ジャズ
2017年7月7日 21時42分11秒 (Fri) ジャズ・インプロビゼーションの教科書

レッスンの主な内容は以下の通り。
①スタンダード曲のコード分析(Ⅱ-Ⅴ-Ⅰその他)を行い、楽曲全体の雰囲気を掴む。
②①を踏まえてコード進行にあったアドリブを考え、演奏&記譜する。
③②で記譜したものを先生に見せ、必要な部分を修正し、ピアノと共に演奏する。
④③を省みながら新たにアドリブを考える。
大体このような内容である。
②では、調性やコードよりも旋法(モード)やリズムが重視される楽曲についてはアドリブは記譜しない。ひたすら伴奏に合わせてモードのアドリブを工夫し、次回のレッスンに備える。最近課題曲になった「Aflo Blue」などはこの方法で練習する。
そこで、コード&モードを学習するのに便利なテキストが『ジャズ・インプロビゼーションの教科書 その理論的な背景と実践的なエクササイズ (CD2枚付)』だ。各モードについて簡潔に説明をしてくれている上、12Keyで練習できるマイナス・ワンCDも付いている。各モードだけでなく、ジャズで多用されるコード進行の練習もできる。
私はコードについてまだまだ習熟できていないが、この本が非常に有用だということが理解できる程度には音楽の実力は向上したと思う。
ポイントは「自分で」何通りものフレーズを作り、それをすべてのKeyで練習することだと思う。既成のフレーズを練習するよりも、自分でその都度作ったフレーズを練習する方が応用力は高い。
仕事が忙しくなって練習時間が脅かされてはいるが、何かに夢中になれる素晴らしさを少しでも長く味わいたい。
2017年4月4日 13時10分09秒 (Tue) カマシ・ワシントン

「32名の音楽家が参加し、20名のコーラスが彩る総収録分数172分の超大作」の3枚組。ダイナミックでスリリングな構成の楽曲が多く、間延びすることなく3枚一気に聞かせてくれる。
まぎれもないジャズ作品だが、ジャズ・ロック作品として受け止めるのも有りだと思う。キング・クリムゾンやソフト・マシーン、ハットフィールド・アンド・ザ・ノースが好きだという人にも薦めたい。
この作品を聞いて何よりも感じたことは、「ジャズは現在進行形の音楽」だということだ。
ジャズは過去の遺物でもなければ懐古趣味のためのアイテムでもない、というシンプルな事実。
ライナーに掲載されていたワシントン自身の以下の言葉は印象的だ。
「我々の世代のジャズ・ミュージシャンは、ジャズにフィットしないんだ。俺たちがやっている音楽にジャズ・クラブはふさわしくない。」
私はワシントンとほぼ同世代だが、言いたいことはなんとなくわかる。
それぞれの世代には、それぞれの世代(時代)の創意とでもいうべきものが存在している。
それはすべてのアートにとって避けられない現実。
クラシック音楽においてさえそうである。
たとえばバッハの「ブランデンブルク協奏曲」。
パイヤール室内管弦楽団によって演奏され、1973年6月に録音されたゴージャスな作品と、21世紀に入ってから流行が拡大した、古楽器による演奏にこだわった質素な作品(フライブルクやベルリン古楽アカデミー等)。
どちらもその時代の音である。どちらが正しいなどというのは愚問である。
強いて言うなら私は前者の方を愛聴している。これぞブランデンブルク協奏曲、という気がする。
ぶっちゃけ、バッハが生きていた当時に現代に流通している楽器やコンサート会場があったら、バッハは間違いなくそっち使ったんじゃないかな。
そもそも「古楽器の演奏」と一口にいっても、バッハが生きていた当時と半世紀前と21世紀の現代とではそれぞれに聞こえるものが異なると思う。
もうそろそろ古楽器ブームも陰りが見え始めてはいるが・・・。
もしもジャズが一過性の産物にすぎないのでなければ、ジャズもまた時代とともに変化していくのだ。
現在(いま)を奏で、現在に奏でられてこその音楽である。
現在をスウィングしよう!
2016年10月10日 20時04分29秒 (Mon) ジェリー・バーガンジィ

ジャズ・フルートの練習において、バーガンジィの著したテキストを使用しているため、どんな演奏者なのか知りたくて購入。
バーガンジィについては代表作を知らなかったため、最初に買うんだったらスタンダード曲が多く入っている作品がいいなと思い、いろいろと探していた。一応スタンダードをやってる作品は見つかったのだが、絶版で中古しかなく値が張る上に録音もやや古いので購入をためらっていた。
そこにバーガンジィがスタンダードを録音したという新譜のニュースが!
このときばかりは本当に迷ってる私のために発売されたんだと思いたくなった。
早速購入。発売日がやや先送りになったりもしたが、届いてからは本当に聞きまくり。
曲目は以下の通り。
1.WITCHCRAFT
2.BI‐SOLAR
3.BLUE CUBE
4.FIRST LADY
5.GABRIELLA
6.DANCING IN THE DARK
7.OUT OF NOWHERE
8.COME RAIN OR COME SHINE
9.STELLA BY STARLIGHT
1,6,7,8,9がスタンダード。ほかはバーガンジィのオリジナル。
どちらも素晴らしい。御年68歳でこの滑らかな演奏。分野は違うがクラシックのフルート奏者、ジェームズ・ゴールウェイの演奏にも感じられるどっしりとした安定感がある。きっと長年プロの演奏者として演奏し続けた者だけが「醸す」ことのできるものなのだろう。
B-3オルガンの音も実にイイ。うっとり。
とりわけ「OUT OF NOWHERE」は今まで知らなかったスタンダード曲(*´∀`)で、このアルバムで特に感動した曲なので熱心に練習に取り組んでいる。バーガンジィの演奏の採譜もそのうちしてみよう。
演奏者としてのキャリアを築き続け、素晴しい作品を残し、ためになる教本まで著わしてしまうバーガンジィは本当に偉大なジャズメンである。
2016年8月16日 17時56分50秒 (Tue) ビル・エヴァンス

初めて聞いたのは10年以上も前にレンタルしたベスト盤だった。
「ジャズピアノ=ビル・エヴァンス」というイメージを持っている人、刷り込まれている人は非常に多いだろう。
モダンジャズにおいて、マイルス・デイヴィスと共にいわゆる「スタンダード」を確立していった巨匠。
そんなエヴァンスのアルバムで最もよく聞いているのが『Sunday at the Village Vanguard』(画像)。
なぜかといえば、ジャズ・スタンダードの中で私の最も好きな「ALICE IN WONDERLAND」が収録されているから。しかも2テイク。
この曲、一応スタンダード扱いになってはいるけど、演奏しているアーティストは意外に少ない。思いつくのは『Dave Digs Disney』において初めてジャズ曲としてこの曲を取り上げたデイブ・ブルーベックとオスカー・ピーターソンくらい。
もっと取り上げられてもいいのにね。
私は今フルートで一所懸命この曲のアドリブに取り組んでいる最中。
管楽器で演奏したジャズのお手本がないため、結構苦戦している。
まぁもともとはポピュラー曲なのだし、「SOMEDAY MY PRINCE WILL COME」と同じようなノリでノッていけばいいのかなと思っている。
2016年7月18日 10時32分50秒 (Mon) エリック・ドルフィー(6/18発表 7/18改訂)

現在、ダントツで最も好きなジャズ・フルート奏者である。アルトサックス、バスクラリネットも達人。
蛇足を覚悟で文学作品に例えるなら、ビル・エヴァンスが「泉鏡花」だとして、ドルフィーは「幸田露伴」といったところだろうか。これらの作家は作品のストーリーがどうこうというよりも、その文体の持つ独特な雰囲気を味わいたくて繰り返し読んでしまう。そうした点がジャズの楽しみ方に似ている。いや、本当に蛇足だが。
さて、玄妙・怪異な印象故に聴き手を選ぶともいえるドルフィーの演奏だが、基本的にはビバップだ。当時のジャズの主流を大きく外れたスタイルではない。
それでは一体何がドルフィーの演奏を独特なものにしているのだろうか。
私はドルフィーの演奏を聞くとき、ゲーテや老子を読んだ時に感じる「汲めども尽きざる泉」に迫るものを感じる。自然の奥底と通じているような、宇宙と一体となっているような霊感だ。
36歳で他界してしまったドルフィーは、ジャズ以外にインドやアフリカの民族音楽に深い影響を受けたらしい。また、一説によるとケルトの紋様にも興味を持っていたとか。さらに自宅では小鳥とのセッションを楽しんでいた(!)という(※1)。実際、彼の演奏するフルートは小鳥のさえずりのようだが(※2)。
つまり何が言いたいのかというと、ドルフィーは演奏を通じて自然と一体になることを志向していたのではないだろうか。もちろんネイチャー・ゲームのことではない。大げさに聞こえるかもしれないが、自然の創造性をジャズの即興演奏の中に積極的に取り込もうとしていたのではないだろうか。彼にその自覚があったかどうかは別として、ドルフィーの演奏を際立たせているものはまさにその点であると思う。
「エリック・ドルフィー試論」(※3)において、間章はドルフィーのたどりつこうとしたものは「無名者の名ずけられぬ音の超出的な場所、彼方とこことが激しく異相し交わる不可視の場所」であると述べているが、その場所こそ「自然」であり、「ゼロ」であり「境界」でもある場所だといえる。その場所に存在し奏で続けること。これこそがドルフィーの目的だったといえるだろう。
そしてドルフィーのよき理解者だったコルトレーンも同じような道を探索していた。コルトレーンにおいて上記の「自然」は「神」や「宇宙」といった言葉で表現されている。しかしコルトレーンの場合、当時におけるジャズの既成を崩しながらその道を進んでいくことにこだわった観がなくもない。それによって逆にスタイルに捉われつつあったのではないか。『至上の愛』や『アセンション』はコルトレーン芸術のひとつの到達点だったとしても、その後の彼はどこへ向かえばよかったろう。フリー・ジャズのスタイルに近づくほど「自然との一体化」が増すというものでは決してなかったはずだ。捉え続けるためには確信犯であってはならない。
日本のジャズ・フルート奏者のMIYAは、ジャズの魅力は「瞬間の輝き」であると言う。それは積み重ねた修練故に表現可能な「自然発生的な美」ということもできるだろう。だが無論ここで述べた「自然」は固定的なものではない。永遠に巡る現実の相と重なりつつ常に動いているものだ。
CD化されたドルフィーの作品の内、まだ2/3程度(ドルフィー以外のミュージシャンのリーダー作も含めると1/5程度)しかコレクションできていないが、どの作品もそれぞれに聴く価値がある。この作品だけ聞いておけばいいというアーティストでは決してないのだが、あえて推薦盤を挙げるなら以下の5枚。CDのみの編集盤も含む。
・『OUTWARD BOUND』
・『OUT TO LUNCH!』
・『THE COMPLETE LATIN JAZZ SIDES』(2枚の作品を1枚に収録したもの)
・『ERIC DOLPHY QUARTET IN EUROPE』(2枚組)
・『LAST DATE』(画像)
晩年の傑作『LAST DATE』の最後は、ドルフィー自身の以下の言葉によって締めくくられる。
“When you music, after it's over it's gone in the air, You can never capture it again”
「音楽というものは、一度聞き終わると空中に消え去ってしまい、二度と捕まえることはできない」
・・・この言葉を聞いたとき、「波である光は観測された途端に粒になってしまう」(=光は波と粒の性質を同時に持つが、私たち(観測者)は粒としての光しか見ることができない)という量子力学の仮説を想起した。
※1 ドルフィーについて書かれたものは『エリック・ドルフィー』(シモスコ&テッパーマン 間章訳 晶文社)のみが唯一入手可能な書籍である(絶版だが古本で探せると思う)。大変優れた評伝である。モダンジャズそのものを学ぶのにも大いに役に立つ。
※2 ちなみにドルフィーのアルトサックスは「馬のいななきのようだ」と批評家達に不当に酷評されたことがある。
※3 ※1で紹介した書籍に収録。
プロフィール
- ニックネーム
- tana
- 性別
- 男性
- 自己紹介
- はじめまして。tana(ターナ)と申します。ボーカロイドを用いた楽曲、インストゥルメンタルを中心に創作活動に励んでいます。
セッションメンバーを随時募集中。ギター、ベース、ドラム、民族楽器大歓迎。 - 好きなアーティスト
- クラフトワーク、ブライアン・イーノ、ブラック・ドッグ、ピンク・フロイド、デヴィッド・ボウイ、エリック・ドルフィー、バッハ、シューベルト、ジャン・クリストフ、初音ミク等。
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