殺人遊園地への招待状
「おい、隆、優子。少し先の床の氷を見てみろよ。」
隆は目をこらして数メートル先の床に視点を合わせる。
「自分の白い息が邪魔でよく見えねーよ……
つうか、特になにも無さそうだけど?」
優子も目を細め、床を見つめる。
「……うーん、確かになにも……
ん?あれ?なんか……氷の張り方が………」
微妙に他一面のものとは違うような氷が、中央に2メートル位の幅で横一文字に張られているように見える。
「ほんとだ!雅人、よく気づいたな!すげぇ!」
「……でも雅人、あれはなんなの?一体どんな仕掛けが………」
雅人は自分のポケットをゴソゴソと探ると、500円玉を取り出した。
「金は粗末にしちゃいけないけどな……
俺達が死ななくて済む為の保険と思えば安いもんだ!」
そう言うと雅人は500円玉を床に置き、自分の身体を2人に支えてもらいながら中央の床に向かって思いきり滑らせた。
ツツッッーーーーー………
500円玉は中央の床へ辿り着くと、突然90度真横に方向を変え、左側の壁にカシャーンと音を立ててぶつかった。
「なっ………!」
「そんな………真っ直ぐには進めないの!?」
隆と優子は愕然と立ち竦む。
「やっぱりな。特殊な加工ってこういことか。
知らずにあの氷に足を乗せていたら見事、人間串の出来上がりだったな。
……さて、どうやって進むか………」
雅人はほんの数秒ほど俯き黙り込むと、すぐに頭を上げた。
「悩んでいられる時間は僅かか……
とにかく今、俺達が持っている物を使って向こう側に行けないか、急いで考えるんだ!」
3人は背負っていた荷物を下ろし、レストランから持って来た物を全て出してみた。
【全持ち物】
・ナイフ 数本
・ロープ およそ50m
・食パン 6枚切り10斤
・フランスパン 3本
・苺ジャム 大瓶6個
・タオル 大小5枚ずつ
・フライパン 2つ
・麺棒(すりこぎ) 3本
・水 10リットル
「バンジーの所で幾つかダメになった物もあるから、残っているのはこれだけだよ。」
隆は床にしゃがみ込んで頭を抱える。
「なんだよこれ!こんな物だけじゃ何も出来ねーじゃん!」
「もう、隆!そんなにすぐ諦めないの!
…でもロープを使うにしても引っ掛ける所は無いし……
棒で氷を割る……って、そんなの無理だよね。」
雅人は取り出した持ち物を見つめたまま再び黙って考えている。
ピンポンパンポーン
「残り時間10分です。」
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