殺人遊園地への招待状
「だからそいつは助けるなって言ったのよ!!」
女性は涙声になっている。
「おい……お前、僕達を見殺しにする気か!?」
奥の男性の問いに、救出された男性はうすら笑いを浮かべる。
「あぁ?お前、さっきの俺の言葉を聞いてなかったのかぁ?
くくく……4人の首を落とすんだってさ。
お前らを助けたら意味ねぇわなぁ。」
裕美はその間ももがいていたが、やはりどうすることも出来なかった。
男性は自分がくくり付けられていたギロチン台の上に裕美を乗せ、全体重をかけて押さえ込む。
「さぁ、早くこの女の首を切り落とせ!!
こんな所、俺はとっとと出たいんだよ!!」
シューーーーーーッッ………
ザクッッッ!!
ビュシャァァッッ!!
首は華麗なまでに吹っ飛び、残された身体からは絶えることなく鮮血が吹き出てくる………
裕美を押さえ込んでいた男性から…………
「ひ、ひぃぃぃっ!!」
裕美にその男性の血が降りかかる。
力を失った男性の身体はゆっくりと横に崩れ落ち、裕美はようやく自由を取り戻した。
「何故……こんなことに………」
裕美の首が切り落とされるはずだったギロチンは、全く作動していなかった。
ギロチンの刃は何故か横の壁から飛んで来たようだ。
「あ……今すぐ外します!!」
自分の顔にかかった血を拭う暇も無く、震える手をなんとか動かし、残りの2人を無事助け出すことに成功する。
「どうもありがとう……私は長澤と言います。」
「ほんとに助かった!感謝するよ!
僕は佐伯です。よろしく。」
裕美も自己紹介をする。
「えと……私のことは裕美って呼んで下さい。
ところで皆さんは大人4人でこの遊園地へ?」
裕美の質問に、長澤と佐伯は髪と服装を整えながら答える。
「そうなのよ。遠足の下見に来たの。」
「僕に招待状が届いたんで、これは遠足に丁度いい場所だなと思ったんだ。
あっ、死んだ2人も含めて僕達は皆、教師なんだよ。」
佐伯という男性教師に招待状が届いていたようだ。
「さぁてと。そういえば4人の首を落とさないと45階には行けないのよねぇ。」
裕美は飄々と話す長澤に不信感を覚えるが、身近な人物が亡くなったことによる動揺からなのだろうと自分に言い聞かせた。
「そ、そうですね。何か方法を考えないといけませんね……
本当は他のお二人も助けることが出来れば良かったんですけど……」
落ち込む裕美に、長澤は笑顔を向ける。
「貴方が凹むことないわよ。それにあの2人が死刑になったって誰も悲しまないわ。」
裕美は唖然とする。
殺された2人がどんな人物だったのか詳しく分かりはしないのだが、同じ職場で働いていた者の命を軽視する発言に驚きを隠せない。
「うーん……1つ提案があるんだけど。」
佐伯はしばらく何かを考えていたようで、顔を曇らせつつ話し出す。
「長澤先生、確かソーイングセットを持ち歩いていませんでしたか?」
「ソーイングセット?ええ、持っているわよ。」
長澤はジャケットのポケットから小ぶりのソーイングセットを取り出すと、佐伯に手渡した。
裕美は不思議そうに佐伯へ問う。
「あのぅ、それを何に使うんですか?」
佐伯は勝ち誇ったような顔を向ける。
「もしも、ただギロチンで首を切り落とすだけでいいのだとしたら……
あの2人の首を元通りに繋ぎ合わせて、ギロチン台にくくっておけばいいんじゃないか?」
「っっ!!」
あまりにも衝撃的な言葉に、裕美は声も出なかった。
「佐伯先生、さすが冴えてるわね!
裕美さん、ここは私達に任せてちょうだい。助けてもらったお礼よ。
それに……どうやら貴方には刺激が強過ぎるようだしね。」
何も言葉を発することが出来ずにいる裕美を配慮し、長澤と佐伯は切断された頭部と身体を足で寄せ集める。
「じゃあ、縫いますか!」
グチュッッ………
ニチャッッ………
肉と肉を縫い合わせる、不気味な音が響き渡る………
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