が自ら、大きくなり力をそなえた王族を再び奪い去るのか。(2P321)
● 聖仙ナーラダ-賭博の集会場に現れて
「今から十四年目に、クル族は滅びるであろう。ドゥルヨーダナの罪過により、またビーマとアルジュナの力により。」(2P451)
● ドリタラーシュトラ王いわく
「このことは前もって定められたことであると考える。疑いもなくそのようになるであろう。もし戦争において、王族たちが王族の法により殺されたとしても、大戦争において生命を捨てて、現世においては名声を、来世においては長い間、大きな幸福を得るであろう。」(6P27)
● ドリシタデュムナいわく
「私はかつて、シヴァ(神)よりドローナの殺害者と定められた。」(6P201)
● 梵天はヴィシュヌ(神)にいう。
「広大な眼を持つ者(ヴィシュヌ)よ、ヤドゥ族の家系に生まれなさい。法を確立するために、悪魔たちを殺すために、世界を維持するために、私がお願いしたことを実行してください。主よ。」
「そこで、全世界の人々の幸福のために、阿修羅を殺し、法を確立し、名声を得て、あなたは真にヨーガを達成するであろう。」(6P256)
● ドリシタデュムナがドローナの息子・アシュヴァッターマンにいう。
「バラモンの職務を捨てて、王族の法に専念するお前のようなバラモンは、すべての人々に殺されるべきである。最低の男よ。」(7P497)
● ガトートカチャの死を喜ぶクリシュナ
「ジャラーサンダ、チェーディ国王(シシュパーラ)、ニシャーダの王子エーカラヴィヤたちをすべて、私はあなた(アルジュナ)のために種々の術策により、一人一人殺した。そして、ヒディンバ、キルメーラ、バカをはじめとする羅刹王、アラーユダ、そしてガトートカチャも殺された。」
「ジャラーサンダ、チェーディ国王、ニシャーダの息子が殺されなかったら、クル族の側につき、ドゥルヨーダナ軍隊を守るだろう。」
「あの羅刹(ガトートカチャ)はバラモンと祭祀を憎んでいた彼は法・ダルマを損なう邪悪な者であったから倒されたのだ。」
(サンジャヤいわく)「クリシュナは(アルジュナにとって恐怖となる)必殺の槍を浪費させるためにガトートカチャに彼と一騎討ちをせよと指令したのである。」(7P 572-579)
● ビーマがドローナにいう
「一切の生類に対する不殺生は最高の法であり、バラモンはその基本である。そして、あなたはヴェーダを知る者である。あなたは法を知らぬかのように、多数の人々を殺し、非行を行ってどうして恥じないのか。」(7P 623)
● ドリシタデュムナがいう、賢者が知るバラモンの義務
「他人のために祭祀を行うこと、教授、贈物をすること、自分のために祭祀を行うこと、贈物を受けること、第六に学習である。ドローナはそれらのうちのいずれに専念していたか。」(7P 646)
< 戻る >
本の中で、マハーバーラタの作者とされる聖仙ヴィヤーサの弟子が、「このバラタ族の物語は、クル一族とパーンダヴァ一族が離間し、パーンダヴァ族が王国を失い、勝利する物語である」といっています。
※バラタ族はWikiPediaによると、
バラタ族は、古代インドの十王戦争に勝利し、パンジャーブ地方の諸部族の中で中心的な存在となり、クル族が誕生し、ガンジス川流域に覇権を確立し、全インドはバラタ族が征服したとも言われた。こうして、インドは「バラタ族の地」として、彼らの名でもある「バーラタ」と呼ばれた。とあります。
マハーバーラタはバラタ族の栄枯盛衰をモチーフにし、かつ象徴的に描いた作品なのでしょう。戦いをとおして、人の世の不条理を描きつつ、神々を崇拝しバラモンを尊び、法・ダルマに従って生きることが大切なのだ、ということなのだと考えました。バラタ族の戦いを縦軸に、神々や聖仙のお話しを横軸にして編み上がった作品だと思います。
< 戻る > 〈 パーンドゥ軍 〉
○パンチャーラ国
インド北部、現在のウッタラーカンド州とウッタル・プラデーシュ州付近にあたる。パンチャーラ国は、ガンジス川上流とヤムナー川流域付近のヒンドゥスターン平原に位置し、ガンジス河で南北に分かれていた。クル国の隣国であり、ヤムナー川を挟んでマツヤ国とも隣接する。クル国と同じく早い時期に勢力を振るった古い国である。北部パンチャーラを巡ってはクル族と長い戦いを続けていたが、クル国と同じくマガダ国によって紀元前4世紀に征服された。
○マツヤ国
インド北西部、パキスタンに接する現ラージャスターン州。デリーから150kmほど離れたジャイプール近郊のバイラートがマツヤ王の都ともいわれる。(旧名のヴィラータナガラはマツヤ国王ヴィラータに由来する。)クル国の南、ヤムナー川の西岸に位置し、この川を挟んでパンチャーラ国と対峙する。かつては強大な国家であったが、一時チェーディ国に支配されていたこともあり、最後はマガダ国に征服された。
○チェーディ国
インドの中央部にある現ブンデールカンド東部。マディヤ・プラデーシュ州北部とウッタル・プラデーシュ州の南西部を中心とした地域。ヤムナー川の南岸であり、支流のベートワー川に沿った地域である。プール族やヤドゥ族により統治された。クル国の衛星国であったと考えられている。
○カーシー国
ネパールに接する現ウッタル・プラデーシュ州のヴァーラーナシー地方。首都は、ヴァーラーナシー(現名も同じ)。釈迦より以前の時代には最大の勢力を持った国であった。ヴァーラーナシーはガンジス川の水運の中心であり、バラモンが修行する宗教的な拠点でもあった。カーシー国は、コーサラ国とマガダ国に併合されあい、最後はマガダ国に併合された。
インド北部、ニューデリーの西に位置する現在のハリヤーナ州からデリー、そしてガンジス川上流域にあたる。インダス川とガンジス川に挟まれた国家。その中心はハスティナープラ(ウッタル・プラデーシュ州)であり、副都としてインドラプラスタがあった。クル族は、十六大国の中でも最も古い部族の1つであると考えられている。クル国の領域及びその周辺はバラモン文化の中心地であった。パンチャーラ国の隣国である。クル国とパンチャーラ国は緊密な関係にあったと推測されている。紀元前4世紀頃にはマガダ国に征服された。
◆クルクシェートラ
現デリー北方約150km。およそハリヤーナー州の中部、西部からパンジャーブ州の南部にまたがる地域。神話、伝説、聖者たちの物語に包まれたインドでも指折りの聖地。中国の僧、玄奘三蔵がクルクシェートラの中のテインザーの街を訪れている。
※聖地クルクシェートラを戦いの場として選んだ理由は、戦いで死んだ戦士たちはクシャトリヤのダルマを果たし天国に行ったことを伝えたかったのでしょう。
◇ガンダーラ国
現在のアフガニスタン東部からパキスタン北西部。カブール河岸からインダス河口までをその領域としていた。紀元前6世紀~11世紀の間存続し、1世紀から5世紀には仏教を信奉したクシャーナ朝のもとで最盛期を迎えた。10世紀にはイスラム支配となる。
◇コーサラ国
アワド地方、ネパールに接する現ウッタル・プラデーシュ州北東部に成立した。コーサラ国は十六大国の中で文化的・政治的に大国の地位を得ていた。初期の首都、アヨーディヤーは「ラーマーヤナ」でのラーマの都である。また、釈迦に冠する仏教説話の主要な舞台である。マガダ国とガンジス川流域の覇権を争いにより弱体化し、紀元前4世紀には最終的に併合されてしまった。
◆アヨーディヤーは、ヴァーラーナシーから北へ約200km、ファイザーバードに近いゴーグラ河辺にある。
◇アヴァンティ国
インドの中央部にある現マディヤ・プラデーシュ州、ウッジャイン地方。西部インドで大勢力を形成した。一時東のマガダ王国と拮抗する大勢力となったが、最終的にはマガダ国によって征服された。
◇シューラセーナ国
ネパールに接する現ウッタル・プラデーシュ州、マトゥラー地方。ヤムナー河辺。首都はマトゥラー。ヤーダヴァ族(この部族は更に6つあまりの部族に分かれていた)を中心とした数多くの部族によって形成されていた。いくつかの部族は部族共和制を採用していたという。マガダ国によって滅ぼされた。
◇アンガ国
ネパールに接する現ビハール州(ウッタル・プラデーシュ州の東)ガンジス河辺の町、バーガールプル一帯の地方。首都はチャンパー。当時インド最大級の都市の1つで、遠く南インドやビルマとの交易の中心地として栄えた。アンガとヴァンガという2つの部族によって形成された。マガダ国の東方に位置し、ガンジス川流域を巡ってマガダ国と覇権を争った。
◇マガダ国
ネパールに接する現ビハール州の辺り。首都はラージャグリハ(現ビハール州のラージギル)のちにパータリプトラ(現パトナ)。ガンジス川中流域に興った王国。紀元前六世紀頃から栄え、仏教の発祥地。ガンジス川流域の諸王国を平定し、前四世紀にインド初の統一帝国を築いた。前一世紀に滅亡。
※十六大国 ブッダと同時代(前6世紀~前5世紀初め)に古代インドに存在した16の有力国家。
クルクシェートラの戦いに参戦した国で、現在の位置がわかる国を記載します。
●ドヴァーラカー インドの北西部のアラビア海に面した現グジャラート州ドワールカー県の都市ドワールカー。ドヴァーラカーは、クリシュナが治めたとされ、ヒンドゥー教七大聖都の一つとなっている。「多くの門を持つ町」の意味。
◆カーンボージャ国 インド最北部、中国とパキスタンに挟まれた現ジャンムー・カシミール州、ラージャウリー県あたり
◆トリガルタ国 インドの最北部、パキスタンと接している現ヒマーチャル・プラデーシュ州カーングラ地方
◆マドラ国 インドの北西部、パキスタンと接している現パンジャーブ州。首都はシャーカラ。ラホールの南西。
◆カリンガ国 インドの南東部にありベンガル湾に面した現オリッサ州。コロマンデル海岸地方。
◆プラーグジョーティシャ国 インド北東部、ブータンとバングラデシュに挟まれたアッサム州。アッサムとベンガルの北東に接するカームループ地方。
◆シャールヴァ国 インド西部、パキスタンに接するラージャスターン州
< 戻る >
〈 アルジュナ 〉
※スヴァヤンヴァラ(自選婚)はお祭りのように、スポーツ・音楽会・宴会が1週間も続き、そのクライマックスが王女が花婿を選ぶための競技会だということです。
※ドラウパディーの父ドルパダに聖仙ヴィヤーサが五人の夫を持つことのわけをこう説明した。
インドラ神がシヴァ神の怒りを受け、かつてインドラの地位にいた4名とともに、人間界に下ることになった。それが五王子である。同時にシヴァ神は女神ラクシュミーも人間界に使わした。ドラウパディーはラクシュミーの転生である。ある聖仙の娘がシヴァ神に「私によい夫をください」と願った。シヴァ神は願いを叶え「お前は(心の中で5回願ったから)五人の夫を持つだろう」といった。その娘がクリシュミーである。つまり、ドラウパディーが5人の夫を持つことは前世に決まっていたことだ。
※女神ラクシュミーはヴィシュヌ神の妻とされています。Wikipediaで調べ直したらインドラ神といっしょにいた時期もあったと書かれていました。
●ウルーピー 子はイラーヴァット
竜王カウラヴィヤ王の王女。アルジュナが梵行の際にガンジス河で沐浴している時、水の中の自分の国に連れ込む。現在は梵行中であるので結婚はできないというアルジュナに「あなたなしでき生きていけない」とかき口説いた。ウルーピーは一夜あけた後の岸辺で「アルジュナが水中でも不死身となる。」という恩寵を与えた。
アルジュナは、子がないままに夫を無くしたウルーピーの種夫でした。
※梵行は淫欲を断つ修行。アルジュナの放浪中は禁欲生活をするはずでした.....。
●チトラーンガダー 子はバブルヴァーハナ
マニプーラ国王の娘。アルジュナが梵行の際に、一目惚れした。国王は世継ぎを作ること、その子も娘もマニプーラ国外には出さないという条件でチトラーンガダーをアルジュナの妻として与えた。
代々息子が一人生まれてきたマニプーラ家にとって、娘が生まれしまった打開策にもなりました。
●スバドラー 子はアビマニュ
アルジュナは放浪の末、インド西海岸のクリシュナの都ドヴァーラカーにたどり着く。クリシュナとの再会を果たしそこで過ごしている内に、クリシュナの妹スバドラーに出会い恋の虜となる。クリシュナはクシャトリヤの結婚には略奪婚があるとして、アルジュナにスバドラーを拐かすことを勧めた。もちろん、スバドラーはアルジュナとの結婚を承諾していました。クリシュナが用意した戦車で、二人がインドラプラスタに向かう際には、スバドラー自らが御者として馬を操りました。
アルジュナがスバドラーを連れて、インドラプラスタに戻った際に、ドラウパディーが嫉妬しその機嫌を直すために、スバドラーに召し使いの服を着せ「あなた(ドラウパディー)の召使いです。」とスバドラーが言うとドラウパディーは機嫌を直しパーンドゥ家の嫁として迎えた。
アルジュナに妹をやりたいクリシュナは、妹が必ずアルジュナを選ぶとは限らないから既成事実をつくってしまえとけしかけたのですが、部族の中でアルジュナの妻ドラウパディーが五王子共通の妻なことやスバドラーが第一妃でないために異論が出ることを懸念したのかもしれません。
●ウルヴァシー
アプサラス=水の精・天女。プル王朝の母。パーンドゥ族の先祖。アルジュナが天界にいる際に、インドラ神が「アルジュナがウルヴァシーに気がありそうだ」として、因果を含めてアルジュナの寝室にウルヴァシーを使わした。アルジュナは「先祖の母として顔を見つめてしまった。」と言ってなびかず、すっかりその気になっていたウルヴァシーに「踊り子となって女の中で生きてゆくがいい。不能者となってしまえ。」と呪われた。
アルジュナが追放13年目にマツヤ国に仕えた際に、おかまの「ブリハンナラ」と名乗り後宮の歌舞音曲の師匠となった。(アルジュナは、神々のそばにいる間にみっちり踊りを仕込まれていた。)この呪いのおかげで女官の不能者かどうかの試しにパスできたようです。ちなみにインドラ神が呪いの期限を1年間にしてくれていました。
〈 ビーマ 〉
●ドラウパディー 子はスタソーマ
ドラウパディーが夫の中でもっとも頼りにしたのはビーマです。その頼みも殺害から花を集めるまで多彩です。
●ヒディンバー 子はガトートカチャ
五王子が、ドゥルヨーダナの造らせた、ラックを塗り込めた家を焼いて脱出した後、森で羅刹ヒディンバと遭遇し、ビーマが討ち果たした。ヒディンバの妹の羅刹女ヒディンバーはビーマに一目惚れし、結婚を願った。ユディシュティラと母クンティーは、森にいる間の日中だけビーマとの同棲を許した。
●ヴァバランダラー 子はサルヴァガ
経緯は不明。カーシー国の王女。カーシー国は、ビーマが義弟ヴィチトラヴィーリヤのために婿選び式から王女を略奪し、義弟の妃とした国。五王子の父パーンドゥ王の母の国。(by wikipedia)
●名前と経緯は不明
チェーディ国出身であり、シシュパーラ王の妹。ナクラの妻カレーヌマティーの叔母ということになる。(by wikipedia)
〈 ナクラ 〉
●ドラウパディー 子はシャターニーカ
●カレーヌマティー
チェーディ国の王女。ドリシタケートゥの妹、シシュパーラ王の娘。経緯は不明だが、ユディシュティラがジゥルヨーダナとシャクニにサイコロ賭博で負け、国を離れて森で13年間を過ごさねばならなくなった際に、森に友人・親族が訪ねてきて、ドラウパディーの兄ドリシュタディムナが五王子の息子たちをパンチャーラ国に連れ帰る。その時、ドリシタケートゥが妹カレーヌマティーを連れてチェーディ国に帰国している。(妊娠していた?)
※ナクラの妻の父、ビーマの妻の兄であるチェーディ国王シシュパーラは、クリシュナの従兄弟であり、クリシュナを敵対視して暴言を吐きクリシュナに殺される。ナクラとビーマにとっては、自分たちの家族ともっとも親しい友人が妻の親族を殺したことにもなります。
〈 ユディシュティラとサハデーヴァ 〉
●ドラウパディー ユディシュティラとの子はプラティヴィンディヤ、サハーディーヴアの息子はシュルタセーナ。
この二人には、ドラウパディー以外の女性の情報は入手できませんでした。
< 戻る >
ガーンディーヴァ弓(梵天・ブラフマーが作った)、無尽蔵の矢が出てくる箙、猿の標旗竿がついた最高級の戦車
これらは、カーンダヴァの森を焼き尽したいという火神アグニの要請を達成するために授かりました。
神の武器は呪文により現出させ矢で放つようです。回収する呪文もないとダメらしい。
〈アシュヴァッターマン〉
●ナーラーヤナの武器→燃える矢、鉄の球、百殺棒、円盤が出現、●ブラフマシラーストラ→女性の胎内に入って胎児を殺す
。(放たれた相手が消滅し、その地域全体に12年間の飢饉が訪れる。)
〈ドローナ〉
●プラジュニャー・アストラ→覚醒の武器、●シャイラ(山という意味)、●アーグネーヤ(火神の武器)、●ヤマ閻魔の武器、●アグニ火天の武器、●ヴィトリ太陽神の武器、●インドラ神の武器、●プラジャーパティ造物主の武器、●パーシュパタ(シヴァ神の武器)
〈アルジュナ〉
●ヴァーヤヴィヤ(風神の武器)、●トゥヴァシトリ(工巧神の武器)→クリシュナとアルジュナの幾千もの姿が現出、
●ジョーティシャ→闇を滅する、●アーディティヤ(太陽という武器)→水が干上がる、●ブラフマシラス(梵天・ブラフマーの武器)
〈カルナ〉
●インドラ神の槍→ねらった者を絶対に外さない。ただし、一度しか使えない。
●ブラフマ・アストラ(梵天・ブラフマーの武器)→投げた槍を灰にする、相手の武器の効力をなくす
〈ドリシタデュムナ〉
●プラモーハナ・アストラ→失神させる武器
〈シカンディン&サーティヤキ〉
●ヴァールナ(水天の武器)
〈アビマニュ〉
●ガンダルヴァの武器→アビマニュが百人にも仙人にも見えた。
※アストラは、神の武器に対する呼び名。
もっとも多く神の武器を持っていたのはドローナ。恐ろしさではアシュヴァッターマンのもの。アルジュナやユディシュティラは基本的に相手の神の武器に対抗して、その武器の効力をなくすために使っています。
アルジュナは、神的な武器を与えたインドラに「敵の武器を迎撃する場合以外は人間に対して使用しない」と誓っています。
また、羅刹の戦士とイラーヴァット(竜王の孫)、人間ではシャクニが幻術を使います。ドゥルヨーダナは水を硬結させる術を使えます。この術を使って戦に敗れた後で湖に隠れたのでしょう。
< 戻る >
そして、結成されたアルジュナ特攻隊・サンシャプタカの誓いから、当時インドではどのようなことをする人が恥ずべき人と考えられていたのかがわかります。
ちなみに特攻隊は1万4千人。1万人がトリガルタの軍で、4千人がクリシュナの軍勢でした。(アルジュナとドゥルヨーダナは同時にクリシュナを味方にしたいと願い、アルジュナは、自らは戦わないクリシュナを選び、ドゥルヨーダナはクリシュナの軍勢を選んでいます。)
《 サンシャプタカの誓い 》
虚偽を延べる者、バラモンを殺す者、酒を飲む者、師の妻と楽しむ者、バラモンの財産を奪う者、王の扶持をいたずらに食む者、庇護を求める人を捨てる者、請願者を殺す者、家を燃やす者、牛を殺す者、他者を害する者、バラモンを憎む者、迷妄により受胎の時期に妻と交わらない者、シュラーッダ祭(祖霊祭)の時に性交する者、自分のカーストを隠す者、委託物を奪う者、聞いたことを忘れる者、不能者と戦う者、卑しい人に従う者、無神論者、火とホロスコープと父を捨てる者
戦いにおいてアルジュナを殺さずに引き返したら、また退却したら、我々は以上の者たちやその他の悪事をなした者たちの世界に達するであろう。(戦いで死んだら天国ではなく、地獄に落ちてもかまわない。)
< 戻る >
軍勢や装備、従軍者についてこんなことが書かれています。※数はあまり気にしない方がよさそうです。
〈軍の構成〉
●パーンドゥ軍:6万の戦車兵、30万(その5倍)の騎兵、60万(10倍)の歩兵、6万の象兵
◆クル軍:一人の御者は長柄につないだ2頭の馬を御し、他の二人は両側の馬を御す。それに2名の戦車兵。戦車は5人乗りです。(千台の戦車)
象一頭に7名の人員→二人は鉤棒を持ち、二人は弓、二人は刀剣、一人は槍と旗を持つ。
一台の戦車に十頭の象。一頭の象に十頭の馬。一頭の馬に十人の歩兵。
◆象兵ごとに7つの戦車兵、戦車ごとに7人の騎兵、一騎兵の後に十人の射手、一射手につき7人の楯持ちがついた。
《従軍者、もしくは集まってきた者たち》
内科医、外科医、従者、人員、職人、技師(建築家など)、楽器演奏者、舞踏家、歌手、沐浴係、密偵
バラモン、吟誦者・スータ、讃嘆者・マーガダ、崇拝者・バンデイン
商人、遊女、娼婦、芸者、役者、舞踏家、見学人
※ユディシュティラは戦場にあっても、宮殿と同様に、歌や吟詠により目覚め、朝の沐浴を手伝うお付きの者がいます。
〈装備・従物〉
象、馬、車両、商品、車を引く動物、宝庫、器械、武器、弱体な軍、疲弊し弱った軍隊、
多くの水と木材、飲食物、蜜、乳酪・サルピス、樹脂と砂、よい草、もみがら、炭
鎧、防具、刀剣、鉄矢、投槍、槍、斧、弓、弓の弦、矢筒、旗と幡、
予備の車軸、戦車の防護用のおおい、多彩な縄、輪縄、敷布
〈軍団・アクショヒニ〉
1つのアクショヒニは、21,870頭の象、21,870台の戦車、65,610騎の騎兵、それに109,350人の歩兵 ← アショーカ・k・バンカー著「ラーマーヤナ1 蒼の皇子・上」作者がインドの方で、2006年の本です。
< 戻る >
五王子が森に追放された際に付き従った一行
五王子が国を離れ、森に向かった際には、国民が「いっしょに連れて行ってほしい」と願い付き従いました。また、バラモンたちが五王子と行動を共にします。その他、五王子とドラウパディーに何人が付き従ったかはあまり書かれていません。アルジュナがヒマーラヤに神の武器を求めに行っている間に、聖地巡礼に旅立ちますが、そこにはこう書かれています。「彼らはインドラセーナなどの臣下、合計十四の戦車、給食係りその他の従者たちをともなっていた。」司祭ダウミヤは行動を共にしています。一行は30人程だと思います。
ユディシュティラがクル国に要求した最低線の望みである五つの村とは
クシャスタラ村、ヴリクシャスタラ村、マーサンディー村、ヴァーラナーヴァタ村、この他に一か所とした。
ナクラとサハデーヴァが馬と牛の飼育係になったわけ
ナクラとサハデーヴァは、アシュヴィン双神の息子。アシュヴィン双神は、太陽神スーリヤの双子の息子。医術の神、神々の医者。結婚、人間や家畜の生殖を司るとされ、農耕の神でもある。彼らが追放13年目にマツヤ国に仕えた際に、ナクラは「グランティカ」と名乗り、馬の飼育係の長、サハデーヴァは「タンティパーラ」と名乗り、牛牧場長となっているのは親の能力を受け継いでいたということです。
ユディシュティラは賭博師としてヴィラータ王に仕えた
サイコロ賭博で全てを巻き上げられたユディシュティラですが、追放13年目にマツヤ国に仕えた際に、ユディシュティラはバラモンの「カンカ」と名乗り、賭博師・遊びの師匠としてヴィラータ王に仕えます。マツヤ国に入る前に聖仙から「ナラ王物語」を教えてもらうとともに、サイコロの扱いも習っています。
ちなみに、ビーマは「バッラヴァ」と名乗り、料理人、兼格闘士。ドラウパディーは「サイランドリー(職名と同じ)」と名乗り、王妃の下女となっています。サイランドリーは身の回りの世話係で、貞操を守る権利を与えられていたそうです。
アルジュナとユディシュティラの大喧嘩
総司令官についたカルナとの戦いで、ユディシュティラが深手をおいました。アルジュナがカルナを殺すことを期待していたユディシュティラは、カルナがまだ生きていることを聞き「カルナに敵わないというならば、ガーンディーヴァ(アルジュナの神弓)など、もっとふさわしい他の勇士にくれてやれ。」とののしりました。
アルジュナは怒り、刀に手をかけます。「“お前のガーンディーヴァ弓を人にくれてやれ“というやつがいたら、首をはねると誓っていた。」というのです。クリシュナが間に入り、「目上のユディシュティラに対して「お前」呼ばわりして尊厳を傷つけろ。」といい、アルジュナはそのとおりにし双方の顔を立てました。その後、兄弟は許しを請い合い仲違いすることをありませんでした。
戦いでの表現に使われる樹木
戦いで戦士たちが矢を受け、それでも血だるまになって戦い続けるシーンで、「キンシュカ樹・アショーカ樹のようだ」と表現されています。
●キンシュカ樹
ハナモツヤクノキ(花没薬樹):バラモン教・ヒンドゥー教の聖なる木でもある。原産地、インド、東南アジア大陸部。マメ科(ジャケツイバラ科)サラカ属(アショカノキ属)の常緑小高木。または落葉中木。枝に沿って総状花序をだし、5cm程の橙色の蝶形の花をつける。熱帯地方で公園樹・街路樹などで植栽される。ラックカイガラムシの宿主としてしられる。ラックカイガラムシの分泌する樹脂を採取して、花没薬(はなもつやく)という生薬や染色の臙脂に用いられる。
●アショーカ樹
ムユウジュ(無憂樹):釈迦がこの木の下で生まれたという伝説があり、アショーカノキ、アショーカジュの別名もある。仏教三大聖樹のひとつ。インドから東南アジアにかけて広く分布。マメ科の落葉小高木。花は3~6月に咲くことが多く、短い散房花序に集まってつき、長さ4~5cm。
マハーバーラタによく登場する鳥
●ハンサ鳥

インド神話に登場する霊鳥。その羽ばたきは修行者を高みへと導くものと考えられている。「ハンサ」という言葉は元々サンスクリット語で「ガチョウ」を意味しているとされ、鳥類学者によればインドに生息するインドガンがモデルであろうと考えられている。白ガチョウは、バリ島の神々の像にもよくいっしょに描かれます。
インドガンは、カモ目カモ科マガン属に分類される鳥類。全長71-76センチメートル。翼開張140-160センチメートル。世界で最も高く飛ぶ鳥であり、わずか8時間でヒマラヤ山脈を飛び越えるという。
マハーバーラタによく登場するお酒
●ソーマ酒
神酒ソーマはソーマを搾った液を水、牛乳などに混ぜて発酵させた一種の興奮剤。祭儀には欠かせない飲料であった。ソーマが何かはわからず、ある種のキノコだといわれている。アルコール飲料ではなく、幻覚作用をともなう麻薬の一種であった。
馬祀祭 アシュヴァメーダ
馬を犠牲獣とする祭式で、国王の絶対的な権力を示すために催される国家的祭式。犠牲用の馬は自然現象の象徴とみなされる。
まず、馬が選ばれて浄められる。その馬を北東の方角(神々にいたる道)に放ち、一年の間、自由に歩き回られる。王子たちが軍隊を引きつれてその後を追う。馬が他国の領土に入ると、軍隊はその国と交戦して征服する場合もある。敗戦して馬が捕らえられると祭式はできなくなり、もの笑いの種となる。
一年後に馬を連れ帰り、それを殺し、第一王妃がその死骸とともに寝る。その後、馬は解体され分配される。儀式は沐浴と、祭官たちへ報酬を給付することで完了する。
ユディシュティラ王がクルクシェートラの戦いを浄めるために、馬祀祭を催す際にアルジュナが指揮をとり、馬の後を追い、国を平らげた。
※参考:山際素男編約 マハーバーラタ1~3 三一書房、原典訳マハーバーラタ1~7 上村勝彦 ちくま学芸文庫、マハーバーラタ戦記 マーガレット・シンプソン PHP、インド神話 マハーバーラタの神々 上村勝彦 ちくま学芸文庫、ウキィペディア
最初は長いなぁと感じていましたが、今ではマハーバーラタでもっとも描きたかったのは、実は「クルクシェートラの戦い」なのではなかったかと思っています。
どのような国同士が戦ったのか、両軍の将軍や戦士はどこの誰だったのか。彼らにはどんな経緯やエピソードがあったのか。この戦争の意義はなんだったのかをまとめてみました。
「マハーバーラタのあらすじ」はこちら。ぜひ、合わせて読んでください。お勧めします。
※以下、5P75などは『原典訳マハーバーラタ』の5巻75Pに書かれてあるというメモです。
contents
1 戦いの経緯
2 戦いの主要戦士
3 対戦相手との経緯と確執
4 戦いのために生まれし者
5 簡単には死なない恩寵を受けし者
6 出生が神がかりな者
7 両軍の約定と法・ダルマに反する行為
8 マハーバーラタの意義と解釈にとって重要な文章
9 マハーバーラタでの「クルクシェートラの戦い」の意味するところ
《付録》
10 戦いに参戦した国の概要
11 五王子をめぐる女たち
12 戦いで使われた神の武器
13 アルジュナの神業
14 アルジュナ特攻隊・サンシャプタカ(誓った者たち)の誓い
15 戦いの装備や従軍した人々
16 メモランダム
※神の情報は別なページにリンクして説明します。
戦いの経緯
古代インドにクルという国があった。王の後継ぎ候補には二人の王子がいた。一人は前王の長子かつ一族の長子ユディシュティラ、もう一人は現王の長子ドゥルヨーダナである。臣下も民も次の王はユディシュティラがふさわしいと言い、王もそう考えていた。ドゥルヨーダナは「ユディシュティラが王位につくとその次の王は自分ではなく、ユディシュティラの子がなるであろう。そうなれば現王だってどのように扱われるかわかったものじゃない。」と換言し、王はクル国内にユディシュティラの領地を分け与えることにした。
ドゥルヨーダナはサイコロ賭博にユディシュティラを誘い込み、全てを巻き上げ領地から追放することに成功した。追放の期間が終わり、ユディシュティラは賭博での約定どおり領地の返還を求めたが、ドゥルヨーダナは応じようとはしなかった。クシャトリヤらしく戦いで決着をつけるため、両軍は聖地クルクシェートラで相まみえることになったのである。
戦いの主要戦士~両軍の将軍・戦士と勢力
両軍の戦士の
名前の数は膨大なものです。その中で誰が強い戦士なのでしょうか?確たる人が戦士として名前を挙げ、登場回数が多くかつ戦いで活躍し、誰が誰を殺したと名前が挙げられている者を、クルクシェートラの戦いの主要戦士として紹介します。
ここがもっともオリジナルな箇所ですが。戦士の名前が続きますので、エピソードから読みたい方は「次へ」進めてください。
まとめた手法はワープロで書き出し、検索機能で潰していきました。ある時は氏名、ある時は○○王、○○の息子として表し、人の名前かと思えば軍勢の名前だったりもして読み解くのは大変でした。
※パーンダヴァ パーンドゥ(五王子の父)の子ら、という意味。ユディシュティラ、ビーマ、アルジュナ、ナクラ、サハデーヴァを指す。
※カウラヴァ 「クルの子孫たち」を意味する。物語では盲目王ドリタラーシュトラとガンダーリ妃との間に生まれた100人の王子を指す。
※インド4つのカースト インドの身分体系。1.バラモン(司祭階級)2.クシャトリヤ(王族・武士階級)3.ヴァイシャ(平庶民階級)・シュードラ(隷属民階級)
※聖仙(リシ) 神話・伝説上の聖者あるいは賢者達のこと。サンスクリット語で「賢者」を意味する。インド神話では、ヨーガの修行を積んだ苦行者であり、超能力を体得した超人。
●パーンドゥ軍
- 総大将 ユディシュティラ ・・・ 五王子の長男。母クンティーがダルマ神より授かった子。戦車の扱いでは最高の技量を持つ。
- 大元帥 アルジュナ ・・・ 五王子の三男。母クンティーがインドラ神から授かった子。もう一人の妻スバドラーはクリシュナの妹。
- 軍師 クリシュナ ・・・ ヤドゥ族の長、ヴァスデーヴァの息子。アーナルタ国。アルジュナの御者。ヴィシュヌ神の化身。《百王子の母ガンダーリの呪いにより、森で猟師に足の裏を射られて死ぬ》
- 総司令官 ドリシュタディムナ ・・・ 《クル軍の夜襲で死ぬ》パンチャーラ国王ドルパダの長男、ドラウパディー(五王子共通の妻)の兄。
《 7軍の軍司令官 》
(ドリシタデュムナ)
- ドルパダ ・・・ 《ドローナに殺される》パンチャーラ国王。ドリシュタディムナ、ドラウパディー(五王子共通の妻)、シカンディンの父。
- ヴィラータ ・・・ 《ドローナに殺される》マツヤ国王、娘がアビマニュの妻ウッタラー
- サーティヤキ ・・・ 〈ブーリシュラヴァスを殺す〉ヤーダヴァ族の勇士、サートヴァタ族、マーダヴァ族、シニの孫、クリシュナの親族、サティヤカの息子。パーンドゥ軍の中で五王子とクリシュナとともに最後まで生き残った。
- シカンディン ・・・ 《クル軍の夜襲で死ぬ》ドルパダの次男。クル軍ビーシュマを恨んだ、アンバーの生まれ変わり。弓の名手。
- ドリシタケートゥ ・・・ 《ドローナに殺される》チェーディ国王。ナクラの妻、カレーヌマティーの兄。
- サハデーヴァ ・・・ 五王子の五男・双子、母マードリーがアシュヴィン双神から授かった子。剣の達人。
《 武将・戦士 》
- ビーマセーナ ・・・ 〈ドゥフシャーサナ他百王子の1/3を殺す〉五王子の次男。母クンティーが風神ヴァーユより授かった子。棍棒戦の達人。
- ナクラ ・・・ (アシュヴァッターマンと一騎討ちで互角の戦いをする)五王子の四男・双子、母マードリーがアシュヴィン双神から授かった子。剣の達人。
- チェーキーターナ ・・・ ヤーダヴァ族の勇士。サーティヤキ、クリシュナと同族。
- シャイビヤ ・・・ シビ国王
- カーシー国王 ・・・ (名不明)
- アビマニュ ・・・ 《ドゥフシャーサナの息子(名不明)に殺される》〈コーサラ国王ブリハドバラを殺す、百王子の多くを殺す〉アルジュナとスバドラー(クリシュナの妹)の息子。※アビマニュ殺害時に取り囲んだクル軍の六名の戦士→ドローナ、クリパ、カルナ、アシュヴァッターマン、プリハドバラ、クリタヴァルマン
- ドラウパディーの5人の息子 ・・・ 父は五王子それぞれ、母ドラウパディーはパンチャーラ国王ドルパダの娘。ユディシュティラの息子はプラティヴィンディヤ、ビーマの息子はスタソーマ、アルジュナの息子はシュルタキールティ、ナクラの息子はシャターニーカ、サハーディーヴアの息子はシュルタセーナ。
- ユダーマニュ ・・・ 《クル軍の夜襲で死ぬ》パンチャーラ国王子、棍棒と弓の使い手、アルジュナの戦車につく。
- ウッタマウジャス ・・・ 《クル軍の夜襲で死ぬ》パンチャーラ国王子、棍棒と弓の使い手、アルジュナの戦車につく。
- シャンカ ・・・ 《ドローナに殺される》マツヤ国王ヴィラータの長男。ウッタラと兄弟。
- シュヴェータ ・・・ 《ビーシュマに殺される》マツヤ国王ヴィラータの息子。シャンカ、ウッタラと兄弟。
- ウッタラ ・・・ 《マドラ国王シャリヤに殺される》マツヤ国王ヴィラータの末息子。シャンカと兄弟。マツヤ国にクル軍が侵攻した際、アルジュナの御者として戦う。
- ユユツ ・・・ ドリタラーシュトラ王が下女に生ませた息子。クル軍からパーンドゥ軍に鞍替えした。
- 羅刹ガトートカチャ ・・・ 《カルナに殺される》〈羅刹(らせつ)アランブサを殺す〉ビーマと羅刹ヒディンバーの子。※羅刹はインド神話の鬼・悪魔、ラークシャサを指す。
- イラーヴァット ・・・ 《羅刹アランブサに殺される》アルジュナと竜王の娘ウルーピーの子。
- クシャトラダルマン ・・・ 《ドローナに殺される》ドリシュタディムナの息子。
- クシャトラデーヴァ ・・・ ドリシュタディムナの息子。
《 この人がパーンドゥ軍にいた 》
- サティヤドリティ ・・・ クリパの祖父。孫とは反対の陣営につく。
- クンティーボージャ ・・・ ユディシュティラ、アルジュナ、ビーマの母クンティーの養父。クンティーの父のいとこ。
- ヴァスデーヴァ ・・・ ダシャールハ王。クリシュナの父。五王子の母クンティーの兄。
《 国・軍勢 》
・パンチャーラ国 ・・・ 国王はドルパダ。五王子が婿選び式でドラウパディーを勝ち取った国、姻戚。
・マツヤ国 ・・・ 国王はヴィラータ。五王子が身分を隠して宮廷に仕えた国。国王の娘がアルジュナの息子の嫁、姻戚。
・ケーカヤ国 ・・・ ケーカヤ国はパーンドゥ軍・クル軍に分かれている。ケーカヤ国はクリシュナの国。クル国と始祖が同じ。親戚。
・チェーディ国 ・・・ 国王はドリシタケートゥ。前の国王はシシュパーラ→ユディシュティラのラージャスーヤ祭の折に暴言をはきクリシュナに殺される。シシュパーラはクリシュナの従兄弟。国王の妹がナクラの妻、姻戚。
・カーシー国 ・・・ 国王の息子はアビブ。国王の名前は不明。ビーシュマが義弟のためにカーシー国の王女を嫁として略奪をした。
・シビ国 ・・・ 国王はシャイビヤ。シビ族がクル軍に同盟している。
・ダシャールナ軍
・アシュマカ軍
・スリンジャヤ軍 ・・・ パンチャーラ国の軍勢。パンチャーラ軍と同列に書かれている。
・ソーマカ軍 ・・・ パンチャーラ軍の俗称。ソーマカはドルパダ王の祖父の子孫につけられた名。
・プラバドラカ軍 ・・・ 「美しい者」という意味。パンチャーラ軍の一部。
・カルーシャ軍
//////////////////////////
◆クル軍
- 総大将 ドゥルヨーダナ ・・・ 《ビーマに倒される》ドリタラーシュトラ王の子・百王子の長男。大戦時にはクル国の実権をにぎっている。棍棒戦の達人・技ではビーマの上。
〈 総司令官 〉
- 1人目、ビーシュマ ・・・ 《シカンディンとアルジュナに倒される》五王子の父と百王子の父の伯父。クル国の宰相。
- 2人目、ドローナ ・・・ 《ドリシュタディムナに殺される》クル国の武術の師匠、五王子、百王子、カルナの師。聖仙の息子。バラモン階級。
- 3人目、カルナ ・・・ 《アルジュナに殺される》生母クンティーが太陽神から授かった子、五王子の兄にあたる。
- 4人目、シャリヤ ・・・ 《甥ユディシュティラに殺される》マドラ国王。五王子の双子の母・マードリーの兄。棍棒の名手。
- 5人目、アシュヴァッターマン ・・・ ドローナの息子。バラモン階級。最後の夜襲をかけ、残ったパーンドゥ軍をほとんど皆殺しにする。クル軍の中で最後まで生き残った。名の意味は馬の啼き声、生まれた時に馬のように嘶いた。武器の使用法については父に負けないほど精通している。
《 11軍の軍司令官 》
(ドローナ、カルナ、シャリヤ、アシュヴァッターマン)
- シャクニ ・・・ 《サハデーヴァに殺される》ガンダーラ国王。百王子の母方の叔父。ユディシュティラをサイコロ賭博で負かした。幻術使い。
- クリパ ・・・ 武術の師匠でクル国に仕える。ドローナの妻が妹。最後の夜襲をかける。クル軍の中で最後まで生き残った。
- クリタヴァルマン ・・・ ボージャ族、サートヴァタ、ヴリシュニ族の勇士、フリディカの息子。サーティヤキと同族。最後の夜襲をかける。クル軍の中で最後まで生き残った。クル国の重臣。クリシュナが使者としてクル軍に和平勧告した際に同行している複雑な立場。《百王子の母ガンダーリの呪いにより、巡礼に出かけた同族同士の争いで死ぬ》
- バーフリーカ ・・・ 《ビーマに殺される》バーフリーカ国王。ソーマダッタの父。クル国の重鎮。五王子・百王子の曾祖父シャーンタヌ王の弟。姻戚。
- ジャヤドラタ ・・・ 《アルジュナに殺される》シンドゥ国王。シンドゥサウヴィーラ族。百王子の父・ドリタラーシュトラ王の娘婿。姻戚。
- スダクシナ ・・・ 《アルジュナに殺される》カーンボージャ族の王子
- ブーリシュラヴァス ・・・ 《サーティヤキに殺される》〈サーティヤキの10人の息子を殺す〉クル族の勇士。バクトリヤ種族。ソーマダッタの息子、バーフリーカの孫。姻戚。
《 軍団長 》
- ヴィンダ ・・・ 《アルジュナに殺される》アヴァンティ国の王。五王子の母クンティーの妹の息子。
- アヌヴィンダ ・・・ 《アルジュナに殺される》アヴァンティ国の王。クンティーの妹の息子。ヴィンダと兄弟。
- シュルターユダ ・・・ 《クリシュナに投げた自分の棍棒で死ぬ》カリンガ国王、水天の息子、棍棒の名手。
- ジャヤトセーナ ・・・ マガダ国王
- ブリハドバラ ・・・ 《アビマニュに殺される》コーサラ国王子
(注意) ドゥルヨーダナが指名した軍司令官11名(5P448)とクル軍の10名の軍団長の名前が半分程だけ同じで後は違います(6P67)。よって、軍司令官と軍団長は違うとしておきます。(クル軍では、ビーシュマは総司令官として軍司令官から外れ、その後は軍司令官から総司令官が選ばれています。)
《 武将・戦士 》
- バガダッタ ・・・ 《アルジュナに殺される》プラーグジョーティシャの王。一二を争う象使い。昔アルジュナと一戦交えたことがある。
- ソーマダッタ ・・・ 《サーティヤキに殺される》バーフリーカの息子、ブーリシュラヴァスの父。クル国の重臣。姻戚。
- スシャルマン ・・・ トリガルタ国の王。ドゥルヨーダナの妃の兄。姻戚。
- シャラ ・・・ ソーマダッタの息子。ブーリシュラヴァスと兄弟。
- チトラセーナ ・・・ 《ビーマに殺される》カルナの息子。
- ドゥフシャーサナ ・・・ 《ビーマに殺される》ドリタラーシュトラ王の子・百王子の次男。
- ヴィカルナ ・・・ 《ビーマに殺される》百王子
- ドゥルムカ ・・・ 《ビーマに殺される》百王子
- ヴィヴィンシャティ ・・・ 百王子
- プルミトラ ・・・ 百王子
- ドゥルマルシャナ ・・・ 《ビーマに殺される》百王子
- チトラーユダ ・・・ 《ビーマに殺される》百王子
- ドゥフサハ ・・・ 《ビーマに殺される》百王子
- スシェーナ ・・・ 《ビーマに殺される》百王子
- シュルターユス ・・・ 《アルジュナが殺す》アンバシタ国王
- 羅刹アランブサ ・・・ 《ガトートカチャに殺される》羅刹リシャシュリンガの息子
- 羅刹アランバラ ・・・ 《ガトートカチャに殺される》羅刹ジャタースラの息子
- 羅刹アラーユダ ・・・ 《ガトートカチャに殺される》羅刹・親族のバカ、キルミーラ、ヒディンバがビーマに殺されたという怨念を持つ。
- ヴリシャセーナ ・・・ カルナの息子
- ケートゥマット ・・・ 《ビーマに殺される》ニシャーダ国
- アチャラとヴリシャカの兄弟 ・・・ 《アルジュナが殺す》ガンダーラ国。ドリタラーシュトラ王の妻の弟。姻戚。
*************
《 国・軍勢 》
・クル国 ・・・ 国王はドリタラーシュトラ。実権は百王子の長男ドゥルヨーダナが譲り受けている。
・ガンダーラ国 ・・・ 国王は軍司令官シャクニ→ドリタラーシュトラ王の妻ガンダーリの兄弟、親戚。
・コーサラ国 ・・・ 軍団長ブリハドバラの国
・アヴァンティ国 ・・・ 軍団長ヴィンダ王とアヌヴィンダ王の国
・トリガルタ国 ・・・ 国王はスシャルマン。クル国と同盟してマツヤ国に攻め込みパーンダヴァに追い返される。親戚。
・シンドゥ国 ・・・ 国王はジャヤドラタ。シンドゥ国とトリガルタ国は親しい関係にある。親戚。シンドゥ国は良馬の産地。
・マドラ国 ・・・ 国王はジャヤトセーナもしくはサハデーヴァ。
・カーンボージャ国 ・・・ 国王もしくは王子はスダクシナ。(K=王子、Y=国王)
・マガダ国 ・・・ 国王もしくは王子はスダクシナ。
・ケーカヤ軍 ・・・ (ケーカヤ軍は両軍に分かれている)
・カリンガ国 ・・・ 国王はシュルターユダ(K)もしくはバーヌマーナ(Y)
・ニシャーダ国 ・・・ 勇士ケートゥマットの国。ニシャーダの王子エーカラヴィヤ(アルジュナに匹敵する弓の名手)はドローナの願いにより親指を失い、以前のように弓を射ることができなくなった。
・バーフリーカ国 ・・・ 国王はパーフリーカ。親戚。
・アンシバタ国 ・・・ 国王はシュルターユス
・シャールヴァ国
・シューラセーナ国 ・・・ マトゥラーを都としていた部族
・アンガ国
・ゴーヴァーサナ国 ・・・ 国王はシャイビヤ。シビ国王と同名。
・チェーディ国 ・・・ 両軍に分かれている。クル軍ではめだった動きは描かれていない。
ボージャ族、カーンボージャ族、シャカ族、カサ族、マツヤ族、中部クル族、ムレーッチャ族、プリンダ族、ドラヴィダ族、アーンドラ族、カーンチュヤ族、キラータ族、ヤヴァナ族、シビ族、ヴァサーティ族
(注1)誰が誰を殺した等の情報は第7巻までのものと、第1巻の要約等でわかるものは入れてあります。
最後は合わせて10人が生き残っただけだと、ドリタラーシュトラ王が言っています。(1P65)その内訳は、クル軍三名、パーンダヴァ方の七名。それは五王子とクリシュナ、そしてサーティヤキ、クル軍ではアシュヴァッターマンが生き残り、他はクリパとクリタヴァルマンのようです。
(注2)軍の構成は、両軍とも婚姻関係や血縁関係のつながりがまず第一です。クル軍には、反パーンダヴァや反クリシュナの勢力が加わります。クル軍に○○族が多いのは、クル国が征服した元国が入っています。その時征侵攻したのは、パーンダヴァやカルナらしいのですが.....。
(注3)山際氏のY本に開戦前の戦地で、トリガルタ国王スシャルマンがパーンドゥ軍にいる記述があります。因縁・経緯からこれはありえない。その後の下りでスシャルマンはクル軍としてパーンドゥ軍と戦います。
(注4)マガダ国の立ち位置がわからない。K本・上村氏、Y本・山際氏ともに開戦前にパーンドゥ軍に加わったと書いてある。ジャラーサンダ王を殺して息子サハデーヴァを王位に就けたのは、ビーマ・アルジュナ、クリシュナなので、パーンドゥ軍につくというのは納得できます。ですが、マガダ国は大戦ではパーンドゥ軍と戦います。寝返ったというなら大きなことなのですが、K本Y本には経緯が書かれていません。クル軍団長の国ですから、クル陣営としてあります。
(注5)国王は一人とは限らない。父と子で実権は子に託されている場合、ある地域には統一国家ではなく族長の合議制の場合、属国ではあるが部族の長として王と呼ばれている場合などなど。
///////////////////////////////////////////////////
クル国の実権を掌握しているドゥルヨーダナがパーンダヴァに使者を送り「戦え」と挑発して、開戦が決定的になり、進軍が始まります。
その際に、パーンドゥ軍総司令官ドリシュタディムナが対戦相手を指定します。この対戦相手は両軍の超戦士であること、そしてこれまでの経緯や力量などが考慮されています。
ドリシュタディムナが対戦相手を指定する(5P476)
※クル軍VSパーンドゥ軍と表示
カルナ VS アルジュナ、ドゥルヨーダナ VS ビーマ、シャクニ VS サハデーヴァ、ドリシタデュムナ VS ドローナ、ビーシュマ VS シカンディンドローナの息子アシュヴァッターマン VS ナクラ、クリタヴァルマン VS シビ国王(シャイビヤ)、シンドゥ国王ジャヤドラタ VS ヴリシュニのサーティヤキ、シャラ(ソーマダッタの子) VS チェーキーターナ、マドラ国王シャリヤ VS ドリシタケートゥ、クリパ VS ウッタマウジャス、5名のトリガルタ VS ドラウパディーの五人の息子、ヴリシャセーナとその他の王たち VS アビマニュ
< 戻る >
主要戦士にまつわるエピソード
対戦相手との経緯と確執
両軍の戦士どうしの因縁などを紹介します。前項の対戦相手の指定の意味がわかります。「誰々を戦で倒す」という誓いは尊重されるべきもののようです。今倒せるのに、誰々のために取っておくということもあります。※クル軍所属VSパーンドゥ軍所属
カルナ VS アルジュナカルナは、本当は五王子の兄にあたります。母クンティーはカルナ(太陽神の子)を生んだ後に河に流し、クル国ドリタラーシュトラ王の戦車の御者アディラタ、妻ラーダーの夫婦に拾われて育てられます。本当は王族・クシャトリヤなのですが、ヴァイシャ・平民の子として扱われます。このことは彼の生き方に暗い影を落とします。
武術指南役であるドローナが武芸を学んでいる子供たちのお披露目会を催した際に、アルジュナに唯一対抗できる者としてカルナが登場します。ドゥルヨーダナは自分側のエース・仲間として歓迎します。
母クンティーがカルナに出生の秘密を明かした際に、カルナは「アルジュナ以外のパーンダヴァ(五王子)は殺さない」と言いました。カルナはビーマとサハデーヴァを殺す機会がありましたが、このことを守ります。
「負けた方が森に追放される」としたサイコロ賭博の賭けで負け、パーンダヴァが会場を去る際に、アルジュナは「私は戦闘においてカルナを矢で殺してやる」と宣言します。賭博場で勝利に酔いしれ悪戯をしたのは、ドゥルョーダナ、ドゥフシャーサナ、カルナでした。
ドゥルヨーダナ VS ビーマ
ビーマは百王子といっしょに育てられ、体が大きく力持ちで、遊びの中で百王子を振り回します。百王子の長男であるドゥルヨーダナはビーマを懲らしめたいと数々の(死んでもおかしくないような)悪事を仕掛けます。ビーマとは子供の頃からの対抗者でした。
サイコロ賭博でユディシュティラが負け、パーンダヴァ共通の妻・ドラウパディーが奴隷になったとして、衆人の前に引きずり出した際に、ドゥルヨーダナは左の腿を露わに見せ、愛人として可愛がってやることを示唆しました。
この時、ビーマは「その腿を棍棒で砕いてやる」と誓いました。
ドゥフシャーサナ VS ビーマ
ドゥフシャーサナは、兄ドゥルヨーダナとカルナと叔父シャクニといっしょに、五王子、特にビーマに対しての悪事に携わりました。
サイコロ賭博では、生理中で部屋に引きこもっていたドラウパディーを衆人の前に(髪に手をかけ)引きずり出し、身ぐるみをはごうとしました。この時、ビーマは「その胸を切り開き、血をすすってやる」と誓いました。
シャクニ VS サハデーヴァ
百王子の伯父・シャクニがいかさまサイコロ賭博でユディシュティラから全てを巻き上げました。パーンダヴァが森に追放されることが決まり会場を去る際に、ビーマは「シャクニはサハデーヴァが殺す」と言い、サハデーヴァは「シャクニと縁者を殺す」と宣言しました。
ドローナ VS ドリシタデュムナ
ドローナはドリシタデュムナの父パンチャーラ国王ドルパダと子供の頃、いっしょに学んだ友達でした。大人になりドローナがドルパダを訪ねた際に、今では身分や境遇が違うと邪険にされます。ドローナはクル国武術指南役になった後、教え子たちに「ドルパダを攻めて捕らえろ」と指図します。アルジュナたちがドロパダを捕らえた時に、ドローナは「かつてドルパダが言ったこと」を思い出させ、半国をとり、(友情のあかしとして)半国は返してやるといいました。
ドルパダはドローナを倒す男子を求め神々に祈り、その祭壇の火から生まれたのが、ドリシタデュムナです。ドリシタデュムナは自身を「シヴァ神よりドローナの殺害者と定められた。」と言っています。ドローナがドリシタデュムナに殺された時は85歳でした。
ビーシュマ VS シカンディン
シカンディンはパンチャーラ国王ドルパダの娘シカンディーニとして生まれ、神の啓示を信じた王から男子として育てられ、妻までもらいます。シカンディンの妻の父、国王から「騙したというなら国を攻め、ドルパダ王を殺す。」と言われ、自殺する決心をして森に入った際に、夜叉ストゥーナルナと性を交換して男性となりました。
シカンディンの前世は、カーシー国の王女アンバーといい、ビーシュマが義弟ヴィチトラヴィーリヤの妻として婿選び式から強奪してきた3姉妹の長女です。
好きな人がいると言い、国元に返されますが、その相手シャールヴァ王は強奪された際にビーシュマに負けたこともあり、先に他の男のものになった女として、妻にすることを拒絶します。アンバーの代わりにビーシュマを制裁しようとした大仙パラシュラーマが、ビーシュマに「アンバーを妻にせよ」といいますが、自らの誓いから拒否します。
アンバーはビーシュマを怨み、苦行した上、シヴァ神に「男となりビーシュマを殺すこと」を願いました。そして、来世にビーシュマを殺すためといって火に入りました。
ビーシュマは「女や前世が女だった者は殺さない」との誓いを持っています。
シンドウ国の王ジャドラタ VS アルジュナ
ジャドラタは結婚式に出席するためシャールヴァ国に行く途中、森の庵に一人でいたドラウパディーに惚れ、妻にすると強奪します。ビーマとアルジュナが追いかけて、ジャヤドラダの家来を一蹴し、王を捕らえ頭を弁髪にして辱めた上で解放します。
ジャヤドラタは復讐のために苦行し、現れたシヴァ神に「戦場でパーンダヴァを食い止めたい」と願いました。シヴァ神は「アルジュナ以外の4人を食い止めるだろう」と聞きいれます。
アルジュナとクリシュナの妹スバドラーの息子アビマニュが窮地に陥った際に、パーンドゥ軍の救援部隊をジャドラタが一人で食い止めたことがアビマニュの殺害につながりました。
アルジュナはジャラドラタをマビマニュの仇として討つことを誓います。
アルジュナは「明日の日没までに」とその誓いに期限を切りました。クル軍はジャヤドラタ王を守りきれば、アルジュナは誓いによって自害し、パーンドゥ軍の最大の敵を葬ることができると王を多数の軍勢で覆い隠します。日没が近づき、あわや時間切れかという時に、クリシュナが天を暗くし、ジャヤドラタが日没だと安心して顔を見えた時に、アルジュナの誓いが守られました。
マドラ国王シャリヤ VS ユディシュティラ
マドラ国王シャリヤは五王子の叔父で、ナクラとサハデーヴァの母・マードリーの兄。軍勢を集める使者により、パーンダヴァたちの元に行こうと軍を進めました。
ドゥルヨーダナはシャリヤ軍の宿舎を造り、心が行き届いた接待をしました。ユディシュティラが行ったものと感激していたシャリヤの前にドゥルョーダナが現れ、シャリヤはドゥルヨーダナの望みを叶えようと言いました。ドゥルヨーダナは「私の全軍の司令官になって下さい」と頼み、シャリヤは承諾します(4人目の総司令官)。その後、シャリヤはパーンダヴァを訪ね、パーンドゥ軍の勝利を願うとともに自分の思いと逆になってしまった事の経緯を話します。
ユディシュティラはシャリヤに「カルナとアルジュナが一騎討ちになった時、あなたは疑いもなくカルナの御者をするであろう。その際に、アルジュナを守り、カルナの威光を無くしてください」と頼みます。シャリヤは約束すると答え、戦いではまさにそうなりました。
ユディシュティラは大将であるため、前線にはあまり立たないようにしていますが、叔父シャリヤとは戦っています。シャリヤを殺したのはユディシュティラです。自分の務めだと思ったことでしょう。
< 戻る >
*********************
《 戦いのために生まれし者 》
ガトートカチャ五王子がラック(蝋)で作られた家を燃やし逃げた夜に、森で羅刹女ヒディンバーとビーマが出会います。ビーマは羅刹女の兄・ヒディンバを殺すのでが、ヒディンバー(絶世の美女に化けている)はビーマを理想の相手として結婚を迫ります。母クンティーと兄ユディシュティラがしばしの同棲を許し、そしてガトートカチャが生まれました。
クリシュナはガトートカチャをカルナに差し向け、カルナはインドラ神から譲り受けた一度きりしか使えない必殺の槍を投げガトートカチャを殺します。これでアルジュナが殺される可能性はなくなります。インドラ神がこのためにガトートカチャを創り上げたのです。
また、ガトートカチャはクル軍についた羅刹王やその軍隊を倒します。毒(羅刹)をもって毒(羅刹)を制し、神々の思惑通りに進みました。ガトートカチャは「クルクシェートラの戦い」にとって重要なキーパーソンです。
イラーヴァット
アルジュナが結婚の規定(五王子共通の妻ドラウパディーと五王子が二人きりでいる部屋に入ってはならない)を破ったため、12年間の放浪の旅に出た際に、竜王の娘ウルーピーに見そめられ宮殿に連れていかれました。夫を失ったばかりの彼女から一夜の情交をせまられ、生まれた子がイラーヴァトです。
アルジュナがインドラと神々の世界に行った時に親子の対面をし、「戦争の際に味方せよ」と命じました。戦いではガンダーラの軍勢を破った後、イラーヴァットとその軍勢は羅刹王アランブサとその軍団との壮絶な戦いの末に殺されます。
< 戻る >
*********************
《 簡単には死なない恩寵を受けし者 》
ビーシュマビューシュマはシャーンタヌ王とガンガー女神の子であり、八人のヴァス神の内、ディヤウス神の転生です。
さらに、ビーシュマは父シャーンタヌ王のために「王位に就かず生涯妻を娶らない誓い」を立てました。父王は彼に「自分の死にたい時に死ぬことができることと、戦場で殺されないこと」という恩寵を授けます。
アルジュナは自分の親代わり、師であるビーシュマを倒すことにはどこか本気になれません。パーンダヴァは、このままではビーシュマ一人に軍を崩壊させられるとして、ビーシュマにパーンドゥ軍が勝つ方法、つまりビーシュマの殺し方を聞きに行く程です。
ビーシュマは前世で女だった者には攻撃しないとして、シカンディンを楯にして攻めろと指導します。戦争ではビーシュマは、シカンディンの矢とアルジュナの矢により矢を床として大地に倒れます。
カルナ
カルナは太陽神スーリヤと五王子の母クンティーの子です。あるバラモンを接待したクンティーは、神々を呼び出す呪文を教えてもらいました。呪文が本当かどうか試したところ、太陽神が現れます。太陽神はクンティーを求めました。
処女のまま産んだ子供は生まれながらに黄金の耳飾りと鎧を身につけていました。この鎧と耳飾りがあれば、戦いで誰もカルナを倒すことはできません。
アルジュナの父インドラ神がバラモンの格好でカルナの前に現れ、布施として耳飾りと鎧を所望します。バラモンの布施の要求は断らない誓いをたてていたカルナは、太陽神からの忠告でそのバラモンがインドラ神だとわかりながら、インドラ神の持つ、ねらった相手は絶対に外さないという必殺の槍と交換に布施の要求に応えます。
カルナは、武術の師匠ドローナが奥義をなかなか授けてくれないため、出生をバラモンと偽りパラシュラーマに師事します。パラシュラーマから神的な武器を授かったものの、カルナは師匠が怨みをもつクシャトリヤの出身なことが発覚し、「お前に死が訪れた時に、神的な武器に吹き込む呪文を忘れるだろう。」という呪いを掛けられました。そして、もう一つバラモンが所有する牛を鹿と誤って殺した際に、「戦場で、おまえの戦車の車輪が泥に埋まるだろう。」という呪いをかけられていました。アルジュナとの一騎打ちで、その二つの呪いの発動してしまったのです。
※カルナの名は、ヴァスシェーナ。宝-即ち甲冑とイヤリング-を帯びた子という意味。カルナ(切りとる)彼が生まれた時から身につけていた甲冑を切り離したことに由来する。
< 戻る >
**********************
《 出生が神がかりな者 》
ドローナ大仙バラドゥヴァージャが祭祀を行っていました。水浴を終えた天女を目の前にした時、風が彼女の衣服を運びさりました。その時、聖仙の精液がほとばしり出て、彼はそれを祭式用の枡の中に入れ、その容器の中でドローナが生まれました。※名前のいわれは枡・ドローナ。カーストはバラモンです。
ドローナは父から聖者を介して偉大なアーグネーヤという武器を伝授されます。それから兵学を学ぶことに専念します。勇士パラシューマがバラモンに財産を布施した際に、ドローナは「(彼の持つ)全ての武器と呼び出す呪文、使用する秘法」を望み、それを伝授されました。この後、クル国での武術指南役を探していたビーシュマに認められたのです。
クリパ
クリパの父は大仙ガウタマの息子・シュラドヴァット。彼は苦行を積みすべての武器を習得しました。インドラ神は(彼の地位が脅かされるかと)悩み、ジャヤーラパーディという天女を派遣し、彼を誘惑させました。
森で一枚の布をまとう天女をみて、ジャヤーラパーディは身体がふるえ、知らぬうちに彼の精液が葦の茎に落ち、精液は二つに分かれ、男女の双子が生まれました。
シャーンタヌ王(ビーシュマの父、五王子・百王子の曾祖父)が猟をしていて通りかかり、クリパとクリピーと名付け双子を育てました。※名前のいわれは同情・クリパ。
父ガウタマがシャーンタヌ王のもとに来て、すべてを告げて、クリパに武術のすべてを教えました。
こうしてクリパは最高の兵法の師となり、ドリタラーシュトラの息子たち、パーンドウの息子たち、ヴリシュニ族の人々、などすべての勇士たちは彼から兵学を学んだのです。妹クリピーはドローナの妻となります。
ドリシタデュムナとドラウパディー
パーンチャーラ国王ドルパダがドローナの復讐に燃え、ドローナを殺せる男子を得たいと壮大な祭祀を行い、祭壇の火の中から弓矢を持ったドリシタデュムナが生まれました。※名前のいわれは、生まれながらにして甲冑を身につけていたこと〈ドゥユムナ〉。
また、同じく双子として、ドラウパディーが生まれました。その時、姿のない声が彼女についてこう告げました。「彼女のために王族たちの大いなる危険が生ずるであろう。」
ドローナは王子ドリシタデュムナに武術を指南しました。ドローナは将来の運命は避けられないため、自己の名声を大切にしたのです。
ドゥルヨーダナ他百王子
百王子の母ガンダーリは「夫に等しい百人の息子を望み」、聖仙ヴィヤーサ(ドリタラーシュトラの種父)はその願いを叶えることにしました。
彼女はドリタラーシュトラと結婚し懐妊したのですが、2年間も出産することなく、子を宿したままでいました。
クンティーに息子が生まれたことを聞き、非常に努力して胎児を産み落としたのですが、それは鉄のように固い肉塊でした。ヴィヤーサがその肉塊に水を注ぐと百一個に分かれました。それをギー(バター状の乳製品)に満ちた瓶の中に入れ、その中からドゥルヨーダナがまず生まれ、その後で九十九の王子と一人の娘が生まれました。
つまり、ドゥルヨーダナは妊娠の時点では、クル族の後継ぎとして生まれるはずでしたが、ユディシュティラに先を越されてしまったというわけです。ビーマの生まれた日にドゥルヨーダナも生まれました。
※〈 ドゥルヨーダナの生まれた時の不吉な凶兆 〉 ドゥルヨーダナは、生まれるやいなやロバのように大きな唸り声を上げ、恐ろしい声で吠えた。ジャッカルや禿鷹が一斉に泣き叫び、強風が起こり、方々で放火があり、火事がいたるところで起きた。ドリタラーシュトラ王の弟ヴィドゥラは、クル族を滅ぼす者として王にドゥルヨーダナの殺害を勧めました。
パーンダヴァ(五王子)
カルナとパーンダヴァは、クンティーの神を呼び出す呪文を用いて神と交わり授かった子。
パーンドゥ王は妻と交わると死ぬという呪いをかけられ、子をつくることができません。王は妻クンティーと神との子を求めることにしました。
ユディシュティラは、ダルマ神(正義と法の神)。ビーマは力にかけて最勝を望み、ヴアーユ・風の神。アルジュナは世界で最も優れた子を望み、インドラ神(神々の王・雷神)。
パーンドゥ王は四人目の子供をほしがったのですが、クンティーに拒否されました。もう一人の妻マードリーが王に私も子を授かりたいが、クンティーに頼むのは夫からだといいます。
クンティーは呪文をつかうことを承諾し、マードリーは容色に優れたアシュヴィン双神(神々の医師)を頭に思い描き、ナクラとサハデーヴァの双子が生まれました。王はもっと子供がほしかったのですが、子供の数がクンティー3人対マードリー2人となり、これ以上はダメとクンティーに拒否されました。
ナーラーヤナ=クリシュナとナラ=アルジュナ

ナラとナーラーヤナはいにしえの最高の聖仙。ナーラーヤナは大仙であり、その修行により梵天(ブラフマー神)と一体化したとあります。いわば、神になった人間なのでしょう。ナラとナーラーヤナは全世界においてうち破られることはあり得ないとされ、神々よりも強いようです。
また、生類の創造者であるともされています。ナーラーヤナはヴィシュヌ神であり、ナラはシヴァ神であるとも書かれています。クリシュナはナーラーヤナであり、ヴィシュヌ神である、アルジュナはナラであり、シヴァ神である、ここに矛盾がないようなのです。
ビーシュマ、ドローナは「ナラとナーラーヤナがついているパーンドゥ軍を倒すことなどできない。」と再三和平を勧めます。父ドリタラーシュトラ王、母ガンダーリが説得しても、ドゥルヨーダナを翻意させることはできませんでした。
クリシュナは、パーンドゥ家ともカウラヴア(ドゥルヨーダナ)家とも親戚で深い付き合いがあります。クリシュナの兄バララーマはどちらにも味方しないことを選びました。クリシュナの元に軍に加わってほしいとドゥルヨーダナとアルジュナが同時に訪れた時にクリシュナは、戦わないクリシュナかクルシュナの軍勢かのどちらかを選ばせます。アルジュナはクリシュナを、ドゥルヨーダナは軍勢を選びました。
戦わないことを誓ったクリシュナですが、ビーシュマひとりにパーンドゥ軍が壊滅させられ、本気でビーシュマと戦うことのできないアルジュナに業を煮やし、神からの円盤の武器を手にしてビーシュマに立ち向かうこと2度。その度に「誓いを破らないでくれ」と、アルジュナに足にすがられて翻意しています。
< 戻る >
両軍の約定と法・ダルマに反する行為
クルクシェートラの戦いが始まる前に、クル軍とパーンドゥ軍とで戦争の取り決めが行われています。両軍の約定
1 戦いが終わったら、相互に満足すべきこと。再び詐術を用いてはいけない。
2 言葉によって戦いを始めた者たちに対しては、言葉によってのみ対戦する。
3 戦闘から外れた者は、決して殺されるべきではない。
4 戦車に対しては戦車で戦うべきこと。象の背に乗る者に対しては象で、騎兵に対しては騎兵で、歩兵に対しては歩兵で戦うべきこと。
5 状況に応じ、気力に応じ、年齢に応じて、声をかけて攻撃すべきである。
6 他者と交戦中の者、油断した者、背を向けて逃げる者、武器を失った者、鎧を失った者は、決して殺されるべきでない。
7 御者、動物、武器を運ぶ者、太鼓や法螺を演奏する者たちに対しては、決して攻撃してはならぬ。
ここには、あげられていませんが、暗くなったら戦いをやめ、引き上げるのが原則のようです。
約定、武士・クシャトリヤの法に反する行い
○武器を捨て、自ら命を絶とうとヨーガの姿勢に入ったドローナを殺したドリシタデュムナ。(子供の頃、武術を教えてもらった師匠を殺したことも非難の視点に加わります。)
○アルジュナがサーティヤキを組み倒したブーリシュラヴァスの刀を持つ腕を矢で切断し、死のうとしたブーリシュラヴァスを殺したサーティヤキ。
○ドゥルヨーダナとの棍棒での一騎討ちで、ドゥルヨーダナの腿を砕いたビーマ。(腰から下は攻撃しないものなのでしょう)
これらが卑怯な好意として非難を受けています。
・また、敵軍に囲まれて戦車・鎧・武器も失ったアビマニュを寄ってたかって殺したクル軍。
・軍勢が滅び、大将ドゥルヨーダナも倒れ、戦いが決っした後で、夜襲をかけパーンドゥ軍を壊滅されたアシュヴァッターマンも許されないことだったでしょう。(一緒に夜襲をかけたクリパとクリタヴァルマンの説得には手間がかかったようです。)
< 戻る >
マハーバーラタの意義と解釈にとって重要な文章
マハーバーラタには、その後の展開を示唆する文章や物語の骨子となる文章があります。ただし、マハーバーラタは、「ラーマーヤナ」と同様に、中核の戦争部分がまず完成し、それ以前とそれ以後は、後世に付け加えられたものということです。
● 実に彼(羅刹ガトートカチャ)は偉大なインドラ(神)によって、カルナを滅ぼすために、その槍を奪う目的で創造されたのである。(2P30)
● ドラウパディー誕生の姿なき声
「すべての女性のうちで最上の黒色の女(ドラウパディー)は、王族を滅亡させるであろう。この美しい胴の女は、やがて神々の目的を果たすであろう。彼女のために、王族たちの大いなる危険が生ずるであろう。」(2P54)
● 聖仙ナーラダの独白-ラージャスーヤ祭の祭祀にて
神々の敵の破壊者ナーラーヤナ神(ヴィシュヌ)は、誓約を守るために、クリシュナとして王族に生まれた。彼は神々に命じた。「あなた方はお互いに殺し合った後、再びこの世界に到達するであろう。」ああ、自存者が自ら、大きくなり力をそなえた王族を再び奪い去るのか。(2P321)
● 聖仙ナーラダ-賭博の集会場に現れて
「今から十四年目に、クル族は滅びるであろう。ドゥルヨーダナの罪過により、またビーマとアルジュナの力により。」(2P451)
● ドリタラーシュトラ王いわく
「このことは前もって定められたことであると考える。疑いもなくそのようになるであろう。もし戦争において、王族たちが王族の法により殺されたとしても、大戦争において生命を捨てて、現世においては名声を、来世においては長い間、大きな幸福を得るであろう。」(6P27)
● ドリシタデュムナいわく
「私はかつて、シヴァ(神)よりドローナの殺害者と定められた。」(6P201)
● 梵天はヴィシュヌ(神)にいう。
「広大な眼を持つ者(ヴィシュヌ)よ、ヤドゥ族の家系に生まれなさい。法を確立するために、悪魔たちを殺すために、世界を維持するために、私がお願いしたことを実行してください。主よ。」
「そこで、全世界の人々の幸福のために、阿修羅を殺し、法を確立し、名声を得て、あなたは真にヨーガを達成するであろう。」(6P256)
● ドリシタデュムナがドローナの息子・アシュヴァッターマンにいう。
「バラモンの職務を捨てて、王族の法に専念するお前のようなバラモンは、すべての人々に殺されるべきである。最低の男よ。」(7P497)
● ガトートカチャの死を喜ぶクリシュナ
「ジャラーサンダ、チェーディ国王(シシュパーラ)、ニシャーダの王子エーカラヴィヤたちをすべて、私はあなた(アルジュナ)のために種々の術策により、一人一人殺した。そして、ヒディンバ、キルメーラ、バカをはじめとする羅刹王、アラーユダ、そしてガトートカチャも殺された。」
「ジャラーサンダ、チェーディ国王、ニシャーダの息子が殺されなかったら、クル族の側につき、ドゥルヨーダナ軍隊を守るだろう。」
「あの羅刹(ガトートカチャ)はバラモンと祭祀を憎んでいた彼は法・ダルマを損なう邪悪な者であったから倒されたのだ。」
(サンジャヤいわく)「クリシュナは(アルジュナにとって恐怖となる)必殺の槍を浪費させるためにガトートカチャに彼と一騎討ちをせよと指令したのである。」(7P 572-579)
● ビーマがドローナにいう
「一切の生類に対する不殺生は最高の法であり、バラモンはその基本である。そして、あなたはヴェーダを知る者である。あなたは法を知らぬかのように、多数の人々を殺し、非行を行ってどうして恥じないのか。」(7P 623)
● ドリシタデュムナがいう、賢者が知るバラモンの義務
「他人のために祭祀を行うこと、教授、贈物をすること、自分のために祭祀を行うこと、贈物を受けること、第六に学習である。ドローナはそれらのうちのいずれに専念していたか。」(7P 646)
< 戻る >
マハーバーラタでの「クルクシェートラの戦い」の意味するところ
マハーバーラタとは「バラタ族の物語」という意味です。本の中で、マハーバーラタの作者とされる聖仙ヴィヤーサの弟子が、「このバラタ族の物語は、クル一族とパーンダヴァ一族が離間し、パーンダヴァ族が王国を失い、勝利する物語である」といっています。
- この戦いはどうしても避けることのできない戦いだった。
- 神々にあらかじめ定められていた、悪を滅ぼし、世を正す戦争だった。この構図はラーマーヤナと同様。
- 神と通じた者とバラモンが生き残り、力を持ち過ぎ増長した王族が滅びる。パーンダヴァの味方であっても王族には容赦がない。十八軍団が滅亡した。次の時代に続く者は、アルジュナの孫のみ。それも、クリシュナ(ヴィシュヌ神の生まれ変わり)の妹スバドラーの子だけだった。
- バラモンであっても、戒律から離れ戦いに投じたドローナはゆるされない。カーストの分を守るというのは、大切なことで、ラーマーヤナでは、あるバラモンから「国が乱れているから私の子供が死んだ。」と言われたラーマ王は苦行しているシュードラを見つけると首をはねている程です。
- サイコロ賭博は、戦いによらずユディシュトラの勢力をそぐ唯一の方法だった。そして、それにより滅亡への戦いは運命づけられ、パーンダヴァのドゥルヨーダナたちへの怨念は決定づけられた。
- ドラウパディーは五王子共通の妻となることによって、五王子の結束を固め、五王子の敵と五王子との憎しみを増大される役割を持つ。
- マハーバーラタの中での様々な出来事の多くはクルクシェートラの戦いの伏線となっている。
例えば、
1.ラックの家炎上→パーンダヴァとドラウパディーとの結婚のため。
2.ビーマに羅刹女が結婚を願うこと→ガトートーカチャ誕生。
3.ガンジス河畔でのガンダルヴァの王チトララタとの戦い→五王子の戦車を引く駿馬の供給源が確保された。パーンドゥ家の司祭ダウミヤを得た。
4.アルジュナが結婚の約定を破ぶり梵行の旅に出ること→クリシュナとの絆、そしてスバドラーとの結婚によるアビマニュ誕生。
5.カーンダヴァ森炎上→火神から神弓と無尽蔵の矢と箙を得るため。そして、マヤに人間界に二つのない集会所を造らせるため。
6.サイロコ賭博→戦わずしてパーンダヴァの勢力を削ぎ、ドゥルヨーダナに戦っても勝てると思わせ、両軍が壊滅するまで戦う泥沼の戦いとさせた。
7.森への追放→悪を倒すために、アルジュナに神々の武器を獲得されるため。
8.ドゥルヨーダナの牧場視察→悪魔が味方するからパーンダヴァと戦えと励まされ、講和など眼中にないようにさせる。
※マハーバーラタのあらすじでご確認ください。
1.ラックの家炎上→パーンダヴァとドラウパディーとの結婚のため。
2.ビーマに羅刹女が結婚を願うこと→ガトートーカチャ誕生。
3.ガンジス河畔でのガンダルヴァの王チトララタとの戦い→五王子の戦車を引く駿馬の供給源が確保された。パーンドゥ家の司祭ダウミヤを得た。
4.アルジュナが結婚の約定を破ぶり梵行の旅に出ること→クリシュナとの絆、そしてスバドラーとの結婚によるアビマニュ誕生。
5.カーンダヴァ森炎上→火神から神弓と無尽蔵の矢と箙を得るため。そして、マヤに人間界に二つのない集会所を造らせるため。
6.サイロコ賭博→戦わずしてパーンダヴァの勢力を削ぎ、ドゥルヨーダナに戦っても勝てると思わせ、両軍が壊滅するまで戦う泥沼の戦いとさせた。
7.森への追放→悪を倒すために、アルジュナに神々の武器を獲得されるため。
8.ドゥルヨーダナの牧場視察→悪魔が味方するからパーンダヴァと戦えと励まされ、講和など眼中にないようにさせる。
※マハーバーラタのあらすじでご確認ください。
※バラタ族はWikiPediaによると、
バラタ族は、古代インドの十王戦争に勝利し、パンジャーブ地方の諸部族の中で中心的な存在となり、クル族が誕生し、ガンジス川流域に覇権を確立し、全インドはバラタ族が征服したとも言われた。こうして、インドは「バラタ族の地」として、彼らの名でもある「バーラタ」と呼ばれた。とあります。
マハーバーラタはバラタ族の栄枯盛衰をモチーフにし、かつ象徴的に描いた作品なのでしょう。戦いをとおして、人の世の不条理を描きつつ、神々を崇拝しバラモンを尊び、法・ダルマに従って生きることが大切なのだ、ということなのだと考えました。バラタ族の戦いを縦軸に、神々や聖仙のお話しを横軸にして編み上がった作品だと思います。
< 戻る >
付録
戦いに参戦した国の概要
クルクシェートラの戦いに参戦した主な国は、古代インドの十六大国と呼ばれた国々です。現在地ではどこなのかとどんな国だったのをまとめました。 〈 パーンドゥ軍 〉
○パンチャーラ国インド北部、現在のウッタラーカンド州とウッタル・プラデーシュ州付近にあたる。パンチャーラ国は、ガンジス川上流とヤムナー川流域付近のヒンドゥスターン平原に位置し、ガンジス河で南北に分かれていた。クル国の隣国であり、ヤムナー川を挟んでマツヤ国とも隣接する。クル国と同じく早い時期に勢力を振るった古い国である。北部パンチャーラを巡ってはクル族と長い戦いを続けていたが、クル国と同じくマガダ国によって紀元前4世紀に征服された。
○マツヤ国
インド北西部、パキスタンに接する現ラージャスターン州。デリーから150kmほど離れたジャイプール近郊のバイラートがマツヤ王の都ともいわれる。(旧名のヴィラータナガラはマツヤ国王ヴィラータに由来する。)クル国の南、ヤムナー川の西岸に位置し、この川を挟んでパンチャーラ国と対峙する。かつては強大な国家であったが、一時チェーディ国に支配されていたこともあり、最後はマガダ国に征服された。
○チェーディ国
インドの中央部にある現ブンデールカンド東部。マディヤ・プラデーシュ州北部とウッタル・プラデーシュ州の南西部を中心とした地域。ヤムナー川の南岸であり、支流のベートワー川に沿った地域である。プール族やヤドゥ族により統治された。クル国の衛星国であったと考えられている。
○カーシー国
ネパールに接する現ウッタル・プラデーシュ州のヴァーラーナシー地方。首都は、ヴァーラーナシー(現名も同じ)。釈迦より以前の時代には最大の勢力を持った国であった。ヴァーラーナシーはガンジス川の水運の中心であり、バラモンが修行する宗教的な拠点でもあった。カーシー国は、コーサラ国とマガダ国に併合されあい、最後はマガダ国に併合された。
〈 クル軍 〉
◇クル国インド北部、ニューデリーの西に位置する現在のハリヤーナ州からデリー、そしてガンジス川上流域にあたる。インダス川とガンジス川に挟まれた国家。その中心はハスティナープラ(ウッタル・プラデーシュ州)であり、副都としてインドラプラスタがあった。クル族は、十六大国の中でも最も古い部族の1つであると考えられている。クル国の領域及びその周辺はバラモン文化の中心地であった。パンチャーラ国の隣国である。クル国とパンチャーラ国は緊密な関係にあったと推測されている。紀元前4世紀頃にはマガダ国に征服された。
◆クルクシェートラ
現デリー北方約150km。およそハリヤーナー州の中部、西部からパンジャーブ州の南部にまたがる地域。神話、伝説、聖者たちの物語に包まれたインドでも指折りの聖地。中国の僧、玄奘三蔵がクルクシェートラの中のテインザーの街を訪れている。
※聖地クルクシェートラを戦いの場として選んだ理由は、戦いで死んだ戦士たちはクシャトリヤのダルマを果たし天国に行ったことを伝えたかったのでしょう。
◇ガンダーラ国
現在のアフガニスタン東部からパキスタン北西部。カブール河岸からインダス河口までをその領域としていた。紀元前6世紀~11世紀の間存続し、1世紀から5世紀には仏教を信奉したクシャーナ朝のもとで最盛期を迎えた。10世紀にはイスラム支配となる。
◇コーサラ国
アワド地方、ネパールに接する現ウッタル・プラデーシュ州北東部に成立した。コーサラ国は十六大国の中で文化的・政治的に大国の地位を得ていた。初期の首都、アヨーディヤーは「ラーマーヤナ」でのラーマの都である。また、釈迦に冠する仏教説話の主要な舞台である。マガダ国とガンジス川流域の覇権を争いにより弱体化し、紀元前4世紀には最終的に併合されてしまった。
◆アヨーディヤーは、ヴァーラーナシーから北へ約200km、ファイザーバードに近いゴーグラ河辺にある。
◇アヴァンティ国
インドの中央部にある現マディヤ・プラデーシュ州、ウッジャイン地方。西部インドで大勢力を形成した。一時東のマガダ王国と拮抗する大勢力となったが、最終的にはマガダ国によって征服された。
◇シューラセーナ国
ネパールに接する現ウッタル・プラデーシュ州、マトゥラー地方。ヤムナー河辺。首都はマトゥラー。ヤーダヴァ族(この部族は更に6つあまりの部族に分かれていた)を中心とした数多くの部族によって形成されていた。いくつかの部族は部族共和制を採用していたという。マガダ国によって滅ぼされた。
◇アンガ国
ネパールに接する現ビハール州(ウッタル・プラデーシュ州の東)ガンジス河辺の町、バーガールプル一帯の地方。首都はチャンパー。当時インド最大級の都市の1つで、遠く南インドやビルマとの交易の中心地として栄えた。アンガとヴァンガという2つの部族によって形成された。マガダ国の東方に位置し、ガンジス川流域を巡ってマガダ国と覇権を争った。
◇マガダ国
ネパールに接する現ビハール州の辺り。首都はラージャグリハ(現ビハール州のラージギル)のちにパータリプトラ(現パトナ)。ガンジス川中流域に興った王国。紀元前六世紀頃から栄え、仏教の発祥地。ガンジス川流域の諸王国を平定し、前四世紀にインド初の統一帝国を築いた。前一世紀に滅亡。
※十六大国 ブッダと同時代(前6世紀~前5世紀初め)に古代インドに存在した16の有力国家。
クルクシェートラの戦いに参戦した国で、現在の位置がわかる国を記載します。
●ドヴァーラカー インドの北西部のアラビア海に面した現グジャラート州ドワールカー県の都市ドワールカー。ドヴァーラカーは、クリシュナが治めたとされ、ヒンドゥー教七大聖都の一つとなっている。「多くの門を持つ町」の意味。
◆カーンボージャ国 インド最北部、中国とパキスタンに挟まれた現ジャンムー・カシミール州、ラージャウリー県あたり
◆トリガルタ国 インドの最北部、パキスタンと接している現ヒマーチャル・プラデーシュ州カーングラ地方
◆マドラ国 インドの北西部、パキスタンと接している現パンジャーブ州。首都はシャーカラ。ラホールの南西。
◆カリンガ国 インドの南東部にありベンガル湾に面した現オリッサ州。コロマンデル海岸地方。
◆プラーグジョーティシャ国 インド北東部、ブータンとバングラデシュに挟まれたアッサム州。アッサムとベンガルの北東に接するカームループ地方。
◆シャールヴァ国 インド西部、パキスタンに接するラージャスターン州
< 戻る >
五王子をめぐる女たち
パーンダヴァ(五王子)の共通妻、ドラウパディーはご存知でしょう。その他にもある五王子の女性関係をまとめてみました。やはり、アルジュナが一番もてています。〈 アルジュナ 〉
●ドラウパディー 子はシュルタキールティ
パンチャーラ国王ドルパダの娘。婿選びの弓の競技会(スヴァヤンヴァラ)でアルジュナが射止めた。ドルパダは、ドローナに命じられ自分を捕獲したことのある勇者アルジュナに娘を与えたいものと考え、アルジュナでなくては引けないような強弓を用意した。「よいものをもらってきました」と聞いた五王子の母クンティーが供物かと思い「みんなで分けなさい。」と言い、この言葉をきっかけにドラウパディーは五王子共通の妻となった。ドラウパディーが夫の中でもっとも愛したのはアルジュナだと思います。※スヴァヤンヴァラ(自選婚)はお祭りのように、スポーツ・音楽会・宴会が1週間も続き、そのクライマックスが王女が花婿を選ぶための競技会だということです。
※ドラウパディーの父ドルパダに聖仙ヴィヤーサが五人の夫を持つことのわけをこう説明した。
インドラ神がシヴァ神の怒りを受け、かつてインドラの地位にいた4名とともに、人間界に下ることになった。それが五王子である。同時にシヴァ神は女神ラクシュミーも人間界に使わした。ドラウパディーはラクシュミーの転生である。ある聖仙の娘がシヴァ神に「私によい夫をください」と願った。シヴァ神は願いを叶え「お前は(心の中で5回願ったから)五人の夫を持つだろう」といった。その娘がクリシュミーである。つまり、ドラウパディーが5人の夫を持つことは前世に決まっていたことだ。
※女神ラクシュミーはヴィシュヌ神の妻とされています。Wikipediaで調べ直したらインドラ神といっしょにいた時期もあったと書かれていました。
●ウルーピー 子はイラーヴァット
竜王カウラヴィヤ王の王女。アルジュナが梵行の際にガンジス河で沐浴している時、水の中の自分の国に連れ込む。現在は梵行中であるので結婚はできないというアルジュナに「あなたなしでき生きていけない」とかき口説いた。ウルーピーは一夜あけた後の岸辺で「アルジュナが水中でも不死身となる。」という恩寵を与えた。
アルジュナは、子がないままに夫を無くしたウルーピーの種夫でした。
※梵行は淫欲を断つ修行。アルジュナの放浪中は禁欲生活をするはずでした.....。
●チトラーンガダー 子はバブルヴァーハナ
マニプーラ国王の娘。アルジュナが梵行の際に、一目惚れした。国王は世継ぎを作ること、その子も娘もマニプーラ国外には出さないという条件でチトラーンガダーをアルジュナの妻として与えた。
代々息子が一人生まれてきたマニプーラ家にとって、娘が生まれしまった打開策にもなりました。
●スバドラー 子はアビマニュ
アルジュナは放浪の末、インド西海岸のクリシュナの都ドヴァーラカーにたどり着く。クリシュナとの再会を果たしそこで過ごしている内に、クリシュナの妹スバドラーに出会い恋の虜となる。クリシュナはクシャトリヤの結婚には略奪婚があるとして、アルジュナにスバドラーを拐かすことを勧めた。もちろん、スバドラーはアルジュナとの結婚を承諾していました。クリシュナが用意した戦車で、二人がインドラプラスタに向かう際には、スバドラー自らが御者として馬を操りました。
アルジュナがスバドラーを連れて、インドラプラスタに戻った際に、ドラウパディーが嫉妬しその機嫌を直すために、スバドラーに召し使いの服を着せ「あなた(ドラウパディー)の召使いです。」とスバドラーが言うとドラウパディーは機嫌を直しパーンドゥ家の嫁として迎えた。
アルジュナに妹をやりたいクリシュナは、妹が必ずアルジュナを選ぶとは限らないから既成事実をつくってしまえとけしかけたのですが、部族の中でアルジュナの妻ドラウパディーが五王子共通の妻なことやスバドラーが第一妃でないために異論が出ることを懸念したのかもしれません。
●ウルヴァシー
アプサラス=水の精・天女。プル王朝の母。パーンドゥ族の先祖。アルジュナが天界にいる際に、インドラ神が「アルジュナがウルヴァシーに気がありそうだ」として、因果を含めてアルジュナの寝室にウルヴァシーを使わした。アルジュナは「先祖の母として顔を見つめてしまった。」と言ってなびかず、すっかりその気になっていたウルヴァシーに「踊り子となって女の中で生きてゆくがいい。不能者となってしまえ。」と呪われた。
アルジュナが追放13年目にマツヤ国に仕えた際に、おかまの「ブリハンナラ」と名乗り後宮の歌舞音曲の師匠となった。(アルジュナは、神々のそばにいる間にみっちり踊りを仕込まれていた。)この呪いのおかげで女官の不能者かどうかの試しにパスできたようです。ちなみにインドラ神が呪いの期限を1年間にしてくれていました。
〈 ビーマ 〉
●ドラウパディー 子はスタソーマ
ドラウパディーが夫の中でもっとも頼りにしたのはビーマです。その頼みも殺害から花を集めるまで多彩です。
●ヒディンバー 子はガトートカチャ
五王子が、ドゥルヨーダナの造らせた、ラックを塗り込めた家を焼いて脱出した後、森で羅刹ヒディンバと遭遇し、ビーマが討ち果たした。ヒディンバの妹の羅刹女ヒディンバーはビーマに一目惚れし、結婚を願った。ユディシュティラと母クンティーは、森にいる間の日中だけビーマとの同棲を許した。
●ヴァバランダラー 子はサルヴァガ
経緯は不明。カーシー国の王女。カーシー国は、ビーマが義弟ヴィチトラヴィーリヤのために婿選び式から王女を略奪し、義弟の妃とした国。五王子の父パーンドゥ王の母の国。(by wikipedia)
●名前と経緯は不明
チェーディ国出身であり、シシュパーラ王の妹。ナクラの妻カレーヌマティーの叔母ということになる。(by wikipedia)
〈 ナクラ 〉
●ドラウパディー 子はシャターニーカ
●カレーヌマティー
チェーディ国の王女。ドリシタケートゥの妹、シシュパーラ王の娘。経緯は不明だが、ユディシュティラがジゥルヨーダナとシャクニにサイコロ賭博で負け、国を離れて森で13年間を過ごさねばならなくなった際に、森に友人・親族が訪ねてきて、ドラウパディーの兄ドリシュタディムナが五王子の息子たちをパンチャーラ国に連れ帰る。その時、ドリシタケートゥが妹カレーヌマティーを連れてチェーディ国に帰国している。(妊娠していた?)
※ナクラの妻の父、ビーマの妻の兄であるチェーディ国王シシュパーラは、クリシュナの従兄弟であり、クリシュナを敵対視して暴言を吐きクリシュナに殺される。ナクラとビーマにとっては、自分たちの家族ともっとも親しい友人が妻の親族を殺したことにもなります。
〈 ユディシュティラとサハデーヴァ 〉
●ドラウパディー ユディシュティラとの子はプラティヴィンディヤ、サハーディーヴアの息子はシュルタセーナ。
この二人には、ドラウパディー以外の女性の情報は入手できませんでした。
< 戻る >
戦いで使われた神の武器
アルジュナ神の武器ガーンディーヴァ弓(梵天・ブラフマーが作った)、無尽蔵の矢が出てくる箙、猿の標旗竿がついた最高級の戦車
これらは、カーンダヴァの森を焼き尽したいという火神アグニの要請を達成するために授かりました。
神の武器は呪文により現出させ矢で放つようです。回収する呪文もないとダメらしい。
〈アシュヴァッターマン〉
●ナーラーヤナの武器→燃える矢、鉄の球、百殺棒、円盤が出現、●ブラフマシラーストラ→女性の胎内に入って胎児を殺す
。(放たれた相手が消滅し、その地域全体に12年間の飢饉が訪れる。)
〈ドローナ〉
●プラジュニャー・アストラ→覚醒の武器、●シャイラ(山という意味)、●アーグネーヤ(火神の武器)、●ヤマ閻魔の武器、●アグニ火天の武器、●ヴィトリ太陽神の武器、●インドラ神の武器、●プラジャーパティ造物主の武器、●パーシュパタ(シヴァ神の武器)
〈アルジュナ〉
●ヴァーヤヴィヤ(風神の武器)、●トゥヴァシトリ(工巧神の武器)→クリシュナとアルジュナの幾千もの姿が現出、
●ジョーティシャ→闇を滅する、●アーディティヤ(太陽という武器)→水が干上がる、●ブラフマシラス(梵天・ブラフマーの武器)
〈カルナ〉
●インドラ神の槍→ねらった者を絶対に外さない。ただし、一度しか使えない。
●ブラフマ・アストラ(梵天・ブラフマーの武器)→投げた槍を灰にする、相手の武器の効力をなくす
〈ドリシタデュムナ〉
●プラモーハナ・アストラ→失神させる武器
〈シカンディン&サーティヤキ〉
●ヴァールナ(水天の武器)
〈アビマニュ〉
●ガンダルヴァの武器→アビマニュが百人にも仙人にも見えた。
※アストラは、神の武器に対する呼び名。
もっとも多く神の武器を持っていたのはドローナ。恐ろしさではアシュヴァッターマンのもの。アルジュナやユディシュティラは基本的に相手の神の武器に対抗して、その武器の効力をなくすために使っています。
アルジュナは、神的な武器を与えたインドラに「敵の武器を迎撃する場合以外は人間に対して使用しない」と誓っています。
また、羅刹の戦士とイラーヴァット(竜王の孫)、人間ではシャクニが幻術を使います。ドゥルヨーダナは水を硬結させる術を使えます。この術を使って戦に敗れた後で湖に隠れたのでしょう。
< 戻る >
アルジュナの神業
アルジュナは飛んでくる矢の群れを自分の矢で食い止める、投げられた槍や棍棒を矢で粉砕する、などは普通にこなしていますが、特にすごいものはこれです。- アルジュナは、が矢の床にあるビーシュマが「(私の)頭が下がっている。私の床にふさわしい枕をすぐにくれ。」というと、三本の矢でビーシュマの頭を支えた。(6P427)
- ビーシュマが「水をくれ」というと、アルジュナが雨神の呪句と矢を結合しビーシュマの南側の地面を射ると、清浄な水が吹き上がった。(6P431)
- アルジュナは馬が飲む水を得るために矢で地面を射て、清浄な池を作った。それから、矢の梁、矢の柱、矢の屋根を持つ驚異的な家を作った。(7P259)
- アルジュナはシンドゥ王の頭を矢で切り取り、諸々の矢でその頭をクルクシェートラの外に運んで、シンドウ王の父の元に飛ばした。「戦場で重荷を担って戦っている私の息子の頭を地面に落とす者は、疑いもなく彼の頭も百に砕けるだろう」というシンドゥ王の父がかけた呪いは本人に返ってきた。(7P426)
アルジュナ特攻隊・サンシャプタカ(誓った者たち)の誓い
クル軍がパーンドゥ軍に勝つためには大将ユディシュティラを捕らえること※が早道で、それにはアルジュナを本隊から引き離すことが必要でした。(※ユディシュティラを殺すとアルジュナがクル軍を壊滅させるため)そして、結成されたアルジュナ特攻隊・サンシャプタカの誓いから、当時インドではどのようなことをする人が恥ずべき人と考えられていたのかがわかります。
ちなみに特攻隊は1万4千人。1万人がトリガルタの軍で、4千人がクリシュナの軍勢でした。(アルジュナとドゥルヨーダナは同時にクリシュナを味方にしたいと願い、アルジュナは、自らは戦わないクリシュナを選び、ドゥルヨーダナはクリシュナの軍勢を選んでいます。)
《 サンシャプタカの誓い 》
虚偽を延べる者、バラモンを殺す者、酒を飲む者、師の妻と楽しむ者、バラモンの財産を奪う者、王の扶持をいたずらに食む者、庇護を求める人を捨てる者、請願者を殺す者、家を燃やす者、牛を殺す者、他者を害する者、バラモンを憎む者、迷妄により受胎の時期に妻と交わらない者、シュラーッダ祭(祖霊祭)の時に性交する者、自分のカーストを隠す者、委託物を奪う者、聞いたことを忘れる者、不能者と戦う者、卑しい人に従う者、無神論者、火とホロスコープと父を捨てる者
戦いにおいてアルジュナを殺さずに引き返したら、また退却したら、我々は以上の者たちやその他の悪事をなした者たちの世界に達するであろう。(戦いで死んだら天国ではなく、地獄に落ちてもかまわない。)
< 戻る >
戦いの装備や従軍した人々
クル軍は11師団(約120万人)、パーンドゥ軍は7師団(約76万人)の軍勢だったとされています。軍勢や装備、従軍者についてこんなことが書かれています。※数はあまり気にしない方がよさそうです。
〈軍の構成〉
●パーンドゥ軍:6万の戦車兵、30万(その5倍)の騎兵、60万(10倍)の歩兵、6万の象兵
◆クル軍:一人の御者は長柄につないだ2頭の馬を御し、他の二人は両側の馬を御す。それに2名の戦車兵。戦車は5人乗りです。(千台の戦車)
象一頭に7名の人員→二人は鉤棒を持ち、二人は弓、二人は刀剣、一人は槍と旗を持つ。
一台の戦車に十頭の象。一頭の象に十頭の馬。一頭の馬に十人の歩兵。
◆象兵ごとに7つの戦車兵、戦車ごとに7人の騎兵、一騎兵の後に十人の射手、一射手につき7人の楯持ちがついた。
《従軍者、もしくは集まってきた者たち》
内科医、外科医、従者、人員、職人、技師(建築家など)、楽器演奏者、舞踏家、歌手、沐浴係、密偵
バラモン、吟誦者・スータ、讃嘆者・マーガダ、崇拝者・バンデイン
商人、遊女、娼婦、芸者、役者、舞踏家、見学人
※ユディシュティラは戦場にあっても、宮殿と同様に、歌や吟詠により目覚め、朝の沐浴を手伝うお付きの者がいます。
〈装備・従物〉
象、馬、車両、商品、車を引く動物、宝庫、器械、武器、弱体な軍、疲弊し弱った軍隊、
多くの水と木材、飲食物、蜜、乳酪・サルピス、樹脂と砂、よい草、もみがら、炭
鎧、防具、刀剣、鉄矢、投槍、槍、斧、弓、弓の弦、矢筒、旗と幡、
予備の車軸、戦車の防護用のおおい、多彩な縄、輪縄、敷布
〈軍団・アクショヒニ〉
1つのアクショヒニは、21,870頭の象、21,870台の戦車、65,610騎の騎兵、それに109,350人の歩兵 ← アショーカ・k・バンカー著「ラーマーヤナ1 蒼の皇子・上」作者がインドの方で、2006年の本です。
< 戻る >
メモランダム
五王子が森に追放された際に付き従った一行
五王子が国を離れ、森に向かった際には、国民が「いっしょに連れて行ってほしい」と願い付き従いました。また、バラモンたちが五王子と行動を共にします。その他、五王子とドラウパディーに何人が付き従ったかはあまり書かれていません。アルジュナがヒマーラヤに神の武器を求めに行っている間に、聖地巡礼に旅立ちますが、そこにはこう書かれています。「彼らはインドラセーナなどの臣下、合計十四の戦車、給食係りその他の従者たちをともなっていた。」司祭ダウミヤは行動を共にしています。一行は30人程だと思います。
ユディシュティラがクル国に要求した最低線の望みである五つの村とは
クシャスタラ村、ヴリクシャスタラ村、マーサンディー村、ヴァーラナーヴァタ村、この他に一か所とした。
ナクラとサハデーヴァが馬と牛の飼育係になったわけ
ナクラとサハデーヴァは、アシュヴィン双神の息子。アシュヴィン双神は、太陽神スーリヤの双子の息子。医術の神、神々の医者。結婚、人間や家畜の生殖を司るとされ、農耕の神でもある。彼らが追放13年目にマツヤ国に仕えた際に、ナクラは「グランティカ」と名乗り、馬の飼育係の長、サハデーヴァは「タンティパーラ」と名乗り、牛牧場長となっているのは親の能力を受け継いでいたということです。
ユディシュティラは賭博師としてヴィラータ王に仕えた
サイコロ賭博で全てを巻き上げられたユディシュティラですが、追放13年目にマツヤ国に仕えた際に、ユディシュティラはバラモンの「カンカ」と名乗り、賭博師・遊びの師匠としてヴィラータ王に仕えます。マツヤ国に入る前に聖仙から「ナラ王物語」を教えてもらうとともに、サイコロの扱いも習っています。
ちなみに、ビーマは「バッラヴァ」と名乗り、料理人、兼格闘士。ドラウパディーは「サイランドリー(職名と同じ)」と名乗り、王妃の下女となっています。サイランドリーは身の回りの世話係で、貞操を守る権利を与えられていたそうです。
アルジュナとユディシュティラの大喧嘩
総司令官についたカルナとの戦いで、ユディシュティラが深手をおいました。アルジュナがカルナを殺すことを期待していたユディシュティラは、カルナがまだ生きていることを聞き「カルナに敵わないというならば、ガーンディーヴァ(アルジュナの神弓)など、もっとふさわしい他の勇士にくれてやれ。」とののしりました。
アルジュナは怒り、刀に手をかけます。「“お前のガーンディーヴァ弓を人にくれてやれ“というやつがいたら、首をはねると誓っていた。」というのです。クリシュナが間に入り、「目上のユディシュティラに対して「お前」呼ばわりして尊厳を傷つけろ。」といい、アルジュナはそのとおりにし双方の顔を立てました。その後、兄弟は許しを請い合い仲違いすることをありませんでした。
戦いでの表現に使われる樹木
戦いで戦士たちが矢を受け、それでも血だるまになって戦い続けるシーンで、「キンシュカ樹・アショーカ樹のようだ」と表現されています。
●キンシュカ樹
ハナモツヤクノキ(花没薬樹):バラモン教・ヒンドゥー教の聖なる木でもある。原産地、インド、東南アジア大陸部。マメ科(ジャケツイバラ科)サラカ属(アショカノキ属)の常緑小高木。または落葉中木。枝に沿って総状花序をだし、5cm程の橙色の蝶形の花をつける。熱帯地方で公園樹・街路樹などで植栽される。ラックカイガラムシの宿主としてしられる。ラックカイガラムシの分泌する樹脂を採取して、花没薬(はなもつやく)という生薬や染色の臙脂に用いられる。●アショーカ樹
ムユウジュ(無憂樹):釈迦がこの木の下で生まれたという伝説があり、アショーカノキ、アショーカジュの別名もある。仏教三大聖樹のひとつ。インドから東南アジアにかけて広く分布。マメ科の落葉小高木。花は3~6月に咲くことが多く、短い散房花序に集まってつき、長さ4~5cm。マハーバーラタによく登場する鳥
●ハンサ鳥

インド神話に登場する霊鳥。その羽ばたきは修行者を高みへと導くものと考えられている。「ハンサ」という言葉は元々サンスクリット語で「ガチョウ」を意味しているとされ、鳥類学者によればインドに生息するインドガンがモデルであろうと考えられている。白ガチョウは、バリ島の神々の像にもよくいっしょに描かれます。
インドガンは、カモ目カモ科マガン属に分類される鳥類。全長71-76センチメートル。翼開張140-160センチメートル。世界で最も高く飛ぶ鳥であり、わずか8時間でヒマラヤ山脈を飛び越えるという。
マハーバーラタによく登場するお酒
●ソーマ酒
神酒ソーマはソーマを搾った液を水、牛乳などに混ぜて発酵させた一種の興奮剤。祭儀には欠かせない飲料であった。ソーマが何かはわからず、ある種のキノコだといわれている。アルコール飲料ではなく、幻覚作用をともなう麻薬の一種であった。
馬祀祭 アシュヴァメーダ
馬を犠牲獣とする祭式で、国王の絶対的な権力を示すために催される国家的祭式。犠牲用の馬は自然現象の象徴とみなされる。
まず、馬が選ばれて浄められる。その馬を北東の方角(神々にいたる道)に放ち、一年の間、自由に歩き回られる。王子たちが軍隊を引きつれてその後を追う。馬が他国の領土に入ると、軍隊はその国と交戦して征服する場合もある。敗戦して馬が捕らえられると祭式はできなくなり、もの笑いの種となる。
一年後に馬を連れ帰り、それを殺し、第一王妃がその死骸とともに寝る。その後、馬は解体され分配される。儀式は沐浴と、祭官たちへ報酬を給付することで完了する。
ユディシュティラ王がクルクシェートラの戦いを浄めるために、馬祀祭を催す際にアルジュナが指揮をとり、馬の後を追い、国を平らげた。
※参考:山際素男編約 マハーバーラタ1~3 三一書房、原典訳マハーバーラタ1~7 上村勝彦 ちくま学芸文庫、マハーバーラタ戦記 マーガレット・シンプソン PHP、インド神話 マハーバーラタの神々 上村勝彦 ちくま学芸文庫、ウキィペディア
- ドイツ・フランス・ベルギー旅行 9日間行程
- 旅行記 HP紹介
- ミュンヘン旅行記
- ホーエンシュバンガウ旅行記
- ヴィース&夜のローデンブルク旅行記
- ローデンブルク旅行記
- ハイデルベルク旅行記
- ストラスブール旅行記
- ランス旅行記
- パリ・ヴェルサイユ宮殿旅行記
- パリ・ルーブル美術館旅行記
- ブルージュ旅行記
- ブリュッセル旅行記
- パリの地下鉄事情
- パリの地下鉄移動行程
- お食事メモ
- 旅先で知ったこと 〈空港・機内編〉
- 旅先で知ったこと 〈ホテル編〉
- 旅先で知ったこと 〈街角編〉
- 旅の準備とその結果
- 海外旅行持ち物チェックリスト
- 旅のメモをパソコン&スマホで
- 宿泊ホテル紹介 ホテル ユーロパーク・インターナショナル
- 宿泊ホテル紹介 ホテル ローデンブルガーホフ
- 宿泊ホテル紹介 ホテル ノボテル・コルマール
- 宿泊ホテル紹介 ホテル アライアンス
- 宿泊ホテル紹介 ホテル グラシャムベルリン
- リンク 参考サイト
- シンガポール旅行記 vol.1
- シンガポール旅行記 vol.2
- バリ島旅行記 HPcontents
- バリ島旅行行程2015
- バリ島旅行行程2016
- バリ島旅行記1(ウブド)
- バリ島旅行記2(ウブド)
- バリ島旅行記3
- バリ島旅行記4 ウブド宮殿
- バリ島旅行記5 グヌンルバ寺院
- バリ島旅行記6 プリアタン村
- バリ島旅行記7 デンパサール・ギャニャール
- バリ島旅行記8 クルンクン
- バリ島旅行記9 ウルン ダヌ ブラタン寺院
- バリ島旅行記10 プラタナンサシ寺院
- バリ島旅行記11 プセリンジャガッ寺院、クボエダン寺院
- バリ島旅行記12 ウルン ダヌ バトゥール寺院
- バリ島旅行記13 アルマ美術館
- バリ島旅行あれこれ
- バリ島レストラン&ホテル1
- バリ島レストラン&ホテル2
- バリ島の神々
- バリ島6大寺院
- バリ島の伝説と神話
- バリ島の叙事詩1 ラーマーヤナ
- バリ島の叙事詩2 マハーバーラタ
- マハーバーラタ クルクシェートラの戦い
- バリ島の宗教と儀礼
- バリ島の村・寺・住居
- バリ島の寺院施設
- バリ島の歴史と人物
- バリ島の王国伝
- バリ島の音楽・ガムラン
- バリ島の舞踊・主な踊り
- バリ島の舞踊・悪魔祓いの踊り
- バリ島の舞踊・宮廷での踊り
- バリ島の暦と儀礼・祭日
ホームページのご紹介
- このサイトは
- 海外旅行でドイツ・フランス・ベルギー、バリ島、シンガポールを訪れました。
ガイドブックだけでは分かりません。このサイトを見れば訪問地のつかみはOKです!
見学地の資料もご覧ください。
携帯用QRコード
- アクセス数

- ページビュー数

- ドイツ・フランス・ベルギー旅行 9日間行程
- 旅行記 HP紹介
- ミュンヘン旅行記
- ホーエンシュバンガウ旅行記
- ヴィース&夜のローデンブルク旅行記
- ローデンブルク旅行記
- ハイデルベルク旅行記
- ストラスブール旅行記
- ランス旅行記
- パリ・ヴェルサイユ宮殿旅行記
- パリ・ルーブル美術館旅行記
- ブルージュ旅行記
- ブリュッセル旅行記
- パリの地下鉄事情
- パリの地下鉄移動行程
- お食事メモ
- 旅先で知ったこと 〈空港・機内編〉
- 旅先で知ったこと 〈ホテル編〉
- 旅先で知ったこと 〈街角編〉
- 旅の準備とその結果
- 海外旅行持ち物チェックリスト
- 旅のメモをパソコン&スマホで
- 宿泊ホテル紹介 ホテル ユーロパーク・インターナショナル
- 宿泊ホテル紹介 ホテル ローデンブルガーホフ
- 宿泊ホテル紹介 ホテル ノボテル・コルマール
- 宿泊ホテル紹介 ホテル アライアンス
- 宿泊ホテル紹介 ホテル グラシャムベルリン
- リンク 参考サイト
- シンガポール旅行記 vol.1
- シンガポール旅行記 vol.2
- バリ島旅行記 HPcontents
- バリ島旅行行程2015
- バリ島旅行行程2016
- バリ島旅行記1(ウブド)
- バリ島旅行記2(ウブド)
- バリ島旅行記3
- バリ島旅行記4 ウブド宮殿
- バリ島旅行記5 グヌンルバ寺院
- バリ島旅行記6 プリアタン村
- バリ島旅行記7 デンパサール・ギャニャール
- バリ島旅行記8 クルンクン
- バリ島旅行記9 ウルン ダヌ ブラタン寺院
- バリ島旅行記10 プラタナンサシ寺院
- バリ島旅行記11 プセリンジャガッ寺院、クボエダン寺院
- バリ島旅行記12 ウルン ダヌ バトゥール寺院
- バリ島旅行記13 アルマ美術館
- バリ島旅行あれこれ
- バリ島レストラン&ホテル1
- バリ島レストラン&ホテル2
- バリ島の神々
- バリ島6大寺院
- バリ島の伝説と神話
- バリ島の叙事詩1 ラーマーヤナ
- バリ島の叙事詩2 マハーバーラタ
- マハーバーラタ クルクシェートラの戦い
- バリ島の宗教と儀礼
- バリ島の村・寺・住居
- バリ島の寺院施設
- バリ島の歴史と人物
- バリ島の王国伝
- バリ島の音楽・ガムラン
- バリ島の舞踊・主な踊り
- バリ島の舞踊・悪魔祓いの踊り
- バリ島の舞踊・宮廷での踊り
- バリ島の暦と儀礼・祭日
