殺人遊園地への招待状
裕美が瞼を閉じ横を向いた瞬間、周りの風景が一変する。
そこは薄汚れた家の中のようだ。
木の板で簡単に作られたような古ぼけたその場所は、家というより小屋と言った方が正しく、埃にまみれ床も塵だらけだった。
「ずいぶん汚い家だなぁ……んっ?」
裕美の目の前に、なにか細かい光のようなものが集まる。
それは徐々に大きくなり、裕美の身長をも超える程になった。
すると突然、裕美の胸ぐらを掴んで言葉を発した。
《生意気な面(つら)しやがって!》
人間……?
いや、形は人のようなのだが、テレビの砂嵐のようにザーッとちらついていて、まるで影人間のように顔や性別すら判別が出来ない人型だった。
「なに……これ……
あなたは……なんなの?」
《はぁ?てめぇ、何言ってやがる!
この俺にそんな口きくなんて、いい度胸じゃねえか。
……ちょっと罰を与えたほうが良さそうだな。》
その砂嵐の人物は部屋の中央にあった囲炉裏(いろり)から、火力の調整を行う為の火箸を手に取った。
火箸は煌々(こうこう)と赤白く光っている。
相当熱せられているようだ。
「や……やめ…て……
何をする気なの……?」
《くくくっっ……あーはははっっ!
怖いか?なぁ!
俺が怖いのか?震えてるもんなぁ!
……だけどよぅ…俺はな……
お前のその顔が気に食わねぇんだよ!!》
ジュウゥゥゥゥッ………
「いやぁぁぁっ!!痛いぃぃ!!」
肉の焼け焦げる臭いが一面に広がる。
《ヒャーッハッハ!たまんねえ!
痛いのか?やめてほしいか?
もっと悲鳴を聞かせねえと、やめらんねえなぁ!!》
その人物は裕美の腹部を中心に、火箸で次々と焼き印を付けていった。
「あ……熱いっっ!痛いよ!
やめてーーーーっ!!」
ジュウゥゥゥゥッ……
《人に見られる部分はまずいからな。
腹なら服着りゃ隠れるだろ?
良かったなぁ……顔が焦げずに済んで……
くくくっ……アハハハハハハッ!!》
裕美は痛みで悶絶しながらも、歯を食いしばり睨みつけた。
「くっ………この……悪魔………」
《あぁ?なんだと?
てめぇ……調子にのんじゃねえぇぇ!!》
その人物は裕美の服を引きちぎり、縛り上げた。
そして玄関から大きなスコップを持ってきて、先端の鉄の部分を囲炉裏で炙り始める。
「ひ……ひぃぃ!!
もうヤ……やだ……やめ…て………」
必死でもがき、逃げ出そうとする裕美を蹴り倒し、背中にスコップを押しあてる。
「ぎゃぁぁぁぁぁっ!!」
《1つじゃつまんねえだろ?
左右均等に付けてやるよ!
ほーら……まるで羽みてえじゃねえか!》
裕美の意識は遠のいてきていた。
《このガキ……こんなんで、くたばってんじゃねえよ!
もっと俺を楽しませろ!》
人のようだが人の成す行動ではなく、まるで悪魔そのもの。
それは尋常ではない恨みや憎しみに満ち溢れているようで……
激しい痛みで冷静を保てない状況の中、裕美は苦しみから逃れるように瞼を閉じた……
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