殺人遊園地への招待状
-雅人の推理-
※一時的に雅人達の状況へ移ります。
「俺と沙耶香は……十代の頃に数え切れない程の動物を虐待していたんだ………」
「……虐待……?」
「……………」
雅人の突然の告白に、優子と隆は呆気にとられる。
「俺達は小さい頃からいつも何かに腹を立てていた。
俺も沙耶香も孤児でさ、周りの大人達を信用出来ず毎日イライラしていたんだ。
で、ある日、沙耶香が近くにいた犬を蹴り飛ばして……」
優子は俯いたまま、雅人の話に耳を傾ける。
「鳴き声を聞いた時、俺の心がざわめいた気がした。
快感……って言うのかもな。
それから動物を見つけては虐待して……最終的には殺してたんだ。
もしかしたら……これは呪いなのかもしれない。」
「で、でも……それなら裕美さんはどうなるの?
とても虐待をするような人には見えないけど………」
納得がいかない様子の優子だったが、それは隆も同じだった。
「そうだよ雅人。それにこの遊園地に招待されたのって膨大な人数だろ?
みんながみんな、動物を殺してたってのはどうもね。
それに俺だって……動物虐待はしていないし………
優子だって虐待するとか考えられないよな!」
「も、勿論だよ。雅人にしては随分お粗末な推理だったね。」
すかさず雅人が応える。
「まぁ動物を殺したかどうかは違うにしてもだ。
俺達が見た他の来園者達は、幻だった可能性があるんだよ。」
隆は驚いて聞き返す。
「はっ?幻?」
「あぁ。おかしいとは思わないか?
一斉にこのエルタワーへ入った大勢の人達が一瞬にして消え去っているだろ。
そもそも幾ら広いフロアで50階もあるとは言っても、大人数を一気に収容するにはかなりの時間を費やす筈だ。」
雅人の言葉に優子は頭を横に傾げる。
「確かにそうね。
じゃあその来園者達は幻だったとして、動物虐待をしていない私達が巻き込まれていることには説明が付かないよね。」
「いや、まぁそうなんだけどな………」
雅人は黙り込んでしまった。
しかし皆、それぞれ互いの目を見合わせ顔色を伺っているかのようだった。
「で…でもさ、仮に俺達はただ単に雅人と沙耶香の巻き添えをくらっただけで、これが本当に何かの呪いだったとしてもさぁ……
すげぇスケールだよなぁ。並大抵の恨みじゃないって感じか……」
皆、深く溜め息をつく。
「俺は……他にも………」
一瞬、聞き逃しそうな程に小さく呟いた雅人の声だったが優子には辛うじて届いていた。
『私も……ううん、違う。私は………』
雅人は髪の毛を手でぐしゃぐしゃと掻きむしると、再び溜め息を吐いた。
「結局よく分からないままだな……」
「う、うん。裕美さんが生きている時に、もっといろいろ話してみるべきだったね………」
落ち込む雅人と優子を励ますように、隆は笑顔で立ち上がり伸びをする。
「今は過ぎたことを言ってても始まらないよな。
何も解決はしなかったけど……進むしかないだろ?」
雅人と優子は静かに頷いた。
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