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絵画・文学・哲学等

2021年6月7日 19時21分33秒 (Mon) モンドリアン展

コロナ禍になってからやや出足は減ってしまったのですが、コンサートや美術展等のイベントにちょくちょく出かけています。

去年、コロナ禍の影響でまず残念だったのが、ボブ・ディランの来日中止。
ノーベル文学賞受賞後初めての来日で、良い席のチケットをとって楽しみにしていたのですが・・・。
彼の年齢を考えると、もう来日の機会はないかもしれません。

また、去年、金沢で行われる予定だったジョジョ展も中止になってしまいました。
3月頃まで九州での開催はしていたのですが。
こちらは仕事の際、遠い出先のコンビニで購入したチケットだったため、払い戻しもしませんでした。

コロナ対策が整い始めてから赴いたイベントで楽しかったものを上げると、
五等分の花嫁 千夜一夜物語、吉田博展、森倉円展 Prism
などですね。
もちろんマジカルミライも楽しかったです。

今回は先日赴いた、新宿のSOMPO美術館で開催されていたモンドリアン展について書いていきます。

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美術展のタイトルは「生誕150年記念 モンドリアン展 純粋な絵画をもとめて」
モンドリアンの実物の絵画を鑑賞するのは、「赤、青、黄のあるコンポジション」が展示されていた、2014年のチューリヒ美術館展以来です。
実をいうと5月に行く予定だったんですが、コロナ禍の緊急事態宣言で、美術館が長い間休館になってしまったんです。半ばあきらめていたんですが、最後の一週間だけ開館されたおかげで足を運ぶことができました!
訪れたのは平日だったのですが、予約券のみで完売しており、当日券は販売されていませんでした。

スマホで予約券のQRコードを見せて入場。
エレベーターで5Fまで上がり、5F→4F→3Fと観覧する順路でした。
(※この記事で紹介されている作品が気になる方は、図録や画集を購入するか、作品名をネットで検索してみてください。)

まず5Fでは、20~30代の頃に描かれた「アムステルダム時代」の作品群。
モンドリアンの出生地オランダの風景画が展示されていました。
既に絵画技法上の実験意欲が垣間見られるのですが、素直にオランダの風光明媚さを楽しめる作品が多いです。
「へイン河畔の洗濯物干し」ではオランダの大気や光が画面に上手く収められています。
「牧草地の茶と白の雌牛」の背景の夕焼けも美しい。
・・・というような呑気な素人の「感想」では満足できない方へ、図録に収録されている鈴木俊晴氏の解説を抜粋しておきます。

・・・モンドリアンが風景に向かい合ったとしても、その風景は無垢なる自然、たとえば18‐19世紀のロマン派たちが求めた崇高な自然とは異なる、人工的に埋め立てられ、干拓されたオランダの平原だったことである。・・・モンドリアンの風景を通覧するとき、・・・やはり目につくのは、強固なまでの地平ないし水平への意識であろう。・・・たとえば牛だ。大地と空とのあいだの、両者が拮抗する場として、牛はそこに挟まれるようにいる。・・・

画家と作品への理解が深まる、素晴らしい解説だと思います。

5Fも後半の展示になると、象徴主義の影響を受けた作品が多くなり、色彩上の大胆な実験を行った作品が多くなります。
「オランダカイウ(カラー;青い花)」ではゲーテの色彩論を根拠に、補色を求める視覚の働きを利用した実験的な試みが行われています。一度見たら忘れない作品です。
そして「ドンブルグの教会塔」。114×75cmの大きな作品です。象徴主義や色彩上の試みに加えて、モンドリアンが思想上の感化を受けた神智学の影響が窺える作品です。宇宙的というか神秘的というか。「教会塔」だし。

4Fへ降りてゆくと、キュビズムの影響を受けた作品、抽象的な作品が増えてきます。
もっとも気に入ったのは、
「色面のコンポジション No.3」
非常に控えめな配色の作品ですが、どこまでも癒されます。
(ミュージアムショップではこの絵の柄のマルチクロスを購入。)
以下、図録の解説から抜粋。

・・・モンドリアンは原色について言及していながら、その当時の人々は混じりけのない色に慣れていないと感じ、実際には色を薄めていた。1917年の《色面のコンポジション No.3》では、「自分自身を現在の環境と世界に適合するためにしばらく抑制色」を使用する、とファン・ドゥースブルフに説明し、原色を弱めた派生的な色(茶、灰青、薄桃色)を使用した。

このあたりの表現に対する意識は注目に値します。
世界的な音楽プロデューサーのブライアン・イーノはモンドリアンの絵画に大きな衝撃を受けたということを、最近何かの記事で読みました。彼が普及させた環境音楽(アンビエント・ミュージック)も、上記のモンドリアンの表現意識に大きな関わりがあると思います。

 

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また、「モンドリアンが初期に取り組んだテーマの再解釈とみなすこともできる」具象画の「夕暮れの風車」もよかったです。初期の作品にはない風車の存在感!

展示の最後の方はモンドリアン作品の中でも最も有名な、色彩と直線によるコンポジションの作品が並びます。
また、モンドリアンが参加していた『デ・ステイル』誌に影響を受けた家具職人のヘリット・トーマス・リートフェルトの制作した椅子や、彼が手掛けたシュレーダー邸を紹介する映像作品の展示もあり、面白かったです。

最後に、モンドリアンの作品について、あまり語られていないであろう「感想」を素人観点で語ります。
今回展示されていた彼の作品について、初期の風景画から晩年のコンポジション作品までを貫いていたのは、「風光明媚」と賞されるオランダの「明るい光」であると思います。
色彩において黒い直線と赤、青、黄のみで描かれている作品にも、初期の風景画における「明るさ」が息づいています。
同じオランダ出身のゴッホの多くの作品からも感じる「明るさ」です。
これはモンドリアンの作品ならではの特性ではありませんが、作品の魅力の大きな一因です。
抽象画において表現された神智学の光、すなわち思想の光の表現の中には、風景画において描かれていたオランダの「明るさ」があるのです。
ゲーテがカントの『純粋理性批判』について「明るい」という表現を用いて感想を述べていたのを思い出したりもしました。

蛇足でもうちょっとだけ。
私の大好きなテクノ/エレクトロのミュージシャンに、オランダ出身のケッテルがいます。
 

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上記『My Dogan』は彼の代表作ですが、彼の初期の作品『Cenny Crush』『Smiling Little Cow』『Look At This! Ha! Ha! Ha!』は、IDM(Intelligent dance music)を代表するイギリスのミュージシャン、ブラック・ドッグの元メンバーによって結成されたプラッドの初期の作品に大きな影響を受けていると思います(下記『Polymer』は最近の作品)。
 

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でも、ケッテルの作品にはプラッドにはない「明るさ」があるんですよね。
意識的に煌びやかさを演出しているというよりは、然るべくしてそうなっているという感じ。

モンドリアンもケッテルも、オランダの風光明媚な環境の恩恵を受けたアーティストなのだと思います。

最後ちょっと脱線しましたが、モンドリアン展、本当に楽しくて有意義な時間を過ごすことができました。
緊急事態宣言の中、十分な対策を講じて開催していただいたことに深く感謝します。

以下はミュージアムショップで購入したもの。
図録、A4クリアファイル、マルチクロス、ポストカード×3枚。

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図録は以下からも購入可能みたいです。
 

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あと、(美術展とは関係ありませんが)大変魅力的なモンドリアングッズを何点か。
 

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2016年8月20日 17時00分51秒 (Sat) リグ・ヴェーダ

リグ・ヴェーダ
高校生の頃から愛読している『リグ・ヴェーダ讃歌』。
仏教の土台となったウパニシャッド哲学を育む土壌となった、神々や自然への讃歌(祈祷文)を集めたインド最古の宗教文献である。
ゲーテと一緒にいつも手元に置いてあるのだが、何故これ程までに気に入っているのかというと、おそらくアニミズムにおける「カミ」とその後の宗教において擬人化していった「神」との境界がはっきりしていないためだろう。
リグ・ヴェーダの世界観においては、「カミ」の宿る自然とともにある私たちの地上の世界と、神々の住む天上の世界がはっきり区別されていないのだ。
この世界観を雑多なもの・複雑なものと感じる人も多いだろうが、私にとっては非常にシンプルで受け入れやすいものだった。私は神霊や悪魔の世界(あの世)は常に現世(この世)にリンクしつつ存在しており、そのため互いに影響を及ぼし得るものだとも考えている。
そういう思考を促す直観は、なにより幼少期の自然体験に根ざしている。私は自然が豊かな田舎育ちで、空模様や風や雨も含めて自然(人工でないもの)が与えてくれる喜びや気持ち悪さを肌で味わってきた。
また、私は小学生の頃までは広い庭のある祖父母の家で時間を過ごすことが多かった。その庭には祖父が植木として売るために育てていた(が、結局売る機会を逸してしまった)松や牧の木が何十本もあった。私はそれらの木々に名前こそつけなかったが、一本一本に人と同じような「個性」を感じていた。もっともその能力は大人になった今では失われてしまったが、集中しだいで再び取り戻せるものだと期待したい。
そのようなわけで、自然に畏敬を持ったり、自然を擬人化したりする人間の特性はよく理解できるし、今は目に見えていないものも意識の在り方によっては目に見えてくるという理屈も経験から理解できるのだ。おそらくあの世を認識するに至るのも可能なのだろう(ただし、最も重要なのは顕在化しきった現在すなわちありのままの現在を認識することである)。
そこまで至らなくても、自然の原体験がもたらしてくれた感動を追体験させてくれるだけでリグ・ヴェーダは宝だと思う。
自然や神々だけでなく、「賭博者の歌」「害虫を駆除してその毒を消すための歌」「良き懐妊のための歌」など、人間社会の細々とした普遍的な事象を取り上げたものもけっこうあって楽しめる。
画像の岩波文庫版に不満があるとすればタイトルに「抜粋」や「抄」のことわりがないことだ。たとえばガーヤトリーマントラとして知られる[3.62.10]の章句はサヴィトリの歌の箇所で紹介される形をとっている。
これについては良識の高い出版社からいつの日か『全訳 リグ・ヴェーダ』が出ることを願って止まない。
もはや古代の名残はないかもしれないが、一度思う存分時間をかけてインドを旅してみたい。


2014年12月29日 21時16分29秒 (Mon) ティム・バートン展

ティム・バートン展
先日、六本木ヒルズで仕事をした際、ヒルズ内の森美術館にて「ティム・バートンの世界」展なるものが開催されているのを知り、バートン映画を愛する私は「これは行かねば!」と思い立ち、後日行ってみることに。
映画しか知りませんでしたが、イラストや絵画といった形で彼の作品に触れてみると、また違った印象があって面白かったです。この人は絵の勉強はしていたらしいですが、画家というわけではないので、決して上手い絵とはいえませんが、アイディアの豊富さは素晴らしかったです。特にキャラクターそのもののアイディアですね。カワイくてグロいキャラたちがいっぱいいました☆
また、彼の醍醐味である色彩においては、カラフルな作品とモノトーン(白黒)の作品があり、その対比を楽しめます。黒地に極彩色という、両者が合体したような作品もいくつか展示されていました。
楽しめたんですが、人の多さにはまいってしまいました。女性が多かったですね。残念なことにバカップルもちらほら・・・。作品を見ようともせず、作品とは関係のない話をしながら、私の前をノロノロと歩いてましたよ・・・。うるさかったんで遠ざかりたかったんですが、人の流れもあって、なかなか上手くいかないのね(涙)。
で、作品鑑賞を堪能したあとはミュージアムショップへ!魅力的な商品がたくさんありました☆ 購入したものについては画像を参照してください。画集(9,400円!)も購入。年の瀬にいい買い物しました。来年もよい年でありますように☆

2014年11月9日 17時55分31秒 (Sun) チューリヒ美術館展

チューリヒ美術館展
先日、仕事の合間を縫って、チューリヒ美術館展へ足を運んできました。
きっかけは、広告にルソーの「X氏の肖像」があったからなんですね。これは是非行かねば!と。
結論からいうと、ものすごくボリュームありました。予想通り。行って正解。

今回の美術展で詳しく知った画家もいました。
まずスイスの画家ホドラー。風景画は明るく柔らかい光に包みこまれていて、澄んだ気持ちになります。また「真実、第二ヴァージョン」や「遠方からの歌」に描かれている女性は、なんとなく楳図かずおの漫画に登場する女性を想起させました。もしかしたら楳図さんは影響受けているのかもしれませんね。
漫画を想起したといえば、ムンクやシャガールを見たときには、諸星大二郎を想起しました。こちらは間違いなく影響受けてます(笑)。まぁ表面的な雰囲気が似ているというだけであって、それぞれの絵が志向しているものは異なるでしょうが。シャガールの「婚礼の光」は良かったです!!生の予感に満ちていて、慰められました。いつまでも見ていたかったです。
ほかにもモネ、ピカソ、ゴッホ、クレー、マティス、ダリ、マグリット、ジャコメッティ・・・と、名だたる超一流の芸術家の作品があって、退屈なし。中でも一番のお気に入りだったのは、キルヒナーの「小川の流れる森の風景」。もう最高!見た瞬間ときめき(≡゚∀゚≡)ました。極彩色で明るい絵なのですが、非常に荘厳な雰囲気を感じる一枚。フォークロック/サイケ系のプログレジャケットにそのまま使えそうです。贅沢ですが。キルヒナーの作品はこれ一点のみでしたが、私は虜になってしまい、展覧会を見終わった直後、同館3階のアートライブラリーでキルヒナーの画集を漁りました。でまたその後絶版の画集をネットで買ったという(´^ω^`)。

とにかく充実した美術展でした。ミュージアムショップで買ったお土産はモンドリアン「赤、青、黄のあるコンポジション」が表紙のカタログ(※カタログ表紙は数種類用意されていました)、ルソー「X氏の肖像」の栞、キルヒナー「小川の流れる森の風景」の絵葉書。で、カタログ購入者は特典としてくじ箱の中からクリップを引くことができるんですが、引いたのが画像のベックマン「マックス・レーガーの肖像」。引いたときは「お前かよぉ━(´・ω・`)━」と思ったんですが、今ではなかなか気に入ってます。鼻の穴のデカイとことか、寝ぐせのついてるとことか。

2014年10月26日 18時55分38秒 (Sun) 室生犀星とつき合う

室生犀星とつき合う
今回は、私が紹介するまでもなく、根強いファンを多く持ち続けている詩人、室生犀星について書きたいと思います。私にとっては高校時代からつき合っている詩人のうちの一人です。
この詩人の魅力は、よく紹介されるように「人間くささ」の一言に尽きると思います。人間の弱さや強がり、喜び悲しみを率直でわかりやすい言葉で表現した詩人です。また、この詩人のことばに触れていると、日本の自然の持つ美しさや日本人としての自然観を存分に味わうことができます。繊細で瑞々しい水彩画から感じられる印象にも似ていて、これは宮沢賢治や高村光太郎の詩からは味わえない歓びです。都会においては人をうたい、田舎においては自然をうたう詩人で、周囲の環境に思いきり左右されるタイプの、非常に日本人的な詩人であったといえます。まあどこにいても犀星は根本的に孤独を愛していたのでしょうが。
音楽をうたった詩もいくつかあり、印象的なものを挙げると、まず「家族」において

・・・(略)・・・

だがあれは音楽ではなかったか
音楽に聞きとれた空想ではなかったか

という表現で、家族の幸せで楽しそうな情景を、一瞬垣間見られるような空想として捉えています。つまり、現実の家族生活はほとんどが酷なものであるといおうとしているのでしょう。結婚生活に悩みながらも家庭を守り通そうとした犀星は偉い!そのあたりの苦悩を記した作品もあります。なので、現在結婚生活を営んでいる諸君!犀星を見習ってちゃんと最後まで頑張るのだぞ。頑張ってネコ☆にゃんฅ(^ω^ฅ)にゃんฅ(^ω^ฅ)

・・・また、「或る詩人の生涯」では、

音楽をきく
黙然として一日きく

・・・(略)・・・

いまはすでに
ここに弾かれざるものなく
ここに
あらわれざるものを知らず。

とうたい、自分のこれまでの長い人生を音楽の中に感じ尽している詩人の姿があります。
ここで犀星はどんな音楽を聴いていたのかなぁと考えるのは蛇足ですが、ベートーヴェンの『第九』とか、あるいは『弦楽四重奏曲』とかだったかもしれませんね。

日本の抒情詩は西洋の作品なしに発展しえなかったわけですが、犀星の詩からはいつも強いジャパニーズ・ソウルを感じる私です。海外に長期滞在することがあったら、梅干しやお茶漬とともに、私は犀星の詩集を持っていくでしょう。

※画像は先日ぶらり旅行してきた旧軽井沢にある、室生犀星記念館の一室を撮ったものです。

プロフィール

プロフィール画像
ニックネーム
tana
性別
男性
自己紹介
はじめまして。tana(ターナ)と申します。ボーカロイドを用いた楽曲、インストゥルメンタルを中心に創作活動に励んでいます。
セッションメンバーを随時募集中。ギター、ベース、ドラム、民族楽器大歓迎。
好きなアーティスト
クラフトワーク、ブライアン・イーノ、ブラック・ドッグ、ピンク・フロイド、デヴィッド・ボウイ、エリック・ドルフィー、バッハ、シューベルト、ジャン・クリストフ、初音ミク等。
注意事項
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