リリスの嘆き
序章
強い日差しが静かに降り注いでいる。まだ目覚め始めたばかりの街にひぐらしの声が染みこんでいく。鳥の声がどこからともなく聞こえてくる。都会へ向かい電車の音だろうか、規則正しいリズミカルな音が和田美佳の耳に届いてくる。
ジョギングで乱れた息を整えながら美佳は額に浮かんだ汗のつぶをタオルで拭った。
チワワだろうか、小型犬を似引き連れた初老の女性が彼女の近くを通りすぎる。
三十年ほど前に作られたこの川沿いのサイクリングロードは、今ではジョギングや散策をする人たちが通り過ぎるだけになっていた。
美佳は手にしていた小さなペットボトルのスポーツドリンクを一口、喉に流し込んだ。体液に近い水分が体の中に吸い込まれていく。
よし、あともう少し。美佳は自分の心にそう言い聞かせると川面に落としていた視線を再びサイクリングロードに戻そうとした。しかし、視界の隅に写った白い物体がそれを妨げた。
(何かしら?)
それは川岸の緑に中に取り残されたようにぽつんと露出していた。白く細長いそれは五つに枝分かれしている。それは妙に心を引きつけてくる。美佳はそっとそれに近づいていく。
それは見事なまでに白かった。そして細く、そして長く草の中に消えていた。その棒状のものの先に視線を移していった美佳はそれの正体を見て息を呑んだ。
それは紛れもない人間の骨だった。
ジョギングで乱れた息を整えながら美佳は額に浮かんだ汗のつぶをタオルで拭った。
チワワだろうか、小型犬を似引き連れた初老の女性が彼女の近くを通りすぎる。
三十年ほど前に作られたこの川沿いのサイクリングロードは、今ではジョギングや散策をする人たちが通り過ぎるだけになっていた。
美佳は手にしていた小さなペットボトルのスポーツドリンクを一口、喉に流し込んだ。体液に近い水分が体の中に吸い込まれていく。
よし、あともう少し。美佳は自分の心にそう言い聞かせると川面に落としていた視線を再びサイクリングロードに戻そうとした。しかし、視界の隅に写った白い物体がそれを妨げた。
(何かしら?)
それは川岸の緑に中に取り残されたようにぽつんと露出していた。白く細長いそれは五つに枝分かれしている。それは妙に心を引きつけてくる。美佳はそっとそれに近づいていく。
それは見事なまでに白かった。そして細く、そして長く草の中に消えていた。その棒状のものの先に視線を移していった美佳はそれの正体を見て息を呑んだ。
それは紛れもない人間の骨だった。
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