殺人遊園地への招待状
-一時の休息-
数分後、隆が最初に沈黙を破った。
「こんな時にこんなこと言うのもなんだとは思うけどさ……
みんなとにかく何か食おうぜ。
正直、食欲なんて殆ど無くなったけどさ。
でも無理にでも食っとかないと『この先、体力無くなりました』じゃ、シャレにならねーよ。」
「……そうだな……
何も食いたくないのは確かだが……
今はそんなこと言ってられないよな。
隆にしては珍しく良い事を言うじゃないか。」
「俺にしては…ってなんだよ!
ったく、いつもは雅人がリードするとこだろ。
お前がへこたれてるから代わりに俺が仕切ってやってんじゃん。」
雅人と隆は励まし合うようにお互いの拳を合わせ、再び厨房へと向かう。
「優子さん……大丈夫?」
裕美は床に座ったままの優子の背中をさすり、優しく声をかける。
「裕美さん……私……沙耶香まで死んでしまって……
凄く悲しいし、凄く悔しい!
でも……お腹が空くのも喉が渇くのも確かで……
酷い女だよね……私……」
裕美は頭を抱える優子をそっと立ち上がらせると、お尻を払って汚れを落とした。
「仕方ないよ……だって私達、生きてるんだもん。
生きていればお腹も空くし、喉も渇く。
みんなの死は勿論悲しいけど……
私達はみんなの思いを背負って、生きてここを出なきゃいけない。
その為にも、体力を無くす訳にはいかないよね。」
裕美と優子は見つめ合い、どちらともなく頷き厨房へ向かった。
雅人と隆はコンロの上に置かれている大きな寸胴鍋の蓋をあけ、かき混ぜている。
「あれ?もう何か作ったの?」
「いや、最初から作られてあったんだ。
旨そうな匂いもするし、とりあえずこの煮込み料理を戴こうと思って。」
他にも冷蔵庫にはサラダ等の人の手が加えられたような物や、野菜、魚、肉等の様々な食材も揃っていた。
すぐに食べられそうなものを一通りテーブルに運ぶと、皆、椅子へ腰を下ろす。
真っ先に隆が食器に手をかけた。
「いっただきまーす!
………うめーーっ!
さすが巨大テーマパークのレストランだな。
……誰が作ったのかは知らないけど。
まぁ、かなりの腕なのは間違いないな!」
「うん、本当に美味しい!
……でもこれ、毒が入ってたりしないよね……」
「裕美さん、大丈夫だよ。
私の父親は薬剤の研究員で、その影響もあって私も少しだけ薬品の知識はあるんだけど……
匂いも味からも毒物らしき物は入っていないと思う。
少量だったら分からないけど……」
優子の言葉に雅人が後付けする。
「ここまで散々惨い殺し方をしているんだ。
今更、毒を盛るなんて幼稚なマネしないだろ。
やるとしたら、ここでたらふく食わせて太らせた俺達を、更に何者かに食わせる…とかだろうな。」
有り得なくもない雅人の言葉に皆、一瞬箸を止めたが、余程空腹だったのかすぐに次々食事をたいらげていった。
その様子は悲しみや恐怖等も一緒に飲み込んでいるかのようだった。
そしてこれから先、二度と食べ物を口に出来ないかもしれないという思いもあるのかもしれない。
「そういえば、このエルタワーって50階もあるんだよね。
今はまだ6階……」
裕美の呟きを聞き、隆が水を飲んだ後にぼやく。
「しかもほぼ各階ごとに誰かが殺される……
これじゃあ命が幾つあっても足りないっつーの!」
優子も会話にまざる。
「それにエレベーターが動かないのはかなりキツいよね。
たった6階でもこんなに時間かかってるし……」
「……優子、別に俺達は50階を目指さなくちゃいけないって決まってないだろ?
きっと何処かに非常出口があって無事に助かるさ。」
雅人が言った事は、他の皆も、雅人自身ですら期待はしていなかった。
明らかに殺意がみなぎるこのタワーに、逃げ延びる術(すべ)なんて存在しないだろう。
全員そう思っていたが、誰一人それを口に出すことはなかった。
「こんな時にこんなこと言うのもなんだとは思うけどさ……
みんなとにかく何か食おうぜ。
正直、食欲なんて殆ど無くなったけどさ。
でも無理にでも食っとかないと『この先、体力無くなりました』じゃ、シャレにならねーよ。」
「……そうだな……
何も食いたくないのは確かだが……
今はそんなこと言ってられないよな。
隆にしては珍しく良い事を言うじゃないか。」
「俺にしては…ってなんだよ!
ったく、いつもは雅人がリードするとこだろ。
お前がへこたれてるから代わりに俺が仕切ってやってんじゃん。」
雅人と隆は励まし合うようにお互いの拳を合わせ、再び厨房へと向かう。
「優子さん……大丈夫?」
裕美は床に座ったままの優子の背中をさすり、優しく声をかける。
「裕美さん……私……沙耶香まで死んでしまって……
凄く悲しいし、凄く悔しい!
でも……お腹が空くのも喉が渇くのも確かで……
酷い女だよね……私……」
裕美は頭を抱える優子をそっと立ち上がらせると、お尻を払って汚れを落とした。
「仕方ないよ……だって私達、生きてるんだもん。
生きていればお腹も空くし、喉も渇く。
みんなの死は勿論悲しいけど……
私達はみんなの思いを背負って、生きてここを出なきゃいけない。
その為にも、体力を無くす訳にはいかないよね。」
裕美と優子は見つめ合い、どちらともなく頷き厨房へ向かった。
雅人と隆はコンロの上に置かれている大きな寸胴鍋の蓋をあけ、かき混ぜている。
「あれ?もう何か作ったの?」
「いや、最初から作られてあったんだ。
旨そうな匂いもするし、とりあえずこの煮込み料理を戴こうと思って。」
他にも冷蔵庫にはサラダ等の人の手が加えられたような物や、野菜、魚、肉等の様々な食材も揃っていた。
すぐに食べられそうなものを一通りテーブルに運ぶと、皆、椅子へ腰を下ろす。
真っ先に隆が食器に手をかけた。
「いっただきまーす!
………うめーーっ!
さすが巨大テーマパークのレストランだな。
……誰が作ったのかは知らないけど。
まぁ、かなりの腕なのは間違いないな!」
「うん、本当に美味しい!
……でもこれ、毒が入ってたりしないよね……」
「裕美さん、大丈夫だよ。
私の父親は薬剤の研究員で、その影響もあって私も少しだけ薬品の知識はあるんだけど……
匂いも味からも毒物らしき物は入っていないと思う。
少量だったら分からないけど……」
優子の言葉に雅人が後付けする。
「ここまで散々惨い殺し方をしているんだ。
今更、毒を盛るなんて幼稚なマネしないだろ。
やるとしたら、ここでたらふく食わせて太らせた俺達を、更に何者かに食わせる…とかだろうな。」
有り得なくもない雅人の言葉に皆、一瞬箸を止めたが、余程空腹だったのかすぐに次々食事をたいらげていった。
その様子は悲しみや恐怖等も一緒に飲み込んでいるかのようだった。
そしてこれから先、二度と食べ物を口に出来ないかもしれないという思いもあるのかもしれない。
「そういえば、このエルタワーって50階もあるんだよね。
今はまだ6階……」
裕美の呟きを聞き、隆が水を飲んだ後にぼやく。
「しかもほぼ各階ごとに誰かが殺される……
これじゃあ命が幾つあっても足りないっつーの!」
優子も会話にまざる。
「それにエレベーターが動かないのはかなりキツいよね。
たった6階でもこんなに時間かかってるし……」
「……優子、別に俺達は50階を目指さなくちゃいけないって決まってないだろ?
きっと何処かに非常出口があって無事に助かるさ。」
雅人が言った事は、他の皆も、雅人自身ですら期待はしていなかった。
明らかに殺意がみなぎるこのタワーに、逃げ延びる術(すべ)なんて存在しないだろう。
全員そう思っていたが、誰一人それを口に出すことはなかった。
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