リリスの嘆き
第三章
覚醒
小さな山の片隅。
草木が鬱蒼と茂る中に微かな空気の揺らぎが見て取れる。
そこには風はなく、草木の葉は少しも揺れていない。ただ空気だけが揺らいでいる。
それは結界だった。
ある意思を持った存在がか弱き存在をこの世界から守るために張られたものだ。
か弱き存在、それは儚くも命を失った幼い命たちだ。
揺らぎの向こうではその命たちが閉ざされた草原の中を誰に邪魔されることなく遊んでいた。その顔は忘れ去られた笑顔で満ちている。穢れを知らない笑い声が辺りを満たしている。
そんな光景をハーリーティは目を細めて見つめていた。
あの出来事から数ヶ月、彼女は穏やかな生活を取り戻していた。
結界の内側の世界こそ減りはしたが、あの一件以来人間たちはこの森から手を引いた。造成されかけていた土地はそのまま打ち捨てられ、以来彼らはこの土地に近づかなくなった。
この世界は平和を取り戻したのだ。
ハーリーティの傍らには小さな生き物が寝転んでいる。
その背中には跳ねと職種が生えていたと思われる痕が残っている。
そう、その生き物はキメラだった。
今は荒れほど囚われていた憎悪の姿はなく、それもまた穏やかな顔をしていた。
平和な世界が広がっていた。
そんな中をチリのような小さな光がひとつ漂ってくる。
それは風に乗って漂うようにハーリーティに近づいてくる。
それに気づいたハーリーティは右の掌を上に向けて光を受け止める。そうしてそれを見つめると慈しむような笑みを浮かべる。
「お前はどこから来たのかい?」
ハーリティは優しく問いかける。
その問に反応するように光はその明るさを増す。
ハーリーティはその明滅に耳を傾け、光の声を聞いている。
やがて、光は明滅をやめ、ハーリーティは口を開く。
「そうか、お前は身体が欲しいのか…」
ハーリーティの慈愛の笑みが光の粒に注がれる。
すると彼女の周囲に細かい七色の光の粒子が現れ、渦を巻いた。
ハーリーティの身体がその渦の中に消える。渦は時間が経つに連れて集まり、ある一点に集まり始める。そしてその光はハーリーティの手を離れ緑の絨毯の上にゆっくりと降り立つ。そして、それは人の形となり、光の渦は消える。
「それがお前の姿なのか?」
目の前に現れた少年に向かって優しそうに話しかける。
「お前の名は?」
彼女の言葉に少年は微笑んで応える。
「はじめまして、僕は遠山信といいます。貴方にお願いがあって来ました」
そうして信はここに来た目的を話し始めた…。
草木が鬱蒼と茂る中に微かな空気の揺らぎが見て取れる。
そこには風はなく、草木の葉は少しも揺れていない。ただ空気だけが揺らいでいる。
それは結界だった。
ある意思を持った存在がか弱き存在をこの世界から守るために張られたものだ。
か弱き存在、それは儚くも命を失った幼い命たちだ。
揺らぎの向こうではその命たちが閉ざされた草原の中を誰に邪魔されることなく遊んでいた。その顔は忘れ去られた笑顔で満ちている。穢れを知らない笑い声が辺りを満たしている。
そんな光景をハーリーティは目を細めて見つめていた。
あの出来事から数ヶ月、彼女は穏やかな生活を取り戻していた。
結界の内側の世界こそ減りはしたが、あの一件以来人間たちはこの森から手を引いた。造成されかけていた土地はそのまま打ち捨てられ、以来彼らはこの土地に近づかなくなった。
この世界は平和を取り戻したのだ。
ハーリーティの傍らには小さな生き物が寝転んでいる。
その背中には跳ねと職種が生えていたと思われる痕が残っている。
そう、その生き物はキメラだった。
今は荒れほど囚われていた憎悪の姿はなく、それもまた穏やかな顔をしていた。
平和な世界が広がっていた。
そんな中をチリのような小さな光がひとつ漂ってくる。
それは風に乗って漂うようにハーリーティに近づいてくる。
それに気づいたハーリーティは右の掌を上に向けて光を受け止める。そうしてそれを見つめると慈しむような笑みを浮かべる。
「お前はどこから来たのかい?」
ハーリティは優しく問いかける。
その問に反応するように光はその明るさを増す。
ハーリーティはその明滅に耳を傾け、光の声を聞いている。
やがて、光は明滅をやめ、ハーリーティは口を開く。
「そうか、お前は身体が欲しいのか…」
ハーリーティの慈愛の笑みが光の粒に注がれる。
すると彼女の周囲に細かい七色の光の粒子が現れ、渦を巻いた。
ハーリーティの身体がその渦の中に消える。渦は時間が経つに連れて集まり、ある一点に集まり始める。そしてその光はハーリーティの手を離れ緑の絨毯の上にゆっくりと降り立つ。そして、それは人の形となり、光の渦は消える。
「それがお前の姿なのか?」
目の前に現れた少年に向かって優しそうに話しかける。
「お前の名は?」
彼女の言葉に少年は微笑んで応える。
「はじめまして、僕は遠山信といいます。貴方にお願いがあって来ました」
そうして信はここに来た目的を話し始めた…。
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