殺人遊園地への招待状
-二人の絆-
~エルタワー 4階~
次はどのような恐ろしい事が待ち受けているのか……
裕美と涼子は生唾を飲み込む。
2人の目に飛び込んできたアトラクションは……なんとメリーゴーランドだった。
「これはまた……ずいぶん王道な……」
「裕美、油断は禁物よ!
必ずまた何か仕掛けがあるはずだから。」
2人は辺りを確認しながら、足音も立てず静かにメリーゴーランド周辺へ近く。
この階もやはり、階段は見当たらない。
そうなると確実にこのメリーゴーランドと関わる事になりそうだ。
涼子は案内板を見つける。
『次のフロアへ進みたいお客様は、こちらのメリーゴーランドへお乗り下さい。
まずは白馬達が貴方を思い出の世界へ導いてくれることでしょう』
裕美と涼子は苦笑いをしながら顔を見合わせた。
「特に怪しい内容ではないけど、今の状況じゃむしろこの普通さが怖いね……」
「そうね。……さて、どうしましょ。」
2人は暫し考え込む。
「……これに乗らなきゃどうにもならないなら、覚悟を決めて乗るしかないかな?」
涼子は裕美の言葉に頷くと、自分が羽織っていたカーディガンとシャツを脱いで結び合わせ、裕美の腰へ巻き始めた。
「ど、どうしたの、涼子!?」
「念の為、これで裕美と私の身体を繋いでおいた方がいいと思うの。
どちらか一方に危険が及んだら、思いっきり引っ張って助けることも出来るし。」
「なるほど!例えばどこかに飛ばされそうになっても、一緒にくっついて行けるもんね。」
「ふふっ。そういうこと!」
涼子は自分の腰にも服を巻き付けると、2人は隣同士の白馬へ跨(また)がった。
すると、まるで誰かがその様子を見ていたかのように、メリーゴーランドはのどかな曲を鳴らしながら回り始める。
1周するのに数十分はかかりそうな程、ゆっくりと回っている。
しかし裕美と涼子にとっては、一瞬たりとも気の抜けない状態が続いていた。
1周目………
2周目…………
3周目……………
気のせいだろうか。
裕美は涼子が幾分幼くなったような気がしていた。
「……ねえ、裕美……なんか……少し雰囲気が変わったというか……幼くなっているような??」
どうやら涼子も同じ事を思っていたようだ。
互いに相手の顔をしげしげと見ていると、メリーゴーランドは4周目へと差し掛かる。
その時、何の変哲も無いただの壁だった周りの風景が、突然学校の教室へと変化した。
「なにこれ!?高校の時の教室だよ!」
「裕美!あれを見て!」
そこには高校3年生の時の裕美、涼子、直樹、香織がいた。
皆、楽しそうに雑談をしている。
「直樹………この頃は本当に楽しかったね。
みんなで馬鹿ばっかりしてたけど、いい思い出が沢山あって……」
裕美はこみ上げる涙をグッと堪えた。
「……そうよね……楽しかったわよね……」
5周目、6周目と、懐かしく楽しさに満ちていた高校生活が次々と映し出され、2人は完全に見入ってしまっていた。
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